友人ですらない知人
ボーイズラヴ要素は入らない可能性があります。
最初なので、意味が分からないと思いますが、よろしくお願いしますw
私にとってパンツ選びほど、時間のかかる作業はない。
そういう意味ではパンツほどこの上なく邪魔なものはない。
消えてしまえばいい。
現に今だって明日までに仕上げなければならない課題があるというのに机の上にはカタログやPC。PCは某通販サイトの画面が開かれている。
カタログも勿論下着のページだ。
本当に忌々しい。何故、私はこんなことをしているのだろう…………
総ては、私の一言が原因だった。
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「唐沢!」
私の肩に手をかけて、私の食べているカツどんを覗き込んでいるのは同じ経済学部の知人だ。
確かに、知人のはずなのに何故か何時も私が一人でいると絡んでくる。
今も、私は一人でカタログを開きながら片手でカツどんを食べていた。決して、寂しい奴なんかじゃない。
一人がすきなんだ。
いつの間にか、知人――折津――は私の隣に座って、私が開いていたカタログを勝手にめくっていた。何がしたいんだ……
まぁいいやとそうそうに見切りをつけ、もくもくとカツどんを減らしていたら突如折津が異彩な言葉を発してきた。
「お前さ、パンツってどうやって選んでる?」
は??ここをどこだと思ってるんだ!食堂だぞ。私がカツどんを食べているのが目に入らなかったのか?!
と、叫びたくなった。
しかし、場所も場所だし友人でもない知人に向かっていきなり怒鳴るのもどうかと思ったので、そこは自重した。
「俺はさぁ、デザインで選んでるんだけど……お前ってさ、どんなん履いてるんだ?」
カタログ見て思ったんだけど、お前のパンツしたことないんだよな。とか屈託もなく抜かしやがって!
私が何を履いていようが関係ないだろうが。
と、言いたかったんだが……友人じゃなく知人の言う事をそっけなく返すのも失礼かなと思ったのだ。
やはり、失礼だろう?
誰がいるわけでもないが、問いかけるように周りを見回したら……
近い席の人が聞き耳立ててるだけじゃなく立ち聞きまでしてる人がいて、ここが食堂だということを今度は私が忘れしまっていたのに気がついた。クソッ、さっきまでは分かっていたのに。
確かに、パンツとかパンツじゃないとか食堂でする話じゃないよな。
私は急いで、カツどんの残りを口にかきいれた。
そして、いまだ下着のページの私のカタログを眺めながらブツブツと言っている折津の腕を摑んで食堂から立ち去った。折津とは身長さが甚だしくある私に腕をつかまれ半ば引っ張られるようにしているため、折津が度々こけそうになるが知ったこっちゃない。私は目的地につくまではこの手は絶対に離さない。
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そんなこんなで、私と折津はファッションショーならぬパンツショー対決をしようという事になったのだ。
そんなこんなで纏めてしまったのは、単にその後私が逆ギレして「私の方がパンツセンスがある!」といってしまったためだった。自ら、パンツを折津に見せなくてはいけないという苦痛を強いる様なパンツショー対決を決定させる墓穴を掘ってしまったのだ。恥ずかしいやら、情けないやらで現在に至る。
しかし、どうせやるならば勝ちたい。
相手が友人ならば、こんなに考える必要はなったのかもしれない。
だが、折津は友人ですらない知人だ。相手が誰だろうと同じ男としてプライドがある。
見栄を張りたいのだ。
あぁ、折津はどんなパンツでくるだろうか。
そして、私はどんなパンツを選べばいいのだ……
次回――知人から友人へ昇格?-―
またのお楽しみを。
更新は不定期です。