第26話 映画館からラブホへ
いよいよ、次回が最終回です。
読んでいただいた方、ありがとうございました。
明日、最終回とエピローグをアップします。
俊樹と智花、雅人と鈴音のダブルデートの日曜日がやってきた。
待ち合わせ場所に4人が集まる。
「すずねーっ。」
「ともかーっ。」
二人の女子が嬉しそうに声をかけ合う。
驚いたのは雅人である。
「えーっ、二人は知り合いなの?」
そこで俊樹が解説する。
「智花に聴いたんだけど、どうも二人は同じ学校らしい。クラスも一緒だって。」
雅人は再度驚愕する。
「本当かよっ。すごい偶然だ!」
「俺も驚いた。」
そんな待ち合わせ場所でのちょっとした騒ぎはすぐ落ち着く。
俊樹は雅人とこれから観る映画の話で盛り上がった。
智花と鈴音は学校や部活の話で盛り上がる。
それぞれ、話に夢中になりながら、映画館に向かった。
映画館では、俊樹と雅人が並んで座り、智花と鈴音も並んで座る。
俊樹と雅人は観たかった映画だけあって、真剣だった。
4人が観た映画は「ROCK HERO」というアメリカ映画であった。
映画の内容はざっと説明すると、以下の通りである。
全米ナンバーワンを達成したアルバムで一躍スーパースターの座を獲得したバンドが、
次の作品で失敗しまう。
一発屋と言われ、批判の嵐にあったバンドは
解散してしまう。
バンドのリーダーだったジョンは自暴自棄になり、酒浸りとなり、曲が書けなくなる。
もう死ぬしかないと思ったジョンは、死に場所を求めて都会の裏通りをうろついた。
そして、ある倉庫にたどり着く。
そこで、大音量で練習しているロックバンドを見つける。
15歳くらいの少年バンドだった。
なんと、ジョンの曲を演奏していた。
倉庫内で呆然となるジョン。
ジョンを見つけた少年たち。
僕たちはあなたの大ファンです。
憧れです。
生きるエネルギーの源です。
僕たちのために、またバンドをやってください。
ジョンにすがるように懇願する少年たち。
その時、ジョンは光を感じる。
もう一度やらなければだめだ。
この少年たちのために、死んだらだめだ。
もう一度曲を書こう。もう一度バンドをやろう。
少年たちの気持ちに応えなければ、この世に生まれた意味はない。
そう感じたのである。
ジョンは曲をふたたび書き出す。
そして、散り散りばらばらとなったバンドメンバーを一人一人訪れ、再度バンドをやろうと説得する。
嫌がるメンバーに対し、誠心誠意の態度でジョンは口説いていく。
そして再デビュー。
苦労してつくりあげた新作はデビューアルバム以上のヒットを記録し、
再び頂点に立つ。
もう、あきらめない。
どんなに辛くてもバンドは続けると主人公はあらためて決意する。
そんなストーリーであった。
映画が終わり、映画館から出たあと俊樹と雅人は、
見たばかりの映画の話で夢中だった。
歩きながら、興奮冷めやらずであった。
割と単純な内容であったが、そこが、若者である二人の心をとらえた。
一方女子二人は、自暴自棄になった主人公を見捨てなかった、主人公のガールフレンドの話で
盛り上がる。
「とても、あそこまでできないよねー。」という感じだ。
女子目線では、おかしくなった男性をどこまで支えることができるかという点が大事だったようだ。
映画館から少し歩き、
次の目的地を案内する智花に対し、俊樹が質問する。
「ところで、次はどこに行くんだ?腹がへったけど・・・」
「カラオケできるところ予約しておいた。
もちろん、食事もできる。
食事しながら歌を歌おうと思って。」
雅人がコメントした。
「カラオケ、いいねーっ。
さっきの映画の主題歌、アメリカでヒットしてるから、もうカラオケに入ってるかなあ?
歌いたいなあ。」
鈴音がいう。
「雅人は英語の歌が好きだよね。
英語しゃべれないのに。」
「やっぱりロックは英語がかっこいいからな。」
「じゃあ、英語得意になって、わたしに教えてよ。」
「ううっ、それは、ちょっと時間が必要だ。
これから勉強する。」
そんな、会話をしながら、智花に先導され、4人は繁華街の外れに入っていく。
そして、裏通りの怪しい場所に出た。
「おいっ、智花、ここって、ラブホテル街だぞ。
どこに、カラオケあるんだ。」
俊樹は慌てたような声をだした。
「もうついたよ。ここ。」
智花はラブホテルの前で立ち後どまり、指でさした。
確かにラブホテルの入り口に、
『カラオケパーティー予約受け付け中。
グループでゆったり楽しもう。
最新音響設備完備』
「ええっ!」
智花を除いた3人の高校生は驚く。
「さっ、はいりましょ。
ネットで見つけて、予約したの。
結構安いんだ。
変なことはしないからねっ。
歌うたって食事するんだよ。」
智花は躊躇せず、建物に入っていった。
他の3人は一瞬ためらったが、智花を放っておけず、あとをついていった。
建物にはいると、案内板があり、そこで、予約番号を入力するようになっていた。
智花はメモを取り出し予約番号を打ち込む。
すると、機械が
「ご予約ありがとうございました。
部屋番号は523です。
エレベーターにて、お部屋に向かってください。
部屋の入り口で再度、ご予約番号を入力ください。」
と案内する。
「さすが、ラブホテル。機械が案内するんだ。
人と会わないようになっているんだ。」
鈴音が関心する。
男性メンバーは緊張で、言葉がでない。
そして、指定された部屋にたどり着き、番号を入力し、部屋に入った。
部屋にはいると、ドアの横には飲み物と食事の注文の仕方が書いてあった。
電話もしくは、電子端末で注文をすると、
ドアの横にある小窓に注文したものを届けてくれるサービスとなっている。
小窓は部屋の外側と、部屋の中についていて、それぞれ扉がついていた。
その間に、料理等をおけるスペースがある。
注文されたものを届けたスタッフは呼び鈴を鳴らし、外側にある扉をあけて
中にあるスペースに料理等を置く。
そして、外側の扉を閉めると部屋側の扉が開くようになっており、
料理等を取り出す、中にいる人間は、届けたスタッフと顔を合わせないようになっていた。
ここでも、4人は感心した。
鈴音が代表してコメントした。
「わーっ、顔を合わせないで、料理や飲み物を受け取れるんだ。
すごくプライバシーに配慮している。
ラブホテルってすごいっ。」
そして、部屋に入ってく4人。
そこで、4人は固まる。
入って、玄関のようなスペースがあって、もう一つの扉があった。
その扉を開けると、
そこはまさにラブホテルらしい内装のベッドルームだった。右の奥には浴室も見えた。
でも、幹事役の智花は必死で探す。
そして叫ぶ、
ベッドルームの左奥に扉があり、そこにカラオケルームという表示があることを発見した。
「カラオケルームあったよ!
目的地はあそこ、
さあさあっ、行こう!」
「とは言っても、智花。この部屋すごいっ。」
鈴音は初めてみるラブホのベッドルームに興味深々だ。
雅人と俊樹にに至っては、小走りで浴室に向かい、浴室を覗いていた。
「ラブホテルの風呂ってこうなってるのか?すげえっ。
変な椅子もおいてあるぞ。
マットもおいてある。」
高校生はまさか自分たちが使用するとは思っていなかったものの、
初めてみる光景を無視できなかった。
貴重な体験として、チェックせずにはいられなかった。
俊樹は、
(まさか智花のやつ
ここで(4P)とか考えてないよな。
そんなわけないか。
でも大胆なことを考えるなあ。)
と、余計なことを考えてしまった。
カラオケルームに入ると、4人はやっと落ち着いた。
カラオケルームは普通だった。
しかも窓がついていて、明るかった。
「ふーっ、安心した。この部屋は普通だね。」
幹事の智花がやっと本音を漏らした。
「そうだな。ここも怪しい感じだったら、ちょっと落ち着いて歌を歌えないよ。」
俊樹が安心したように返答した。
「私もほっとした。
智花のアイディアには驚くよ。」鈴音が呆れたようにコメントする。
「でも、社会勉強になったよ。
ちょっと驚いたけど。」
雅人は初めてみた光景に感動した様子だった。
「私も、ちょっとびっくりしたけど、がんがん料理と飲み物注文して、歌を歌おうよ。
食べ放題飲み放題だよ。
今の時間は安いんだ。」
お腹が空いていた高校生4人はメニューに夢中になった。
もう、ラブホショックはなくなり、食い気で頭はいっぱいになった。
そして、料理と飲み物をオーダーすると、曲を選ぶことに夢中になる。
「あったぞ、ROCK HERO の主題歌。俊樹、歌おうぜっ。」
「おおっ、歌ってみるか?英語だけど、なんとかやってみよう。」
「智花、今流行っている、この曲一緒に歌わないっ?
女の子の気持ちにぴったりの曲、この曲好きなんだ。」
「あっ、この曲大好き。歌おう歌おう!
一緒に歌うなら、なんとかなりそう。」
ラブホでカラオケパーティという企画を考えた智花は
(ちょっと、サプライズをやりすぎたかとおもったけど、
なんとかなったかな。
あとは、もう一つのサプライズを上手くやらなきゃ。
俊樹次第だけど・・・
私のこれからの人生にも関わってくる大事なサプライズだ。
やるっきゃない!)
と心の中で決意を固めていた。
私としては、一つの物語はこのくらいの尺がちょうどいいみたいです。20話から30話の間といったところでしょうか。
次回作も準備しています。
TS社会人のお話です。
この物語の最終回のあとすぐスタートします。
よろしくお願いします。




