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第21話 鈴音、現状を知る。

バンド活動って、SNSで知り合ってできる時代ですよね。

便利なものです。

さて、香耶かやは他校生徒とのセッションを雅人に誘われる1時間前、ある女子に電話を入れていた。


その女子とは清瀬鈴音きよせすずねであった。


二人は、小学校、中学と一緒である。

6年間知り合いであったので、仲がいい時期もあれば、喧嘩をして話もしない時期もあった。

結局、中学卒業する頃には

メルアドと電話番号を教えあうくらいの交流になった。

ちょっと仲がいいくらいの関係となった。

ただし、中学を卒業してからは、全然連絡をとっていない。

久々の連絡だった。



一方、自宅で香耶からの電話を受信した鈴音は、雅人に電話をするところだった。


(忙しくて、雅人にダブルデートの企画をさせるのを忘れてた。

っていうか、電話する暇がなかった。

メールでもよかったんだけど、直接声を聴きながら、説明したかったんだよね。

智花を応援するために、威勢のいいこと言っておいて、結構時間たっちゃったよ。

まずい。)


そう思いながら、スマホを手にとったときに、

香耶からの電話をキャッチした。


「久しぶり、清音。」


「えっ、香耶?びっくりした。1年ぶり?それ以上か?

どうしたの?」


「突然だけど、改めて確認したいことがあってさ。」


「何?」


「あのさ、清音って、雅人と幼馴染みだよね。」


「そうだけど・・・」


「付き合ってるの?」


「えっ?いや、・・・そんな感じじゃ・・・」


「で、好きなの?」


「ええっ!何で急にそんなことなんで聴かれるの?

ただの幼なじみだよ。」


「わかった!

実は私、雅人のこと好きなの。これからはガンガンいくからね!」


「ええっ!(そういえば、香耶って雅人と同じ高校だ。)」


「一応、それだけ言っておきたかったの。

もし、清音が雅人のことを好きだったり、

もしくは好きだけど気付かなかったっていうのなら、

今私が言ったことは宣戦布告になるのかな?

とにかく、そういうことだから、じゃあね。」


「ちょ、ちょっとまってー!」


電話はピッと音をたてて、切れてしまった。


(何それっ、雅人のこと好きになる女の子なんていたの?

そういえば、雅人、ここ1年で背が高くなったし、

見た目は男っぽくなってきたかも?


そういえば、香耶って結構可愛い子だった。

歯に衣を着せない言い方が私ちょっと苦手だったけど、

男の子っぽくて、かっこいいって

女の子同士では人気あった。

あの子が雅人のことを好きなの?

しかもガンガン行くって、告白するってこと?

え、えっ、私はどうすればいいの?)


雅人のことを自分の所有物のように感じ、誰にも取られないものだと信じていた清音は、突然、

奈落の底に落とされたように感じた。

しばらく動けなくなった。


すぐに雅人に電話して、どういうことが起こっているのか確認したかった。

もう、ダブルデートの企画どころではなかった。

でも、清音は自分の頭の中を整理しなければいけないと気がついた。


(とにかく現状を把握しよう!いったいどういうことだろう?


まず、私と雅人と香耶の関係を考えてみよう。


思い起こせば、この3人は小学校、中学校6年間一緒だ。

というか、雅人と香耶にいたっては、同じ高校に行ったんだから、私より1年以上多い!

うっかりしてた!

そ、そういえば、雅人もバンドやってるけど、香耶も中学の時、女の子バンドやってる!

ということは、高校で同じ軽音楽部だ!


雅人との関係は私が一番強いと思っていたけど、そうでもないっ!

あいつが私のことを好きに違いないって、ずっと思ってたけど、それも根拠ないっ!

ということは、雅人と香耶がくっついても不思議ない。

っていうか、香耶の方が関係性は強いんじゃない?だって、同じ高校で同じ部活をやってるんだもん。

もしかしたら、同じバンド?

うわーっ!全く気づかなかった。


ところで、なんで私は動揺してるの。私にとって、雅人って何なの。あいつのことなんて好きじゃなかった

はず。単に幼馴染で、いつでも私が呼びつければ、いろいろ付き合ってくれる便利な男。バレンタインにチョコあげれば、ものすごく喜ぶような私の家来みたいなやつ。

でも、でも、彼女があいつにできちゃったら、もう呼んでも来ないよっ。


えっえっ?  それは


いやだーーーーーーーっ!)


清音はそこまで考えをまとめて、一つの結論を出した。

自分は、雅人が他の女の子を彼女にすることを許せない。

つまり、自分は雅人が好きなんだ。

雅人の彼女になりたいんだ。

もう、間違いない。

でも、今さら、どうやって雅人にアプローチすればいいんだろう?

今さら、好きだなんてとても言えない!

どうしよう、どうしよう?

とにかく会おう!


そこで、清音は雅人にやっと電話をした。


間が悪かった。一回めに電話した時は、雅人は木村優香と電話をしていた。


少し間をおいて、2回目に電話したときは、雅人は香耶と電話をしていた。


「つながらない!まさか香耶はもう行動を起こしているのかな?

どうしよう。

そうだ、智花に電話しようっ」



そして、

30分後、智花は鈴音の激白を聞き終わっていた。


「確かに、鈴音は不利だね。

でも、経過を冷静に分析すると、香耶ちゃんっていう子もこれから雅人君にアタックをするところだから、

今のところ雅人君はフリーってことでしょう?

慌てることないんじゃないかな。

気になるのは、鈴音が雅人がどんな高校生活を送っているのか知らなかったことだよ。


たしか、雅人君の学校って私の記憶では、女子高から男女共学になったばかりで、女の子だらけの共学校だよ。もし、雅人君が女の子にモテるタイプだったら、けっこう狙われても不思議ないよね。


それから、バンド活動のことだけど、鈴音はライブとか見に行ってあげてないよね。

どんな曲をやって、どんなメンバーでどんな練習をしているかわからないんだよね。

それは反省するべきかも。

私もそういえば、幼馴染の俊樹のライブを見たことないから、見に行かないとダメかなって思った。

男の子が夢中になっているものを、見てあげないと男の子って不満になるかも。


とりあえず、今日は寝て、明日電話してみたら。それで、そのあと、実際会って話をすることが

大事だと思う。」


「あっ、ありがとう。なんか、すっきりした。

あした、あいつに電話してみるよ。」


鈴音は、やっと眠ることができた。


一方、俊樹のバンド活動について、話は聞いてはいるが、実際にライブを見たことないし、

メンバーに会ったことがないのはマズいなあと思う智花であった。

「人のふり見て我がふり直せ」ってことはこういうことかも、と思った。

たしか、俊樹に告白してきた女の子はバンドのボーカルをやっていると聞いている。

俊樹は断ったらしいが、まだまだ油断はならない。

ある意味、智花以上に俊樹の近くにいる女子である。

というか、本物の女性という点で、智花より有利だ。

私も、ライブがあれば、見にいこう。バンドの状況も何気なく聴こうと思うのだった。


翌日、鈴音は、雅人に電話をして、やっと直接話をすることができた。


「あのさあ、日曜日って雅人空いてないかなあ。ちょっと話がしたくって。」


「悪い!日曜日はバンド活動だ。

実はネットで知り合った同じ高校生と渋谷のストームっていうスタジオでセッションする。

2時から5時までなんだけど、午前は演奏曲の個人練習をしておきたいし、セッションの後は、一緒に飯食う約束しているし、ちょっと無理。」


「そ、そうなの?」

鈴音は悲しそうな声をだした。


「次の日曜ならなんとかする。」


「わかった。次の日曜は空けといてよ。」


「ああ。」


電話を切ったあと、鈴音はまた考える。


(もしかして、バンドでセッションって、他のメンバーは女の子だったりして。

その中に、香耶がいたりして。

ううっ、可能性ある。

ちょっと、確かめたくなってきた。)


鈴音はすぐ智花に電話をして、事情を伝える。

そして、頼み込んだ。

「お願い、日曜日付き合って。

雅人がバンド活動っていってるけど、メンバーを確認しておきたいの。

一緒に、渋谷に行ってくれない?」


「えっ、ちょっとストーカーっぽくない?

こっそり覗きに行くの?」


「本当はオープンで覗きに行きたいけど、さすがに私のプライドが許さないの。

今、ネットで調べてたら、広い道路を隔てて目の前にオープンカフェがある。

練習が終わるころにそのカフェで、スタジオの入り口をチェックしたい。

ちょっと距離があるから、双眼鏡をもって観察するよ。

雅人がどんなメンバーとバンドをやるのか知りたい。」


「うん、わかった。

親友の鈴音のためだもん。付き合うよ。

二人で探偵になろう。ちょっとした変装もしようよ。」


「智花は変装しなくてもいいでしょ?部外者なんだから。」


「そこは気分を盛り上げるってことで、やりたいの。」


「わかった。二人でちょっとした変装しよ。楽しまなくっちゃね。」


鈴音は不安でいっぱいだったが、楽しもうと前向きに考えることにした。




幼馴染みだけでなく、仲のいいクラスメイトっていうのもきっかけがないと男女交際にならなかったりしますよね。片方だけが意識してるっていうのもよくあります。

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