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残された時間を知ってしまった私達は  作者: 七瀬乃


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手紙

 父さん、母さんへ

 これを読んでいるってことは、本当に俺は死んだんだね。心のどこかでは、もしかしたらハンドナンバーが0になったとしても、生きているかもとか期待していたんだけど、やっぱりハンドナンバーは正確なんだろうね。

 父さんと母さんのハンドナンバーのことは知らないけど、きっと長生きするんだろうね。特に母さんは長生きしそうだな。笑

 恥ずかしいけど、ここからは冗談なしで正直に書くよ。

 小さい頃から、よく遊びに連れて行ってくれて、遊園地とか、水族館とか、公園とか、海とか、いろんな所に行ったよね。公園で父さんがサッカーを教えてくれて、それでサッカーが好きになった気がする。俺がサッカーを好きになってから、サッカー教室に連れて行ってくれたよね。楽しかったのをすごく覚えてる。小学生の時にサッカーチームに入って、試合に出場しなくても父さんも母さんも毎回見にきてくれたよね。試合に出た時は、母さんが応援してくれる大きな声、届いてたよ。サッカーに出会って、大切な仲間に会えたし、試合に勝って喜んだり、負けて悔しい思いをしたり、サッカーで成長させてもらったなと思う。高校ではサッカーしなかったけど、中学までサッカーを続けられたのは二人のおかげだよ。ありがとう。

 あと家族の思い出といえば、海沿いを散歩するのが一番好きだったな。三人でゆっくり散歩して、ベンチに座って、母さんが作った弁当を食べて、ゆっくり過ごすあの時間が好きだった。実は学校さぼった日にその海沿いに行ってきたんだ。昔と全然変わってなかったよ。今度二人で行ってみて。

 こうやって書いていると、もっと家族三人で出かければ良かったな。時間はあったのに、俺が何もかもやる気をなくしてしまったから、二人が俺と何かしたくてもできなかったよね。ごめん。


 あと俺が書かないといけないのは、俺がハンドナンバーを打ち明けた時のことだね。

 ハンドナンバーが出てから、俺、受け入れられなくて、現実逃避してた。手の平を見ないようにして、いつか数字が消えるのを待っていたけど、消えなかった。

 覚えてる? おばあちゃんが亡くなった時、母さんが何でハンドナンバーのこと言わないで死んじゃったのって泣いてたの。それを見ていたから、父さんと母さんには、ハンドナンバーのこと絶対に伝えるって決めてたんだ。それで、いざ二人に伝えたら現実が襲ってきて、怖くて怖くて、押さえ込んでた感情が爆発してしまった。二人に八つ当たりいっぱいしたよね。それでも、二人は俺と向き合ってくれた。俺の意思を尊重してくれた。

 父さんは、いつも落ち着いて接してくれて居心地が良かった。俺が何もかもやる気をなくして、ただ死を待っているだけだったけど、テレビのサッカーの試合を見ようとか、俺の好きなドラマを一緒に見ようとか、誘ってくれたよね。いつも通りに接してくれて助かったよ。

 母さんは、いつも明るくて、俺の曇った心をいつも晴れさせてくれていたよ。おしゃべりな母さんの話を聞くのは本当は楽しかったよ。あと、週一で俺の好きな料理作るの大変だったよな。めちゃくちゃ美味しかった。本当にありがとう。

 二人とも本当に本当にありがとう。俺を産んでくれてありがとう。二人の子供に生まれてきて幸せだった。

 俺、いなくなるからさ、これだけ最後に伝えておくよ。

 父さんは、言葉足らずだから、ちゃんと本音を伝えること!

 母さんは、感情的にならないように、一度深呼吸をすること!

 喧嘩になりそうになったら、これを思い出して二人で仲良く過ごして頑張って!


 父さん、母さん、大好きだよ。


いつも読んでいただきありがとうございます。

評価、感想いただけると嬉しいです。

よろしくお願いします!

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