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第4話

ゆっくり展開ですみません。よろしくお願いいたします。

やって来ました王都です。

お城の白い壁が太陽を反射してより一層きれいに見え、荘厳というか優美。建国の王は当時のお妃様のために建てたと家庭教師の先生に習った。確かに女性らしい雰囲気を醸し出している。

そんなことをつらつら考えていたらあっという間に手続きを終え、街中に入ってしまった。現実逃避もここまでか…。馬車から眺める街中は活気があり、賑やかだ。色とりどりの店に心が踊る。




あれからは馬車の中では誰もしゃべることなくここまできたけど…もとはと言えば私が余計なこと聞いたからなのかなぁ…。まさかアルお兄様がそこまで悩んでるとも思わなかった。それよりもウィルお兄様があんなに怒ったことにもついていけなくて…。申し訳なさいっぱいだった。アルお兄様には馬車を降りたとき声をかけそびれてしまうし…。はぁ。ため息がとまらない。


今は王都にある別宅で登城手続き待ちをしている。ウィルお兄様は本を読んでいるしアルお兄様も検査の準備中。私は手持ちぶさたにお茶をちひちびと飲んでいるだけ。

すると、控えめなノックがする。お兄様が返事をしようと視線をむけた。と、同時に明るい声が響いた。


「やぁやぁ、ウィルバート。申請の許可が降りたから迎えに来たぞ」

「勝手に入ってくる馬鹿者は知り合いにはいないんだがな」

「そう固いこと言うなって。早く知らせたくて我慢できなかったんだよ」

「どうだかな。もっと別の目的もあるんじゃないのか?」


部屋に入ってきたのはお兄様の長年のご友人であり、共に留学している方で、ゼファー・クロイツ様だった。この方、宰相様のご子息で未来の宰相閣下である。

2人はなかなか息のあったコンビであるらしくポンポンと言葉の応酬で、私はあっけにとられてしまった。すると不意にこちらを向いたゼファー様。


「やぁ、久しぶりたね、カレンデュラ嬢。前に会ってからいくらか時が経つけど相変わらず美人だね。今日の装いもとても君に似合っているよ」


満面の笑みで話しかけられて思わず頬が赤くなる。


「お久しぶりでございます。ゼファー様。ゼファー様もいつも変わらず素敵なお言葉をありがとうございます。思わずときめいてしまいました」

「カレン、ゼファーのことは空気だと思って相手にしなくてもいいからね」

「ちょっとそこのシスコン、僕の扱いひどくない!?」

「さぁカレン。アルを呼んで検査会場まで行こうか」

「無視なの!?」

「あ、あのゼファー様は…」

「あぁ。あれは放っといても勝手についてくるでしょ」


私の手をとり優しくエスコートしてくれるお兄様。その後ろでゼファー様が …そっとしておこう。



アルお兄様を迎えに部屋まで行くと思ったより明るいお兄様でホッとした。


「さっきゼファーが手続きが通ったから迎えに来たと言っていたよ。準備ができているなら行こうか」

「ありがと、兄上。ゼファー様もありがとうございます」

「いいんだよ〜」


…いつの間に…。ゼファー様は手をヒラヒラさせながら笑顔で立っていた。



さて、なんやかんやありまして──ゼファー様にお嫁においでとか、うちの妹になりなよとか……お兄様に足を踏まれながらも声をかけてくださるその度にお兄様達(特にウィルお兄様)からのブリザードが恐ろしかったです──無事?にお城にある騎士団執務室に到着した。


「待っていたぞ、アルベルト!」

「はっ!アルベルト・リーファンただいま戻りました」


お兄様の姿は凛々しい。……けど今気になるのは目の前の騎士団長様で…。


「くま…」

「「「ぶっっ」」」


ポツリと。本当にポツリと溢した一言は思いのほか響いたようで、ゼファー様と、執務中と思われる騎士団員の方がふきだした。

しまった!と思った時には遅く。


「カレン?」

「ご、ごめんなさい!決して悪口のつもりはなくて…っっおっきくて強そうでさすがというか…」


みんなに注目されて小さくなってしまう。下を向いていて気づかなかったが、足元に影ができてはっと顔をあげた。同じ目線にくま……騎士団長様のお顔が…。どうやら私に合わせてしゃがんでくれたみたいだ。


「がっははは。安心しろ嬢ちゃん。熊みてぇってのは俺にとっちゃ誉め言葉みたいなもんだ」


わしゃわしゃと髪をかき混ぜられ急に目線が高くなる。


「きゃっ」

「俺が結婚した時にうちの嫁が言ってたが、俺が熊に似てるのがステキなんだってよ。強くて安心するらしいぞ」


あ、何か分かるかも。必死に頷く。


「おっ!分かってくれるか!いやぁ、アルベルトの妹は見る目があるなぁ。どうだ、うちの息子の嫁に……」

「団長殿、早く検査を始めましょうか。ほら、カレンも団長殿のお邪魔になってはいけないからこちらにおいで」


かん間髪いれずにお兄様が私を抱き直す。

後ろではアルお兄様が頭を抱えていて、ゼファー様は笑いが止まらないのだろう、さっきからずっと肩が震えている。


またあの豪快な笑い声が響き、私達は試験会場へ向かっていった。

ありがとうございました。

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