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序幕
連載を初めて書いてみました。
オチまで考えているので、ぼちぼち手直ししながら投稿していきたいと思います。
手を取り合って涙を流す双子姫
丸い窓から月光が
まあるくまあるく二人を照らす
「恨みまするか」
一人がつぶやく
「恨みませぬ」
一人がつぶやく
やがて、東の空がしらじらと
二人の別れを告げようと
渡鳥がピョウと鳴く
絡めあった二人の指は無下に引きちぎられ
一人は部屋で朱色の姫装束
もう一人は白い襦袢で箱の中
ああ、もう生きて会うことはないだろう
月よ、月よ
助けておくれ
江戸の春霞の下の汚泥のような陰謀から
どうぞ「姫」を守っておくれ






