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第9話

よろしくお願いします

そんな涙の再会のなか宰相様がいらっしゃいました。


「この度は災難でしたね」

「いえ…アビス先生をはじめ、たくさんの方が尽力してくださったと伺っていますし、何よりこうして無事でしたので。お世話になった方達には改めてお礼をしたいと思っております」


ゼファー様はお父様似なんだなぁって何となく思った。緊張をごまかす為とはいえそんなことぐらいしか思い付かなかった。


「実はですね、この度の爆発について説明と今後のお話しをさせていただこうと思っているんです。とりあえず原因がわかったのですが何分微妙な問題でしてね…。ひとまずカレンデュラ嬢には魔力適性検査を受けていただきます」


ちょっと待て。今なんて言った?

宰相様の眼鏡がキラリと光る。


「ですので準備が整い次第声をかけてください。今回は私も立ち会いますので」





しばらくしてから妙に浮かれぎみな騎士団長様、もといウルフ様が迎えにきてくださいました。熊なのに狼ですって。まぁ、群れのボスってイメージはわかるかな。そんなことを考えていたら肩に担がれた。そのまま歩き出す。


「嬢ちゃん聞いたか?これから検査するんだけどよ」

「はい。宰相様から伺いました」

「一応簡単に説明するな。爆発の原因、あれな、聖霊の仕業だったんだよ。なんでもアルの魔力に興味津々で近づいてきたみたいなんだが…イタズラ半分でちょっかいだしたらしい。そしたらそのまま魔力玉入れてた封魔の箱ぶち抜いて魔力が暴走しちまってな。しかもただの精霊じゃなくて、上位種に変化したばっかの聖霊だったみたいでなぁ」


すると私はイタズラに巻き込まれたということか…。ならイベントではそんなものなかったし大丈夫かな。選択肢、その他か。これならセーフだろう。


「今、風の聖霊王が来てお前に会わせてくれってさ。謝りたいらしいんだとよ」


イベントじゃないですよね!?そんなのどこにもなかったし!まぁでも、やっぱあれだ。全くの別世界だ。…用心のために別ルート探しますけどね!


「まぁ、突然のことで嬢ちゃんも驚いてるかもしれねぇがちょっと付き合ってくれや」


苦い顔してため息をついたウルフ様。


「それに魔力玉にこもった聖霊の魔力を一番くらったのは嬢ちゃんだしな。念のための確認もしたいしな」

「他の方は誰も何ともなかったですか?」

「ん?あぁ、とっさに防壁をはったからな。ただ爆発に一番近くで巻き込まれた嬢ちゃんにはとどかなかったんだ。本当にすまなかった」

「いえ…まさか聖霊のイタズラだなんて思いもしなかったですし、ウルフ様が謝ることは何もないですよ、だから気にしないでくださいな」

「そうか、ありがとよ。よし、今度うちの嫁のオススメケーキとやらをもってくるからな!」


そのあとは終始和やかに話が続いた。




ついた場所は前の場所でなく貴賓室。

部屋の中には見知った人々。声をかけられるやいなや次々と謝られた。

こんなにたくさんの人に心配かけていたことに驚いた気持ちと、それとは別に何度も謝られるのはちょっと居心地が悪くて、私は元気だから気にしないでほしいと伝えるだけであとは口を開くことをしなかった。

しばらくするとウィルお兄様も部屋へやってきた。お父様はすでにお仕事に向かわれ、アルお兄様は訓練へと行っているらしい。お母様は私が帰ってきた時のためにと今現在ローザ達と王都で買い物しているらしい。いいなぁ。つい、顔に出てたのかウィルお兄様がクスリと笑い、検査が終わったら連れていってくれると約束してくれた。



エルド様に呼ばれ、ごく基本的な魔術についての講義がはじまった。とはいえあまり時間もかけていられず、要点のみではあったが今はそれで充分だった。


向かい合うようにソファに座る。

魔術を扱うことは自分の中の力を自覚することから始まり、性質も量も関係なく同じように扱うのだと。コントロールするための学科や実技は学園に入ってからでも間に合うといわれた。

とりあえず水晶体に魔力を通すことを前提とした、簡単な練習を始める。


「カレンデュラ嬢、はじめましょう」

「あの、魔力を通すとはどうしたら…」

「大丈夫ですよ。まずは私の手に自分の手を重ねてください。意識を自分の内側に集中させてください。何か感じますか?」

「はい…なんだかゆらゆら?している気がします」

「そうですね、では今度はそのゆらゆらしているものを擦り合わせて糸のようにします。どうですか?」

「はい、何とか」


何となくだがイメージしてみると、自然とゆらゆらしているものが形を変えた気がする。


「では私が魔力を送ります。感じられますか?」


擦り合わせる糸のようなものにもう一本混ざったような気がした。びっくりして顔をあげるとエルド様はにっこり微笑んだ。


「わかったようですね。では次にあなたの指先だけに力をいれてみてください」


こうかな?あ、指先が何となくだけどムズムズしてきた。さっきみたいに私の作り出した糸が何かにひっかかった気がした。


「はい、よくできました。では力を抜いてください」


ほぅ、と全身の力が抜けた気がした。



いよいよ本番。

あれから何度か練習を重ね、エルド様だけでなくお兄様やウルフ様達にも付き合ってもらった。最初はかかった時間も回数を重ねる毎に短くなっていき、エルド様から大丈夫だと言われた。しかしいざとなるとやっぱり緊張はするもので、何度か深く深呼吸をする。

よし、やるか!覚悟と共に足を踏み出す。

水晶体の前に立ち手をかざす。先程と同じように指先から力を入れてみる。あ、なんか吸い取られてく感じがする。

よくわからないが水晶体は何らかの反応を示している。…長くないか、これ?状況が理解できないなりにこれはまずいんじゃないかなと思い始めた頃、やっと光が収まった。私はふらっとソファに座り込んでしまう。玉を箱にしまいながら、その近くでなにやら宰相様や団長様らが話している。

一体どんな結果だったのやら。

話が終わったのか宰相様がこちらにきて結果を詳しく話してくれた。




結果、魔力が跳ね上がってました。


ありがとうございました。

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