最初の友達は猿だった3
アオジに師事してから
俺の日課は昼はミズリとの戦闘
そのあとにアオジとの戦闘になった
おれはアオジに向かって疾駆し
右から蹴りを繰り出したがアオジは片足を軸に
半身を後ろに下げるのみで躱し、俺の軸足を足で払いあげた
俺は払いあげられる瞬間に力が加わる方向に跳躍し、アオジの蹴りの衝撃を
和らげ空中で体をひねりその勢いでさらに蹴りを繰り出した
ここまでで約0.2秒
その蹴りが当たるかに見えたがアオジは少し頭を下げ蹴りを交わしながら
カウンターにより拳を繰り出し俺は吹き飛ばされた。
ここ1か月ほぼ毎日指導や実践を繰り返し
かなり強くなったがアオジにはまだ一発も食らわせることができない
「この強さで最弱の部類なんてハハハ」
乾いた笑しか出てこない
「ヒロキは攻撃が素直すぎるな。
そんな攻撃では相手に読まれてしまう」
「いやアオジさんが強すぎるだけでは?
全く当たる気がしません」
「ヒロキは攻撃をする際どんなことを考えている?」
「え~と特に何も考えてませんが
当ててやるって感じですかね?」
「そうその当ててやるって気持ちが素直に出てしまっているんだよ
魔力にね」
「魔力とは身体強化のことですか?」
「そうともいう身体強化だけではなくて生き物は動こうとすると
筋肉、魔力が動こうとするように動くよね?」
「まぁ動こうとしてますから」
「感覚を研ぎ澄ます訓練を積むとそんな筋肉の動きや魔力の動きが
分かるようになる、ヒロキの攻撃は動こうとする方向にしか来ないから
躱すのは簡単なんだ」
「そうすれば動こうとする方向と逆に攻撃するということですか?
無理では?」
「その通り、動こうとする方向に筋肉や魔力が動くことは防げない
でもごまかすことはできる」
「ごまかすですか?」
「そう、見てもらったほうが早いね
ヒロキは感覚を研ぎ澄ましてみてもらっていいかな?
動かなければできるよね?」
俺はこの1か月の修行で動かずかなり集中すれば感覚を
増幅し周囲の情報を事細かに把握することができるようになった
「わかりました。やってみます」
「じゃあ今から僕がゆっくり攻撃するから注意深く観察してよけてね」
「いや注意深く観察したらうごけないんです・・・」
「いくよ」
アオジがゆっくりとこちらに近づいてきてパンチを繰り出してきた
俺はかがんでよけようとしたが
ドン!!
俺は吹っ飛ばされた。
「どう?見えた?」
「パンチを避けようとしたら蹴られました」
「うんこれがごまかすっていう意味だよ?」
「いやちょっと訳がわからない」
「よし!今日はここまで!!次までにしっかりと対策を考えてきてね」
「ちょちょっと待ってください!!もうちょっとヒントを!!」
「ヒロキ。この森には本能的に魔力を感じ取る超感覚を備えた
生き物はごまんといる、今のままではほとんどの魔物の相手になるどころか
戦いを始めることもできない。この技術は人によって感覚が異なるから
変にアドバイスをすると逆に習得が難しくなることが多いんだ
だから答えは自分で見つけなくてはならないちなみに
ミズリは答えを見つけかけている。きみはもうミズリの相手にならなくなるかもしれないね?」
俺はその時、悔しさとともに背筋が凍るような感覚に襲われた
ミズリの相手にならないということは”遊び相手”ができなるなるということ
必ず習得してやる
心に決めたのだった。