新たな志
寝ぼけ眼を擦りながら部屋を出てリビングへ行くと父さんと母さんがいた。
父さんはいつもと同じ様に珈琲を飲んでいるがどこか不機嫌そうだがなにかあったのだろうか?
「おはよ父さん」
「いくら休日だからって昼過ぎまで寝ているのはよろしくないな。」
父さんだって昼過ぎまで寝ているじゃないか!とボヤいていると。
「まぁオーレンドルフも高校最高学年ですのでいろいろ疲れが溜まっているんですよ」
母さんが昨日のあまりのボルシチを持ってきながらフォローを入れてくれた。
だが先程から兄さんの姿が見えない、あの人にかぎって昼間で寝ているとは思えない、真面目の具現化のような人だからなぁ。
「兄さんがいないけどなんかあったの?」
気になったので聞いてみたら父さんがなんとも言えない顔した。
「ああ、クルトなら朝っぱらから大学に行ったぞ、熱心なのはいいがこうも忙しそうにしていると些か心配になるな」
「まぁ兄さんなら大丈夫でしょ」
実際大学入試の時も物凄く大変そうにしていたが、最後までやり抜き国内随一の大学に入っていってしまった。
「他人事みたいにしてないであなたやシビィクももう少しちゃんとしてもバチは当たらないわよ」
そんなお小言を言われさっさと食べて部屋に戻ろうとした途端、後方から耳をつんざくような金切り声が聞こえてきた。
「オレン兄と一緒にしないでアタシはオレン兄と違ってちゃんとやってます〜」
金切り声のような正体は今まさに話題に俺と共に挙がってた我が妹だった、だがそれはそれとして聞き捨てならならい事を言われたような気がしたが気のせいだろう。
「シビィク、いくらお前のほうがオーレンドルフよりも勝っていたとしても今のように兄を卑下するな!」
父さん、何か俺を庇ってくれてるように見えて貶してない?
イヤまぁたしかに俺は
勉強はあまりできが良くないし
運動は平均以下だし
生活習慣も壊れやすいけど!!!
シビィクには負けていない、だってこの世に兄に勝る弟はいないのだから!
そう心のなかで負け惜しみを垂れ流していたら思わぬ刺客が待っていた。
「それはそうとしてオーレンドルフ、高校卒業後どうするか決まったのか?」
「え?」
「え、じゃあないだろう!
進学するにしてもどこの大学受けるんだ、まさか就職するのか?
どちらにしろ早く決めておけよ」
「はい…」
盲点だったあんな夢を見ていたからてっきりそんなものないと思ってた!
「オレン兄は就職も大学進学も無理無理w〜」
また後から聞き捨てならならい言葉が聞こえてきた、今度ばかりは無視できん!
「俺だってちゃんと考えているんだ」
「ほお、考えていたのか聞かせてみろ」
しまった!思ってもないことを行ってしまったどうしよいまはなんとか切り抜けよう。
「いや〜なんか〜この国を助けられるって言うか〜そんな感じのやつです」
「この国を助ける?なんにからだ?」
まずい乗っかってきた!
「いやまぁ〜ドライ帝国やコルン連邦とかかなぁと」
「お前…軍に行くのか?」
「え?」
確かに夢で起こったようなことを回避するなら軍隊に入ったほうがいいと思うけど、はっきり言ってきついのも嫌だし、痛いのもヤダ!
よし!
ここは丁寧に否定しておこう。
「あの父さん僕は別に…」
「そうかそうか!軍隊かあの弱虫だったお前がかぁ〜感慨深いな」
「いや、父さんあの…」
「みなまで言うなお前の気持ちは父さんが一番わかっている」
まずいこのままでは軍隊に入れられてしまう、どうにかしてわかってもらわないと。
「あの…」
「ああそうだ、入るなら海軍じゃなくて陸軍にしろ海軍は臆病者が行くところだ。
試験勉強頑張れよ」
「試験勉強?」
「当たり前だろポランド陸軍士官学校なんて全国の秀才が集まる学校だ頑張れよ!」
「お兄ガンバ〜」
「いや、え?マジ?」
こうして俺の地獄の受験勉強が始まった。