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第1回 青空 (いつか見た青空の話)

第1回 青空の提出分


疲れていた、生きていく理由も見いだせない。

職場と自宅の往復に疲れて自宅玄関を開けたはずだった。


「いらっしゃいませ、空布屋へようこそ。」


白髪の混じる髪を綺麗に整えた品の良い男性が帳簿を眺めながら声がけした。


「そら…ぬの?」

「職人が一つ一つ手染めしたいつか見た空の風景を布に染め上げたものですよ。」


周りを見ると、四角や丸…楕円など様々な形の布に白や水色から濃紺に至る様々な空を連想する色で染めてある。

中には窓の格子を連想する柄もあった。


一つ一つの布には私の知らない言語て端に小さく何か書かれている、読めたらどの風景の空か分かるのかも知れない。

店主らしき男性が帳簿を見ている机の脇に小さな歪な青い布がありどうしても気になって手に取った。

歪だが澄んだ青い布…美しい青空の断片。


「お気に召しましたか?」

店主に尋ねられドキリとした。


「宜しければその布はお持ち帰り下さい。貴方が持つべきのようなので。」


へ?


顔を上げた時には何時もの自宅だった。

ただ違うのは手に歪な布があるだけ。

布をじっと見ていると今の生活が馬鹿らしくなってきた。


私に読めない文字で『産まれて初めて見た青空』と書かれていることは知らないまま田舎に戻る事を決めていた。

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