36 異世界の行動は【英雄譚】として情報漏洩され~地球では「AI若夫婦」の話が理解できない俺!
<パチン~パチン>と、カンテラの光に照らされて、鑑定人が壇上に姿を現すと・・<シーン>と、会場も緊張する。
「フム~フ~ム・・」白手に持つ赤・青・緑の宝石が<チラリ>と会場の参加者の目に入る・・
「これは正真正銘の!ジェム(宝石)です」と、鑑定人の商人が声高らかに宣言すると~絶妙なタイミングで・・
<それではルビーから行きましょう!金貨100枚からのスタートです>
+++それからどうした++++
「少しお話があります」と、俺は宝石を鑑定した【タジマーヤ】から声を掛けられた。
<カツン カツン>と、大理石様の床を歩く2名は客間の様な部屋に案内される。おそらくは貴族(豪族)の屋敷の中でも、平民が過ごせる場所なのだろう。
<ドスン>と、それなりに高級な椅子に腰かけるタジマーヤ。
「どうぞ、ここは主に私が使わせていただいている部屋なので、くつろいでくださいな」と、タジマーヤも足を組み・・直ぐに戻す。
いちおうマルセイユ伯の屋敷は「敵地」でもある事から、スキルの上限を上げていたので、何か相手に警戒されたのかもしれない。
「先ほどは見事なジェム(宝石)を見せていただき、ありがとうございました。かの宝石は資産家で有名な【ヒスパニア伯】をはじめ、アルトウェルヘン伯・マルセイユ伯がそれぞれ落札いたしました」と、説明した。
俺はタジマーヤに対し・・「それで私にお話しとは?」と切り出すと案の定・・
「入手経路が気になるのは、さて置き【異世界のジェム】と言うのはいったい何なのか、教えてはいただけませんか?これでもマルセイユ伯お抱え商人であり【鑑定】の能力は誰にも負けないと自負しておりますし、情報網も誰よりも広く深いと自負しているつもりでしたが・・」<ズズズ>と【エルダーフラワーのシャンパン】を飲み干し・・
「異世界のラピスラズリ、ジャスパー、ヘマタイト、スピンネル・・どれも聞いたことの無いジェムばかりです。無学な商人にぜひ【ジェム・ナイト】様の知識を分けてはくださいませんか!」と言われたので・・
「ジェジェジェ・・ジェムナイトとは?」俺が気になった所が変だったのか・・
<クスクス>と、古代のメイド服を着た美人さんから笑われてしまう。
「おやおや・・今も【吟遊詩人】があなたの英雄伝を大声で歌っているではありませんか!」そう言うと、メイドさんが気を利かせて<バタリ>と窓を開けると・・
<オオ~ソレミ~ヨ!宝石を生み出す【ジェムナイト】が~ラララ、若い無垢な冒険者を救いだした~彼はダンジョンの転移陣にジェムを吸い込ませ~ラララ~自ら剣を抜いてアルトウェルヘンからマルセイユまで助けに行ったのだ!>
<ウッ・・>いつの間に個人情報が筒抜けに・・しかも転移陣に課金出来るだと!初めて聞いたんだけど!・・
俺が困った顔をするのを<ニヤニヤ>と隣で見ている商人に一本取られた俺だった。
タジマーヤは・・<クン~クン>と、ボトルからグラスにシャンパンを注ぐと俺に差し出した。
「長い付き合いをしたいものですな!英雄どの」と締めくくられたぼだった。
++++2025年7月14日午前11時30分++++
「オトウサン。ホットのお茶デス」と言いながら【20歳の褐色少女】が、上手に急須から茶碗に緑茶をそそぎ、俺に持って来てくれた。
「ありがとう!モレノさん」と俺は礼を言うが・・「お母さんはどうした?」と息子の大周に聞くと・・「ああ、先週結婚を決めたら少し距離を置かれてしまって・・」と言い、若いカップルは見つめ合うも少し悲し気だった。
俺は長年連れ添った妻の性格を知っていたので、二人に話す・・
「お母さんは決して結婚に反対している訳でも無いし、モレノさんが外国人だから気にしている訳でのないんだよ!」と。
息子は「じゃあ・・どうして急に結婚の話をしてから距離を取り始めたの?」と聞くので・・
「言いづらいが・・モレノさんの【体形】だね。お母さんは昔から【肩幅】と【エラ】と【わがままボディ】を気にしていたのだ。K国の家族も似た感じだしね・・お前や妹の千秋が【痩せてイケメン】なので、おかあさんは安心したのだろうが、また【ワガママDNA】が子孫に受け継がれるのが、少し気になったのだろう。直ぐに分かってくれるから心配ないよ!」と説得していたのだ。
そして俺は、家族の距離を縮めるためにも【これまで】あった事を話して聞かせたのだった。
+++それからどうした++++
「オトウサンが英雄なんて嬉しいデスヨ」と普通に喜んでくれるモレノさんだったが・・
「異世界の金貨を地球に持ってきたら、異世界は【インフレ】になるんじゃないのか?」と真面目に他の世界を心配する息子だった。
俺は意味が解らなかったので・・「異世界でも地球でも金は金だろう?少し位い大丈夫なのでは?」と聞くが・・
「地球では金の値段が上昇しているけど【投機商品】としてであって【通貨】では無いんだよ。対して異世界では金・銀・銅が通貨として機能しているから、商品価格が上昇しても、通貨自体の価値も同時に上がるから問題ないんだよ」と、言うのだった。
俺は話しの意味が分からず・・「モレノさんもそう思う?」と聞くと・・
「金・銀は地球でも異世界でも【規制】が強いと思います。黄銅貨が異世界では高値なので、真鍮スクラップを安く買って高く売れば問題ないと思います」と、直ぐに答えを言うのだった・・
お前らはAIか!




