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第23話 バンドセッション

お待たせしました。

23話です。

きょうは24話も午後にアップする予定です。

不思議な運命に導かれ、


鈴音の幼馴染みの雅人と智花の幼馴染みの俊樹が、渋谷のレンタルスタジオでバンドセッション(演奏を楽しむこと)をする日がやってきた。

二人とも、会ったことがないという点で不安はあったが、ネットのSNSで音楽やバンドの話を存分にしていたので、期待することが多かった。


何より、いつも学校で演奏している人仲間とは違う高校生と演奏することにワクワクせざるを得ない。


同じ仲間とやっているだけではマンネリになる。

違う人間と演奏セッションをすることにより、緊張感が生まれる。

二人ともそう考えていた。


バンドマンといっても、

人それぞれ、演奏技術は違うし、演奏には癖がある。


たとえば、ドラム。


ドラマーにはいろいろある。

リズムなら、きっちりリズムを守るタイプ、走るタイプ(前のめりのリズム)、もたるタイプ(後ろ寄りのリズム)がいる。

音が小さいタイプとでかいタイプがいる。

小技を多用するタイプと、シンプルにたたくタイプがいる。

タイプが違うと、ギターやベースは演奏していて感覚が全く変わってくる。


ギターもちがう。

上手い下手もあるが、カッティングなどのリズムを刻むプレイを得意とするタイプもいれば、

ギターソロのような単音弾きを得意とするタイプもいる。

エフェクターの使用方法のセンスもある。

まあ、千差万別である。


以上はちょっとした例だが、バンドメンバーが変わると、演奏の感覚が極端に変わることが多々あるのは

事実だ。

二人にとっては、リスクもあるが、現状を打破するためには他流試合みたいなセッションはぜひやっておきたいところだった。

うまくいけば、新しいバンドが生まれるかもしれないという気持ちもあった。



さて、女性陣は男性たちとは違う悩みを持って、その日を迎えた。


雅人に同行する香耶かやは、

(よし、今日は雅人と二人になれる時間がある。少なくとも、行きと帰りは二人きりになる。

気持ちを確かめようかな。雰囲気しだいだけど。)と企んでいた。


俊樹に同行するあやめは、

(男の子と一緒に歩くなんて、やばいっ。

それから、他校の知らない人と会うのは緊張する。

うまく歌えるかな?不安だ!)

とややびびっていた。俊樹への恋心には決着はついていたが、二人きりになることについては、

ちょっと照れがあった。


そして、こっそり覗きに行く二人も考えていた。


智花は俊樹に告白したあやめという同い年の少女が気になっていた。

けっこう可愛い子だという。

俊樹は断ったというが、やはり気になる。

そして、俊樹から聞いた情報、そして俊樹に情報を与えたことは鈴音には黙っておこうと決めた。

ただでさえ、動揺している鈴音に余計な情報を与えない方がいいと判断した。


そして、鈴音は香耶が来るかどうかを心配していた。

もう、間違いないなく来るとは予測していた。

根拠はないが、恋する乙女の予感だった。

しばらく会っていない香耶がどう変わっているのか気になっていた。

(もし、可愛くなっていたらどうしよう?)

そんなことも心配した。



そして、あっという間に俊樹と雅人が約束していた1時30分がやってきた。

智花と鈴音は予定どおり、道路を隔てて、向かい側のカフェの窓側の席に陣取っていた。

鈴音は長い髪の毛をアップにして、帽子をかぶり、メガネをかけている。

まったく顔がよくわからないようになっていた。

一方、智花も同様に普段かけないメガネをかけて、髪の毛をポニーテールにしていた。

鈴音ほどではないが、ちょっとイメージは変わっていた。


「あっ、来た!

雅人といっしょに来たのは、やっぱり香耶だ!髪の毛長くなってる。女の子っぽいよーっ。

中学のときはショートカットだったのに。

ちょっと、ショックーっ。


相手も男女で来ている!

えっ、これじゃダブルデートじゃないっ!


あっ、向こうの学校の女の子もけっこう可愛いっ。


まずいよっ。


男の子は普通かな。人の良さそうなタイプかな。

うーん、それにしても、香耶が雅人の彼女みたいな顔で横に立っているのはイライラする。」


鈴音がぶつぶつ言っている間、

智花は智花で観察していた。


まずは、一番興味を持っていた双葉あやめから、観察した。

(思ったとおり、可愛いっ。

しかも垢抜けている。かわいく見せる技術もってる!

でも、ちょっと性格きつそう。

かわいく見せながら、自信があふれてる。

うん、俊樹の好みじゃないと思う。心配しないでいいかも。


そして、鈴音の好きな雅人くんかあ。

わあっ、ちょっとワイルドっていうか悪そうな顔してるなあっ。

ちょっと怖く見えるけど、意外と優しいのかも。


そして、香耶ちゃん。

わっ、あやめちゃんよりさらに、きつそうだ。

自立している大人の女っていう感じ?強そう!

背も高いし、かっこいい女の子ってイメージだ。

小動物系の鈴音ちゃんと正反対だ。)



そこで、鈴音がまた解説者みたいに話し出した。

「わっ、自己紹介している。なんか、4人とも緊張している。

あっ、自己紹介終わって、話しを始めた。

けっこう打ち解けたみたい。

あー、なんか落ち着かないよ。」


そのうち、4人は貸しスタジオの建物の中に消えていった。


そして、鈴音はポツリと

「いなくなっちゃった。」

と寂しそうに呟いた。


智花が励ますように声をかけた。

「さあっ、観察はここまで。

私たちも、ここから出ようっ。

原宿とか行かないっ?

そして、そのあと、どっかで夕食たべようよ。」


「うん、そうだねっ。ショッピングして、気分切り替えて、夕食のときにまた作戦会議しょっ。」


二人は渋谷駅に向かって歩き出した。



さて、バンドセッションで集まった4人に話しを戻す。時間も待ち合わせ時間に戻る。


待ち合わせ場所の、貸しスタジオのビルの前には、約束時間どおり4人とも集まった。


同じ高校生であるということと、

俊樹側がボーカルの女性を連れてくることがわかっていたので、

雅人の方が判断して、声をかける。


「あの、TOSHI君だよねっ?」


「あっ、そうです。もしかして、MASA君?」


「よろしく、今日はよろしくお願いします。

やっと、会えたね。

本名は宮田雅人だ。

”まさと”って呼んでくれればいいよ。呼び捨てでいいっ。

そのかわり、君のことも呼び捨てでよぶからさ。」


「そう言ってくれると助かる。まずは、距離感が大事だからね。

(ちょっと怖い感じのやつかと思ったけど、けっこうフレンドリーだ。よかった。)

俺は、立花俊樹。”としき”でいいよ。

学校でも名前で呼ばれている。

君のドラムが楽しみだよ。」


「じゃあっ、私の出番ね。」

杉崎香耶は、待ってましたとばかりに、二人の挨拶に入ってきた。

「私は、杉崎香耶。学校の軽音楽部では、俊樹のバンドでボーカルやってるけど、

別のバンドではベースやってる。

ロック大好き!ガンガンいこうねっ。」

どうも、香耶はガンガンという言葉が好きなようだ。


残るあやめも負けじとばかり、ハキハキと自己紹介を始めた。

「(わあっ、気が強そうな女の子だ。でも美人。ヴォーカルは私より先輩みたいだから、教わらなきゃ。)

私は双葉あやめ。

ヴォーカル始めたの、実は最近。だから、ちょっとタイミングとか、ビブラートとかテクニック的な

ことが苦手だけど、ガッツはあるよっ。頑張って歌うからよろしくっ。」


「そっか、初心者なのね。わかんないことがあったら、私に聴いて。教えるよっ。

あやめちゃん、私と同じで気が強そうだから、他人と思えないっ。よろしくね。」

香耶は、あやめの雰囲気を気に入ったようだった。

垢抜けていて、可愛いのだが、目力が強くちょっと女王様的な雰囲気をもつあやめを

自分の仲間と判断したようだ。それに、誰も知らないことだったが、

あやめがタレント養成スクールに通っていた時に培った

モデルっぽい身のこなしをちょっと魅力的に感じていた。


「よし、スタジオに入って、準備しよう。」

雅人が声をかけて、4人はビルの中に入っていった。



そして、2時間後、スタジオの中では、熱気の籠った演奏が繰り広げられていた。


「なんか俺たち、相性合うな!俊樹、お前のギターすごく気持ちいいぞっ。」


汗だくでドラムをたたき、上半身はタンクトップ一枚の雅人が感動したように声を上げる。

日頃は女子とばかりバンドをやっている雅人は、俊樹の切り裂くようなエッジの効いたギターストロークと、

激しい早弾きのギターソロに痺れたようだ。


「俺も、気持ちいいよっ。雅人のドラムの音はでかいから、すごく合わせやすいぞ。」


「うん、私も歌いやすい。ノリがつかみやすいよ。」あやめも同感とばかり、声をあげる。


「男の子のギターってすごいねっ。私、さっきのギターソロ、ドキドキしちゃった。」

香耶は今まで経験のしたことのない、ギタープレイにノックアウトされたようだった。


そんな感じで、お互いをリスペクトできるような関係になって、演奏は最後まで続いた。


そして、さらに、2時間後、近くのファミレスで4人は食事&アフターミーティングをしていた。


なんとなく、男同士、女同士で盛り上がっていた。


雅人が俊樹を誘う。

「また、セッションやろうぜ。やっぱ、普段と違うメンバーと音を合わせると新鮮だ。

すごく刺激になった。これを機会によろしく。

まあ、俺たちはSNSでも付き合いあって、好みのロックが同じだしな。

方向性が基本的に一緒というのは、貴重だ。」


「うん、俺は俊樹と同じで、ハードなロックが好きだから、雅人のパワーのあるドラムはいいなあ。

もっと、いろんな曲をやりたいな。

またやろうよ。」


二人は次にやる曲について相談を始める。そして、オリジナル曲もやりたいということまで、話が発展していった。

二人ともワクワクする気持ちが止まらなかった。

最終回に向かって、話をまとめている最中です。


話を終わらせるのって、いつも大変です。

なんとかがんばります。


宣伝ですが、

私は、18禁の小説家になろうサイト「ノクターンノベルス」でもTS女子高生シリーズを書いています。年齢が達している方はそちらも読んでいただけるといいなって思っています。


また、全年齢対象のこちらのサイトでは、この物語終了と同時にTS社会人シリーズをすぐ始める予定です。

前から書きたかった題材なので、ワクワクしています。

就職して、恋人との出会いを探している方や結婚相手を探し始めた方が読むと

興味深いかもしれません。


性転換して、普通の社会人になったTSの真面目な恋愛話を書こうと思っています。

小説家になろうサイトでは珍しい作品になるとは思いますが、

読んでいただける人には読んでいただけるでしょう。

期待していただけると嬉しいなあ。

少しでも興味を持っていただけると幸いです。


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