新たな学び舎へ
まずいことになった、あのバカの挑発に乗ってしまったために…最悪だ。
そもそもなんで俺が軍隊なんかに入らなきゃいけないんだ嫌だよ!
だって絶対痛いじゃん、だって絶対訓練辛いじゃん無理だよ〜
とにかくどうにかして軍隊に入らなくても良いようにしなきゃ、でもどうやって父さんに説明しよう。
あんなにノリノリな父さんを見るのは何年ぶりだ?
あんなにも息巻いているのに今更どんな顔して説明すればいいんだよ!
いや軍隊に入る気なんてないよって言うのか、今更?無理だよ殺される!
ああでもなんとかしないと、でもどうすれば…
「オーレンドルフ、ペトラちゃんが来たわよ〜」
まぁ、うだうだ考えてても仕方がないし、また今度考えるか。
「オレン遊びに来たよー」
自分が考え事をしているのが馬鹿馬鹿しくなるような腑抜けた声が聞こえてきた所で、俺は考えるのを放棄した。
「部屋に居るから勝手に入ってきて」
まぁ、ペトラと一緒に父さんへの言い訳を考えるか。
そんなことを考えていると部屋にペトラが入ってきて来た。その瞬間
昨晩見た夢が急に現実のように思えてきた、逆になぜ今まであの日々を夢だと思っていたのか疑問に思った。
そうだ、俺はこいつを守りたかったんだ…
「オレンどうして泣いているの?」
「あ、いや別になんでもない」
ああそうだ、なんともないじゃないか軍隊に入って未来を変える、それだけだ簡単だろ。
簡単か?
「そうそう、オレンポランド陸軍士官学校を受験するんでしょ?」
「そうだよ」
そしてお前を救ってみせる!
「凄いね〜頑張って!でもオレン受かるの?」
「余裕だよ、行けるって」
だって俺本当は28歳だから高校生の問題なんてチョチョイのちょいにきまってる。
甘かった、全然わからない…そもそも前の世界では大学入試なんてせずに就職したから真面目に入試勉強なんてしていない、しかも高校生の時なんてこんなの大人になったら使わんだろと思っていた。
確かに就職して使わなかったけど、もう少しやっときゃよかったかな勉強…
「大丈夫?私、少しならこの問題解るけど教えよっか?」
「うっ…お願いします」
「宜しい、この私が教えて上げましょう、私のことは先生と呼びなさい分かりましたか、オーレンドルフくん」
「はい…」
その後ノリノリのペトラに教えられながら勉強してわかったことがある、それは入試問題に以外と算術や物理などが多いことだ、てっきり戦史や世界情勢等かと思ったが違うらしい、どうやら弾道計算や補給物資の計算をするためらしい。
「うん、大分良くなったんじゃないじゃあ私、帰るから」
「じゃ、今日はありがとな」
その後ペトラと入れ違うように兄さんが帰ってきてそのまま晩御飯になった。
こころなしか少し賑やかに感じた、父さんは珍しく酔ってるし母さんはなんとなく上機嫌だ、シビィクは俺が嬉しそうなのが気に入らないのか悪戯をしてきたが平和な日常に思えた、この日常が8年後くずれるとは到底想像ができない。
この日常を俺が守るんだ。
その後ペトラや兄さんに勉強を教えられながら遂に、ポランド陸軍士官学校の入試の日になった。