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本音
子どもの頃、人に物を貸すのが嫌だった。
返さないからとかではなく、目の前で使わせるのも嫌だった。
例えば漫画本。読んでいる途中でトイレに行きたくなったとする。
あなたならどうするだろうか。
そう、子どもというのはだいたい読んでいたところを開いたまま、そのまま反対に向けて置いてしまうのだ。「人」の字のような形になる。それがとても嫌だった。
ゲームもそうだ。
500回使うと壊れる釣竿のアイテム。
500回あれば数日遊べるのだが、その数字を減らされるのがとても嫌だった。
ゲームのボタンが摩耗する。
消しゴムの表面が黒くなる。
自分だってボタンを連打するし、消しゴムの使い方は下手だ。
でも嫌だった。