表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SIN〜第一部〜  作者: 冬馬
第十一話

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/63

第十一話--友--02

 〈SIN、目が覚めたようだな〉


 unus(ウヌス)が優しくSINに問いかけた。


 〈まったくよ。友達に心配かけさせんなっての〉


 〈あんたが言うな!〉


 duo(デュオ)tres(トレス)は相変わらずだった。


 「みんな……」


 〈なんだよ。友達の声が聞けて嬉しくて涙出ちゃったか?〉


 「うるさい!黙れ!」


 そう言いながらもSINは笑っていた。


 〈SIN、お前が何を抱えているのか、俺たちにはわからん……だけどな……お前は、一人じゃ無い。これだけは忘れないでくれ〉


 unusが優しくSINに話しかけた。


 〈お前は、俺たちの為に、怒り、涙を流してくれた……そんなお前の優しさを俺たちは知っている〉


 〈そうだぞ。お前は良い奴だぞ!いつも言ってるだろ!お前は俺の友だって!〉


 能天気なduoの声が、SINには心地良かった。


 〈そうよ!あなたが本当は優しい人だって、私たちだけじゃなくってリンもすずも知ってる〉


 〈SIN!パンありがとう!〉


 〈SIN!みんなで食べたよ!みんな喜んでたよ!〉


 「みんな……」


 〈SIN、お前は一人じゃねぇんだ。俺たちみんながお前の友だ!忘れんなよ!いいか!俺たちはお前の味方だ!〉


 「俺は一人じゃない……俺は一人じゃないんだ……」


 SINはそう言うと、SINと「Helios」を覆っていた赤黒い霧が全て吹き飛び、新たに目覚めたSINと「Helios」が姿を現した。



 「おお!何という美しさだ。まるで、あの御方を見ているようだ」


 ルシファーは、光り輝く白銀を基調とし、漆黒の闇を纏い、真紅の生命に縁取られた、真の姿を現した「Helios」を見て驚愕の声を上げた。



 「なんだ?何が起こった?」


 「ハンドラー」は困惑の声を上げていた。


 「もう、俺の理解を超えている……」



 〈なんて事……目覚めてしまった……留めていた時が動き始めてしまった……〉


 聖母は、狼狽えていた。


 〈これで、人類の滅亡への扉が開かれてしまった。これで、ラッパが吹かれてしまう……人がヒトでは無くなってしまう……〉



 「オオッ、アレハ、イッタイ、ドウイウコトダ……」


 SINの「Helios」の変貌を見て、quattuor(クァトゥオル)は叫んだ。


 「イッタイ、ナニガ、オコッテイルンダ」


 quattuorが、考えている暇も与えずに、容赦無くγチームが威嚇射撃をしながら、迫ってきた。

 必死にβチームが奴隷達を守っているが、至近弾が襲いかかる。


 「quinque(クィンクェ)sex(セクス)!ナニガアッテモ、ドレイタチヲ、マモレ!」


 quattuorは、βチームの二人に指示を出した。


 コノママデハ、ヒガイガ、デテシマウ。アイツラハ、ドレイノ、コトナンテ、ドウデモイイノカ……


 quattuorは、「ハンドラー」に指示を仰いだ。


 「ワレワレニモ、コウゲキキョカヲ!」


 quattuorの悲痛な叫びを聞いた「ハンドラー」は、しかし、まだ決断を下す事が出来なかった。


 「まだ、来ないのか……」



 〈SIN、お前がいじけている間に外が大変な事になっているぞ〉


 duoは呑気なことを言った。


 〈何を呑気に言ってんのよ!SIN!!奴隷達を助けてあげて!〉


 SINが、メインモニターを見ると、γチームが威嚇射撃をしながら、近づいてくる。βチームは逃げ惑う奴隷達を守る事で精一杯だった。


 「何だ?これは?一体何が起こってる?おい!どうなってるんだ!何か言え!」


 〈……〉


 SINはA.Iに怒鳴ったが、何の返答も無い。


 アイツは、何をしてやがる!全く役に立たん!


 SINが怒りを露わにすると、突然、コンソールが光り輝き始めた。


 〈バトルモードへ移行します〉


 マシンボイスが、そう告げると、各部のエネルギーゲインが跳ね上がり始めた。


 「何だ?何が起こっている?」


 「H.M.A」のこの変化は、SINにも経験のない物だった。いや、SIN自身、こんなモードがある事なんて全く知らなかった。



 〈「Helios」がバトルモードだと?封印していたはずではなかったのか……まさか!〉


 聖母は、そう言うと、「H.M.A」の基幹プログラムをチェックし始めた。


 〈なんて事?プロテクトが外されている?そんな、何重にもプロテクトを掛けていたのに……こんな事が出来るのはあの男しかいない……しかし、あの男も封印したはず……そうか!さっきのあの男!!〉


 聖母は、侵入してきた男の事を思い出していた。


 〈あの男!奴隷どものプロテクトを外すだけではなく、こんな置き土産まで!!〉


 《「Helios」のバトルモード移行が確認されました。援護の為に「ウエポンシステムコンテナ」を起動します》


 マシンボイスが室内に響き渡る。


 〈待ちなさい!〉


 聖母は、慌ててプログラムを再構築し始めた。しかし、再構築された先から、またプログラムが書き換えられて行った。


 〈なんて事!プログラムが上書きされている?これでは間に合わない。あの男の痕跡を追跡しなければ、このままでは「都」のシステム全てが書き換えられてしまう!なぜ私の邪魔をするの!所長!〉

次回の更新は20日、朝7:30となります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ