一学年の日常
朝礼点呼が終わり一息つこうとしていた一学年をまた鬼が襲った。
「一学年、朝食の準備だ走れ!」
ったく、朝食くらい自分で用意しろよ、と心のなかでぼやきながら朝食の準備を終わらせると、またもや鬼の理不尽が俺達に降りかかった。
「ああそうだ、オーレンドルフ俺のお気に入りのジャムがあったはずなんだが無いんだ、探してくれないか?」
知るかよ、自分で探せとは言えない…
仕方がない探すか。
だが探せど探せど見つからない、探し始めて十分ほどだったあたりでお鬼様からお言葉をかけてもらった。
「すまんなぁ、オーレンドルフお前が探していたジャムは今年から無いんだった、うっかりしていたよ」
こうして俺は朝食を食べることはついぞ叶わなかったのである。
あのクソ野郎絶対許さない、いつか痛い目にあわせてやりたい!でも…そんな事にしたら殺されるんだろうな。
このあとは基礎体力訓練なのに朝食を食べてないなんてどうすればいいんだ、悩んでても仕方がないとにかくやろう。
その後教官による基礎体力訓練や校内の案内、支給品の説明などでその日の主な授業は終わった。
やっと終わった、でも教官は鬼と違って結構優しいんだな、鬼達にも見習ってほしいぜ。
こうして部屋に着き休もうとした矢先、また鬼から指導があった。
「今から入室時に使う作法を教える二人共しっかり見て聞いとけよ」
だが、すんなりとは始まらなかった、ルドルフがまたやらかしたのだ。
「ラインハルト先輩、質問があります、何故今朝のようにオーレンドルフに意地悪をしたり理不尽な事をなさるのですか?」
その瞬間部屋の温度が10度ほど下がった気がした、それほど空気が張り詰めたのだ。
おいおい、あいつ死んだぜ。
たがルドルフは死ななかった。
「いいだろう教えてやる、まぁ座れ」
まじで、俺もこのクソみたいな指導に疑問を抱いてたんだよ、ゆっくり座って聞きますか。
「おいおい、何普通に座ろうとしてんだよ、そこにあるだろ立派な空気の椅子が、人に話を聞くならそれなりの態度を示せ」
いや、俺は別に聞いてないよ、勝手にルドルフが言ったことだから俺は関係ないよね?
その期待通りとは行かず、俺も空気の椅子がに座った。
「いいか、戦場は常に理不尽が起こっており逐一それに抗議する暇もない、
お前達はまだ理不尽に慣れていないだから俺が教えてやっているんだ」
確かに理屈は分かった、だけど納得がいかない!だって辛いじゃん。
その後風呂に入り、今度はちゃんと晩飯を食べ、大変な士官学校生活が終わった。
その夜士官学校には一学年の悲痛なうめき声が響いた。