夏季休暇
夏季休暇、それは学生にとってのボーナスタイム、俺にとってそれは、この時間軸に来る前の高校三年生での夏休み以来、実に十三年ぶりの事だった。
前期の終業式終わった瞬間士官学校は物凄い歓声に包まれた、やはり先輩達も夏季休暇は嬉しいらしい俺もさっさと家に帰ろ。
「ただいま〜帰ったよ」
家に入ると同時に懐かしくもある金切り声が聞こえた。
「オレン兄、銃見せて!もらったんでしょ銃!」
こいつ、実の兄が久しぶりに帰ってきた時の第一声が銃、見せてくれだとふざけるんじゃない!
俺がバカ相手に抗議しようとしていた所に父さんが嬉しそうにして出迎えてくれた。
「オーレンドルフ良くやった、一学年の前期が一番の山場だと聞いていたらか心配していたが、見事やり抜き返ってくるとは流石俺の息子だ!」
「ありがとう父さん、でも余裕だったわけじゃないんだよ」
こうして華の夏季休暇初日は、学校の土産話で終わった。
翌日母さんに勧められペトラの家にやってきた。
「ペトラ、オーレンドルフ君が来たわよ」
「えっ、オレン?ちょっと待ってて」
そうペトラが言い部屋に引っ込んで行くと中から物凄い物音が五分間聞こえ続けた、物音が収まると部屋から息を切らしたペトラが出できた。
「どっどうぞお入り下さい」
「何してたんだ、物凄い物音だったぞ」
「片付けてたの、散らかってたから」
別にペトラの部屋は子供の頃から遊びに来てたし、今更散らかっていても何も感じないが何か見られたくないような物があったんだろうか?
その後ペトラにも士官学校の土産話を聞かせペトラの家を後にした、俺が帰る時にペトラは名残惜しそうにしていた。
数日後俺の家に唐突にルドルフがやってきた。
「やぁ、オーレンドルフ夏季休暇楽しんでいるか」
「俺お前に家教えたっけ?」
「いや、星がお前の家を教えてくれた、そしてお前の家に行けと」
確かにルドルフは星が好きで、時間が開くとすぐ空を眺めに行っていたが、ここまで星に酔っているとは、幼少期に何か辛いことがあったんだろうか?
「星はいいぞ、人生の助言をくれる」
「ああ…そうだな、はは…」
そうして俺の夏季休暇は家族とペトラ、たまに家に遊びに来るルドルフとシャバを満喫し過ぎていった。
えっ、明日から学校?終わった…