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最終『愛のお化け』 『ねぎ塩焼きうどん』 『漆黒の翼を喪失せし者』(その神に障るな)

今まで書いてきた中でダントツの面倒臭い神。

祟り神らしい雰囲気だとは思う。

或るところに神がいて人は禁足地に神を祀った。

不用意に祠に近付かない・荒らしてはならない。

神に対する畏怖を人は伝えた。


月日が流れ禁足地に対する民のマインドセットは崩れ祠は荒れた。

神は人の子の穢れに塗れ荒御魂となった。

祈りを捧げる人の顔がゲシュタルト崩壊し罰するものと加護を与えるものを判別する事が出来なくなり障る神は厄災となった。


流れを変えたのは御巫の血を引く男が異界に迷い込み異界の糸で織られた青空色の布を手にした。

糸は男と異界を結びつけた。

不本意であったが男は神の浄化を任されることになり純粋な想いのかけらを集める事になった。

 

ある時はソリで虹の麓にまたある時は空飛ぶ鯨で飛行島へ…

ちいさなかけらはひとつのおおきなかたまりになり始めた所だった。


『人の子の命は本当に儚いのぅ。』

荒御魂と呼ばた神の御前に魂だけの存在ななった男がいた。

かけらは全て揃わなかった。


『1代で浄化の遂行ができるとは思って居らぬ。』


神は姿から穢れた漆黒の翼を喪失せし者と呼ばれた。

浄化が進んだ結果こめかみの辺りから輝く翼が生えている。


『以前おぬしに渡した我を模ったコインに呪い(まじない)をかけてある。継ぐに相応しい者にしか見えぬ。』


__誰が見つけるかな。

神は楽しそうにクックッと肩を揺らした。

神がくれたのはお金としては釣り銭程度の価値しかないが異界では神に願掛けする賽銭としてポピュラーな硬貨だ。


「お手柔らかにお願い致します。」

男の魂が乞うと神は詰まらなさそうに眉根を寄せた。

『我はこう見ても慈愛に満ちておる祠を壊さぬ限りだがな。なんなら愛のお化けと呼んでも構わんぞ。』


祠にキャッチボールの球を当てて蝶番を壊した男はクソ熱い中オーボエファイター木村監修のあついたこやき缶を飲まされる罰を与えられた。

神は容赦ないのだ。

「神にお化けなど…恐れ多い。」


男の魂はぶるりと震えた。

神の戯言は真に受けると後で手痛い思いをする。


『おぬしの嫁が作るねぎ塩焼きうどんを食べ損ねた事が心残りじゃ。』


神は男から青空色の布を取り上げると天に投げた。

みるみる空が布と同じ色に染まる。

神がパチリと指を鳴らすとまっすぐ空に飛行機雲が登り男の魂は雲をなぞる様に天に登った。


『迷うなよ。』


天に昇る男の魂にかけた声が届いたかは分からない。

死んだ男の跡継ぎは孫娘で時間がかかると思われたかけら集めをやり遂げた。


…神に虹色の珠を渡して元の世界に戻ろうとした時禁足地に足を踏み入れた者が現れた。

神はみるみる不機嫌になり虹色の浄化の珠を放り投げて孫娘の帰り道を閉ざした。

虹色の珠はおおきなかたまりといくつものちいさなかけらに別れて砕け祠周辺に散った。


孫娘は青ざめた。


神は禁足地に入り込んだ者が逃げ出すか虹色の珠を修復する事を諦めるかと思ったが元通りに治し祠を整えたことで予想が外れ同時に人を試す行動に興味を失った。


『帰れ、我は眠る。』

こうして孫娘は元の世界に戻る事になった。





娘が帰った後の話だが。

木村の禁足地にある祠には鎮守のお祭りにねぎ塩焼きうどんが供えられる決まりが出来たと伝えられる。

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