第14話 部活動
放課後、智花は清音に連れられて、漫画アニメ研究部に向かう。
部活が入っている校舎はまだ新しく、設備も充実している感じだった。
さすが、お嬢様校と智花は感心する。
『漫画アニメ研究部』と表示された部屋に来ると、清音は
勢いよくガラガラっと引き戸を開け、部室に入る。
「おっはよーっ!」清音は元気よく叫んだ。
(午後なのにおはよう?)
ところが、部室内はがらがらだった。よく見ると、一人だけ、部員がいて、お茶を飲んでいた。
「おはようございます。清音さん。」
その部員は清音と正反対だった。背は高く、大人の雰囲気たっぷりの色っぽい女性だった。かわいいというより美人という表現が的確なタイプだった。クールでミステリアスな感じでもあった。
「部長、編入生が入部してくれます。佐藤智花ちゃんです。
あっ、智花、こちらの方が3年生で部長の本間渚沙さん。」
「あっ、はじめまして、佐藤智花です。よろしくお願いします。」
「よろしく、智花さんですね。すごく可愛い!素敵です。」
「あ、ありがとうございます。」
渚沙はゆら〜っとした動きで智花に近づいた。
「あっ、智花ちゃんあぶないっ!」
「えっ?」
智花が清音の警告を聞いたときには遅かった。
渚沙の唇は智花の唇に覆いかぶさっていた。
「あーっ、やっちゃったーっ。部長のキス魔が降臨しちゃった。
最近はおさまってたんだけどなあ〜。」
一方、智花は固まってしまっていた。いったい何が起こっているのかわからなかった。
渚沙にねっとりとキスをされているのをなんとか理解した。
そして、ニュルンと舌がはいってきて、舌が絡まったときに気がつく。
(ディープキッス?!この部長、変態だっ!)
我に返った智花は渚沙を突き放す。
「はあっ、はあっ、いきなりキスって何ですか?私、初めてのキスしちゃいましたよ!
それも、初めてのキスがディープキスなんて!信じられませんっ。」
「ご、ごめんなさいっ。つい、キスしちゃいました。私かわいい子をみると、我を失うんです。
許してくださいっ。ごめんなさい、ごめんなさい。」
クールビューティっぽかった部長は泣きそうな顔で、ぺこぺこ頭をさげる。
さっきまでの大人っぽい雰囲気は台無しだった。
「えっ?!
あっ、そのー・・・大丈夫です・・・。
怪我したわけじゃないから。そんなに謝らないでください。
それに女同士なら、ノーカウントだと思うし。」
智花はあわてるしかなかった。
(変態だけど、悪い人じゃなさそうっ。)
「ほんと?許してくれる?」
「はいっ、許します。」
「じゃあっ、さっきの続きしてくれる?」
「だめですっ!」
「やっぱり。」
シュンとなる渚沙。
横では、清音が爆笑していた。
「これで、仲直りですね。
部長だめですよっ。かわいい子をみると我を失うのは。
智花ちゃん、部室から逃げ出しちゃうところでしたよ。
智花、渚沙さんはキス魔っていう変態だけど、悪い人じゃないの。
私もさんざんキスされていて、いつも怒ってるんだけど、なかなか治らないの。
部員は全員キスされているから、これで、智花も部員として平等よっ。」
「そ、そうなの?」
智花はもう一度、部長の渚沙をみる。
いつのまにか最初のクールビューティに戻っていた。
「ようこそ、漫画アニメ研究部へ。私が、部長の本間です。
主な活動は夏と冬のコミケでの同人誌の販売です。
文化祭では、問題のない作品の同人誌を配布しています。
アニメについては、パソコンをつかってアニメを少々つくっているので、部の名前に加えています。
けっこう、みんな熱いですよ。
よろしくお願いしますね。」
最後ににっこり笑った。
笑顔をみせながらも凛とした雰囲気に先ほどの残念な姿は微塵もなかった。
「よろしくお願いします。でも、私、漫画もアニメも好きだけど、漫画描いたことないんですけど。
ただ、小説を書いているだけで、清音はそれでも役立つって言ってくれたので・・・」
「ストーリーを書けるってことは貴重な戦力になるわ。
心配しないで。
うちの連中にはシナリオや脚本を求めている子がいっぱいいるから、
きっと重宝されると思う。
また、アニメ、漫画と共生しているライトノベルというジャンルももあるから、
小説を書いてもいいんですよ。」
澄み切った目で、渚沙から優しく言われると、またキスされてもいいかな、美人だし、と思ってしまう
智花だった。
しばらくすると、部員が次々とはいってきた。
清音が智花を紹介すると、
「かっわいいー。どこから来た?。どこに住んでいるの?
髪の毛きれいっ。目が大きいっ。スタイルいいっ!」
などと、複数の部員が取り囲み、智花に質問したり、褒めたりした。
そんな騒ぎの中で、興味は、
部長のキス攻撃に移る。
「ねえねえっ、部長にキスされた?」
「あ、はい・・・。驚きました。」
「部員、全員キスされているからこれで仲間よ。
部長のこと許してね。
悪い人じゃないんだ。ちょっとしたあいさつみたいなもんよ。
それに、部長って美人じゃない?許しちゃうよね。」
どうやら清音が言っていたことは事実らしい。
部員たちの発言で納得した智花だった。
そして、そのあとも智花の趣味とか、部活でやりたいこととかの話が続いたのだが、
一人だけ、智花に質問してこない部員がいた。
その子は質問の輪からちょっと離れて、座って本を読んでいた。
智花の視野にはしっかり入っていたので、智花は気になった。
その子の特徴はショートカットでちょっとミステリアス、
部長と同様のクールビューティといった雰囲気。
綺麗なのだが、ちょっと近寄りがたい感じがあった。
学年を示すバッジの色で同じ2年生ということがわかる。
(この人とも話しておかないと・・・)
智花は、すっとその女子に近づいて、
「同じ2年生ですよね。いろいろ教えてください。」
と声をかけた。
その女子は、スッと立ち上がる。
「じゃあ、教えてあげる。」
その瞬間、後ろの女子数名から、悲鳴があがる。
「智花ちゃん、危ない!」
何と、智花が声をかけた女子生徒は部長と同様にあっという間に智花の唇に自分の唇を
重ねていた。部長同様、ねっとりとしたキスをしてきた。
(この子も部長と同じ!うわあっ、変態だあ!)と驚きながらも、智花は先ほどよりは冷静だった。
(よし、これも勉強だ。キスを味わっちゃおうかな?)
智花は軽く抱き寄せられていたのだが、逆に相手を強く抱き寄せ、
自分の舌を相手の口の中に侵入させて
口の中をかき回した。それもすごい勢いで。
「うぐっ!」主導権を奪われた相手の子が目を見開きびっくりする。
さらに智花はキスをしながら、相手の制服の中に手を侵入させ、胸を揉みだした。
そして、単に揉むだけでなく、乳首があるあたりをつまむようにした。
「わあっ!」相手の子はさすがにびっくりして、離れた。
「へ、変態っ!!」
周りで見ていた、部員たちは、驚いて思わずつぶやきはじめた。
「すごいっ!変態の美代華が逃げ出した!」
「変態が変態っ!!て叫んで逃げ出した!」
「智花ちゃん、顔に似合わず大胆!」
智花は、
舌を出して、その美代華に謝った。
「ごめんなさい。ちょっとふざけちゃった。よろしくね。」
美代華は「う、うんっ」と恥ずかしそうに答えるのが精一杯だった。
自分が強引な行為をしたことがわかっているので、智花のおふざけに対して
怒れないのである。
そこで、部長が出てくる。
「何だー。智花ちゃんもキス好きなんじゃない!さっきの続きしようよお!」
「だめですっ。」
「うーん、つれないなあっ。」
その時、他の部員が一斉に、智花を取り囲んだ。
「私、智花ちゃんとキスしたいっ!」「私も!」「ずるーいっ、私も!」
「えーっ?、私もしたいっ!」「部長と美代華だけなんてずるいよおっ。」
「可愛い智花ちゃんとキスしたーい!」
「えっ?どうしたの?みんな?」
そこで、ちょっと離れたところで様子をみていた清音がぽろっとその疑問に答えた。
「みんな、部長の影響で、可愛い子をみるとキスしたくなっちゃってるの。
相手してあげて。もう、止められない・・・」
清音は頭を抱えて背中を向けた。
「そ、そんなあ〜!!!」
その後、智花は部員全員にキスをされてしまった。
さすがに舌を入れてくるような子はいなかったが、次々とねっとりとしたキスをされるのには
参ってしまった。
最後には目はうつろになり、ぼーっとなって椅子に倒れこむように座った。
キス疲れだった。
周りでは、
「やっぱり、きれいな子の唇は美味しい!」
「可愛い子とのキスって最高!」
「また智花とキスしたいっ!」
「すっごく、満足うっ!でも、もっとしたいっ!」
「今度は舌を入れようかしら!」
という声が聞こえる。
いつの間にか、横には清音が来て、智花に謝りにきていた。
「みんな悪気はないんだよ。
信じられないかもしれないけどレズでもないからね。
みんな、男の子が好きなノーマルだよ。
ただ、可愛い子とのキスが好きなだけ。」
さすがに、清音はキスしようとしてこなかった。
まともな存在としての立場を貫こうとしたようだ。
「怒ってはいないけど、驚いたっ!」とため息をつく智花である。
いったい、この部はまともなの?と智花は思ったのだが、
その直後、驚くことに部長は何もなかったように
「さっ、ミーティングを始めましょう。」と凛とした声で、号令をかけ、部活がはじまった。
それぞれの部員も真剣な目に変わる。
一瞬で空気が変わった。
清音が小さな声でささやく。
「みんなオンとオフは使い分けているの。さっ、ミーティングに参加しようっ!」
戸惑いながらも、ミーティングで自分のやりたい事を話し、
積極的に活動に参加しようとする智花だった。
(変な人たち!でも、好きな事に夢中になるところはすごいっ。
まあ、やるしかないかっ。)
清音は清音で驚く。
(すごい順応性。誘ってよかったー♪)
そして、小さな声でつぶやく。
「私もキスしたかった。」
次回は23日の夜か24日の午前中にアップすることを考えています。
次のお話は男性側の主人公の俊樹の学校のお話を予定しています。




