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残された時間を知ってしまった私達は  作者: 七瀬乃


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手紙

 ここからは、愛生のお母さんに向けて書きます。絶対に愛生のお母さんに見せてください。


 父さん、母さんにも絶対に読んでほしい。

 愛生と生きた一年を知ってほしい。


 愛生のお母さんへ 

 本当は、手紙を残すつもりはありませんでした。でも、愛生のために手紙を残したい。愛生の想いをお母さんに伝えないといけない気がして、手紙を残します。


 俺と愛生が出会ったのは、高校一年生の時でした。第一印象はすごく笑顔の素敵な女の子でした。誰とでも仲良くして、彼女の周りには常に人がいて人気者でした。一年生の時は、ちゃんと喋ったことがなかったんですけど、二年生になってから、隣の席になったのがきっかけで、初めてちゃんと喋りました。愛生はしっかりと目を見て話してくれて、優しくて、ずっと笑顔でした。俺はそんな彼女に憧れていました。

 たしかその日に、たまたま家が隣同士だというこが分かって、それから一緒に帰るようになりました。俺はその頃から愛生に救われていました。

 その前までは、やりたいこととか特になかったし、毎日死を待つだけで、毎日死に向かって生きているだけでした。でも、愛生のおかげで、ただ死を待つだけの退屈な毎日が少しずつ変わっていったんです。彼女が横で笑ってくれるだけで、癒されたし、本当に楽しかった。

 そんな時、もっと俺の日常が変わるきっかけがありました。それは、愛生のハンドナンバーを聞いた時でした。

 愛生は苦しんでいました。俺が苦しんでいたように愛生も苦しんで、本当に辛そうでした。そんな姿を見て、俺は愛生を支えてあげたい。最後まで一緒にいてあげたいと思うようになりました。

 気の利いた言葉はかけられないけど、そばにいてあげることはできると思って、彼女のそばにいました。

 愛生は苦しみながらも、死を受け入れて、前を向いていました。

 死ぬまでにやりたいことをノートにいっぱい書いて、これからどうするべきか、沢山考えていました。

 俺なんかと違って、愛生は本当に心の強い子でした。

 ハンドナンバーを知ったあとでも、彼女は変わろうとしていました。

 友達に嫌われたくない愛生は、友達に本音が言えなくて、嫌なことでも引き受けていたんです。でも、友達に本音を言えるようになって、嫌なことは嫌とハッキリと言うようになりました。死ぬと分かっても変わろうと努力する愛生は、本当に格好良かったです。

 お母さんとの関係も、愛生なりに変えようとしていました。

 お母さんと上手くいってない、とよく話を聞いていました。でも、それって当たり前のことなんじゃないかなと俺は思ったんです。俺も愛生も反抗期だし、親に対してイライラするのは当たり前だから。

 愛生の話を聞いていると、愛生はお母さんのことが大好きで大事に思っているから、心配をかけたくなかったり、困らせたくなかったり、負担をかけたくなかったり、気を遣いすぎたり、本音が言えなかったりしたんだろうなと思います。

 でも、死が近づいている中で、お父さんが亡くなったのをきっかけに、お母さんに言いたいこと言えるようになったとか、会話が増えたよ、とかよく聞くようになりました。その時の愛生、本当に嬉しそうな顔をしてましたよ。


 ハンドナンバーのことですが、お母さんが大切だからこそ、愛生はお母さんにハンドナンバーのことを伝えなかったんです。最後までいつも通りのお母さんでいてほしかったんだと思います。

 お母さん、愛生のことも、お母さん自身のことも責めないでくださいね。愛生がお母さんを想って決断したことなので。

 あと、愛生がお母さんに何で手紙を残さなかったのか。それは、手紙に残すと、その手紙が悲しむ材料になってしまうからと言っていました。手紙がないほうがきっと立ち直りが早いと。

 俺は、それを聞いてその時は納得したんですけど、愛生の本当の気持ちがお母さんに伝わらないと思ったんです。お母さんに少しでも愛生の気持ちを知ってほしかったし、この一年間の愛生を知ってほしかった。だから、俺が手紙を残すことにしました。愛生から怒られるかもしれないけど……。

 少しでも伝わっていればいいなと思います。


 愛生が残した写真は見ましたか?

 愛生、写真はいっぱい残すと言っていました。楽しかった姿とか、大切な人を見てもらいたいと言っていました。

 愛生の良い笑顔がいっぱい写っていると思います。 

 友達と遊んだ時の写真とか、お父さんと愛生の写真、花の写真、海の写真とか沢山二人で撮りました。

 海は、俺と愛生、二人で行きました。海も、夕日も本当に綺麗でした。二人で涙を流しながら見ていました。今まで、夕日を見ても綺麗だと思わなかったのに、もうすぐ死ぬと分かった状態で見る夕日は、涙が出るくらい本当に綺麗でした。愛生も同じことを思っていたかもしれません。

 写真だけでも綺麗ですが、いつか俺の両親を連れて一緒に行ってみて下さい。

 写真にあるように、愛生は一年間苦しみながらも前向きに生きて、本当に楽しそうだったし、幸せそうでしたよ。

 

 愛生には本当に救われました。こんな素敵な娘さんを産んでくれてありがとうございます。


 実は、愛生には俺のハンドナンバーのことは伝えませんでした。俺が愛生より長生きするって思ってたほうが良いと思って言いませんでした。愛生は、私の分まで生きて、夢を叶えてと言ってくれた。俺に未来を託してくれたんだと思いました。

 そう思ったら彼女は安心して逝ける。

 俺はこれが正しい選択だったと思います。


最後に、 


 残された時間を知ってしまった俺達は、毎日を後悔のないように生き抜きました。

 ハンドナンバーがあったから、最後まで後悔のないように生きれた。

 そう俺達は思っています。


 下手な文章ですが、読んでくれてありがとうございました。


黒嶋琉生

いつも読んでいただきありがとうございます。

評価、感想いただけると嬉しいです。

よろしくお願いします!

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