192/279
不審者
小学5年生くらいの頃の話。
いつものように通学団で下校して、みんなと別れたところで変な人を見つけた。
家の駐車場の前で30代くらいの知らない男が寝転がっているのだ。家に入るには必ず通らなければならない道なのに、それを塞ぐように寝転がっている。
「死んでますか」
そう声をかけると、男はこちらを睨みつけ「死んでるよ」と言い放った。
やば。と思った。
家に親がいるので連絡すれば車を発進させて男を轢死させてくれるだろうが、その頃の私はまだ携帯電話を持っていなかった。
なので、その日は近くの同級生のN君の家に行って時間を潰して、それから帰った。




