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第6話

よろしくお願いします。

ここはどこだろう。見覚えのない天井と慣れない寝具の感触…。


う〜……頭痛い。頭痛すぎて目が開けらんないよ…。何が起きたんだろうか?誰かの叫ぶ声がしてそのあと……。


思わずガバリと起き上がる。が、クラクラしてまたそのまま倒れこんでしまった。


「お嬢様!」


ローザの声とともに数人の足音がした。今度はゆっくりと目を開けて体を起こす。


「「カレン!」」


お兄様達だ。


「よかった…目を覚まさないから…不安で…」

「ごめん…ごめんな。近くにいたのにかばってやれなくてっ…」

「ただいま医務局長が来てくださるそうですよ。でも…本当に…よかっ……」


ローザが泣いている。何だか申し訳なくてそっと服を掴んで微笑んだ。

─結果、もっと泣かれてしまった。うぅ…。


「お待たせしました。医務局長のアビスです。ほらほら皆様、診察いたしますからね。殿方はお部屋から出てくださいな」


何か言いたげな2人だったがしぶしぶといったように部屋を出ていった。まるで初対面ではないような気安さで話しかけてくる。それが安心して落ち着く。


「ほら貴女も泣かないの。カレンデュラ様が困ってるでしょう?泣いてる暇があったらお手伝いしてくださいな」


テキパキと診察の準備を始めていく。ローザも落ち着いたらしく手伝ってくれた。

幾つかの診察を終えて、アビス様が手を握ってくれると起きた時程ではないが鈍く続いていた頭痛が収まり、体もポカポカしてきた。


「カレンデュラ様、何があったか覚えてますか?」

「…爆発が起きたような気がするんですがわからないです」

「実はですね、カレンデュラ様は爆発に巻き込まれて3日ほど目を覚まさなかったのです」

「……えっ?」

「最初はかなりひどい魔力酔いの症状でしたが、今は落ち着いています。事故当時は医務局だけでは足らず王医殿も治療に当たってくださったんですよ」


コロコロ笑うアビス様だが、それって笑い話なんだろうか…。


「ただ…魔力が落ち着いたとはいえ、楽観視できる状態ではありません。今こうしてカレンデュラ様に治癒の魔力を流しておりますがまだ時折不安定になってらっしゃいます。頭痛や吐き気はございませんか?」

「目が覚めた直後は頭痛がひどかったです。今は頭痛も収まって何だかポカポカしてて眠くなってきました」

「ではもう少しおやすみくださいな。体はまだ不調を訴えているようですから。次に目覚めるときはすっきりしてるといいですね」


アビス様の声と手の温かさにそのまままた眠りについた。




再び目を覚ました時には頭痛もなくすんなり起き上がれた。今はどれだけ時間がたったんだろう…。するとカチャリととドアが開き、ローザが水差しを持ってきてくれていた。


「お加減はいかがですか?あれから然程時間は経っておりませんが、もし大丈夫そうでしたら旦那様達もおみえになっております。アビス様からはお嬢様が大丈夫そうなら面会は可能だとお伺いしております。お通ししてもよろしいですか?」

「えぇ、そうね」


きっと心配してるだろう。まさかこんなことになるとは思っていなかったし…お父様、怒ってるかな…。

程なくしてお父様が1人で部屋にやって来た。


「お父様、心配かけてごめんなさい」

「そうだな、本当に心配した。王医殿は大丈夫だと言われたがやはり生きた心地がしなかったよ。

おはよう、我が家の眠り姫。寝坊なんてしないでもっと早くに起きておくれ」


そうそういって抱きしめてくれた。

申し訳なくて、胸が苦しくてそのままお父様にだきついた。



明日、改めて迎えにくると言ってお父様は帰られた。お兄様達も残るとごねたみたいだが、お父様に、説得されたようで今日はすでに帰宅していると聞いた。


それにしても爆発か…。

でもあれ、どっかで見たことあるんだよなぁ〜。

今まで爆発なんて目の前でも見たことないはずなのだが。


何だっけ…?思い出せそうで思い出せない、この気持ち悪さ…。とりあえず顔を洗ってすっきりしよう。

早速とばかりに洗面台へと行き、鏡に写った自分の顔を見て思わず固まった。そして鏡にへばりつく。


「あーっ!!!」


思わず叫んでしまったのは仕方ないだろう。ローザが慌てて駆け寄ってきた。私はそのまま座り込んでしまった。


「思い…出した…」


私の呟きはローザには聞こえなかったみたいでそっと立たされ、されるがままだった私はまだ体調が悪いと思われたのかローザにベッドへと押し込まれた。


「ねぇローザ。今日はもう大丈夫だから貴女も休んで。私ももう寝るわ」


そうそういって心配そうなローザを隣室で休ませ私はベッドの中で考える。たたひたすらに悶々と頭の中で疑問符が飛び交う。初めから全開で蛇口を捻ったように、まるで氾濫ともいえる記憶の渦だけれど、それに飲み込まれることもなく、

情報の整理に努めた。


一体私に何がおきた?

今ある記憶と昔と思われる記憶?

違和感を突き詰めるとどうなるか?

『私』と『彼女』との違いはどうか?



結果、私は悪役令嬢であるカレンデュラ・リーファンに転生した。と判断した。……マジか…。


次回、説明回になると思います。

ありがとうございました。

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