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第2話

よろしくお願いします

庭園での和やかにゆっくりと過ぎる私にとっての至福の時間。


しかし異変は突然におとずれた。

それは大好きなお兄様達と大好きなローザが入れてくれたお茶を口にした時だった。


「あれ?ローザ、お茶変わった?」


さっきまでと同じはずのお茶がなぜか別のお茶のように感じたのだ。あれ…なんだろこの違和感…。カップを見つめながら首を傾けてしまう。


「そうかい?いつも通り美味しいお茶だと思うけど…」


ウィルお兄様の言葉にハッとして顔を上げる。


「あ!もちろん美味しいお茶よ!いつもみたくローザの優しい味がするし、私はとっても好きよ!気を悪くさせてしまったならごめんなさい」

私の勢いに驚いた様子はあったもののいつもみたくふんわりと微笑んでくれるローザにほっとしながらもう一口。うん。美味しい。何だったんだろ…。

ローザのお茶からはいつもの優しい香りと味がする。ローザのお茶は我が家で働いてくれてる人達の中でも飛び抜けて美味しいと思う。


「ありがとうございます、お嬢様。私のお茶を毎日誉めてくださって。お嬢様のお茶をご用意するのは私の楽しみでもあるんですよ。他にも私以外の使用人達にも優しいお声をかけてくださって…。私含め皆、お嬢様が大好きなんですよ。そのお気持ちが嬉しいですし感謝しております。私はそんなお嬢様の為にお茶をお入れしてるんです。なので気を悪くするなんてことはありませんよ。きっと甘いお菓子を食べていらっしゃいましたからお茶の苦味を感じたのかもしれませんね」


優しくて微笑んでくれるローザ。かえって気遣われてしまったかも…。でもそう言ってもらえるのは嬉しくて、えへへ。っとローザと顔を見合わせてはにかんでしまう。やっぱり私はローザが大好きだ!




だんだんと気温が下がり始め少し肌寒くなってきた。いつの間にやらローザが大きめのストールを持ってきてくれていた。


「日も落ちてきたしそろそろ中に戻ろうか」

「だな。明日もあるし。カレン、明日風邪引いたなんて言ったら連れてかないからな」


そう言ってアルお兄様はローザからストールを受け取り私に羽織らせてくれた。そのまま抱き上げて部屋を目指す。ウィルお兄様はお父様のところへ行くみたいで、また夕食でね。とお父様の書斎へ向かって行った。





家族みんなで集まった夕食で、お父様に明日の事を相談してみた。反対されるかとも思ったけど予想外にあっさりと許してくれた。ウィルお兄様を見るとこちらに顔を向け、片目をパチリ。笑顔でウィンクしてくれた。きっとお兄様がうまく話してくれたんだろう。アルお兄様はお父様から「明日は頑張れよ」とだけ言われてた。苦笑しながら頷いてこっちを見て、照れ隠しなんだろうけど、寝坊だけはするなよと小突かれてしまった。


そんな風に楽しい夕食も終え、今は自室に1人。ベッドの上で本を読んでいる。今日は楽しかったなぁ。そして…

ふと昼間のことが頭をよぎる。思い返してみてもそれまでと同じお茶を飲んでいたわけだし変わるはずはないわけで…でも漠然と違う気がして…。

考えれば考えるだけわからなくなってくる…。決してお茶が美味しくなかったとかそういうわけじゃなかったしなぁ。でもはっきりとその違和感が何なのかうまく説明もできないし…。


「う〜ん…すっきりしないなぁ」


私がローザのお茶に違和感を感じたのが初めてだった。今まで飲んだお茶と何が違うと思ったのだろう。比べる対象なんてないはずなのに…。他の人に入れてもらった時の違いとかそういったものではない気がする…。お茶自体の違和感?そんなこと今まで1度もなかったはずなのに?

いくら文字を目で追っても頭に入ってこない。もう本を読む気にもなれなくて読みかけのまま閉じてしまう。いくら考えてもモヤモヤした気持ちが晴れないし、もうダメだ。考える事を放棄する。

─明日はお兄様の魔力適性検査だし、今日はもう寝よう。


やはり疲れていたのか目を閉じるとどんどん意識が遠退いていく。明日、楽しみだな。



私、カレンことカレンデュラ・リーファン。10歳になる春の日のことでした。

ブックマーク登録ありがとうございます。私の拙いお話しを読んでいただけることが嬉しくもあり、恥ずかしくもありますが、これを励みに頑張っていきたいと思います。これからもお付き合いいただければと思います。よろしくお願いします。

追記

ウィルとアルの年齢を変更と共にカレンも年齢を変更しました。ご迷惑おかけしました。

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