最初の友達は猿だった2
「そうだな・・・・ヒロキはどうしたい?
できればこのまましばらくミズリの遊び相手になってもらいたいのだが
なかなか同世代のものがいなくて困っていたのだよ」
願ってもない申し出だがここはチャンスだ!
言語が通じる相手と出会えたんだまだ信用に値するかは別として
強くなるためには必要なこと
「もちろん わたしもこのままミズリさんと訓練を続けたい
しかしゆくゆく私はこの森から外に出たいのです
ですから遊び相手になる変わりといっては何ですが
できればもっといろいろなことを教えていただけないでしょうか?
つまり修行をつけていただけないでしょうか?」
「ジルの森の外に出るか・・・」
「ジルの森?」
「ああ、我々はこの森のことをジルの森と呼んでいる、
この森はとてつもなく広く濃厚な魔素に恵まれており、
中心の覇王樹を囲うようにして広がっている、
この森は覇王樹近ければ近いほど強い魔物が増える
今いるこの地域はほぼ中心地だ」
「そうなんですか、(どおりで半端じゃない生き物ばかりだったのか・・・・)
(でも待てよ)ということはミンキー族はこの森ではこの森では最強格の
種族ということですよね?」
「いや、
私たちミンキー族はこの森の中では最弱の部類に入る種族だ」
「なっっ!どういうことですか?」
「私たちミンキー族はもともとジルの森の外にいた
訳あってこの森に入ることになったが何とか生き延びるために
最終的にこの地に行きついた。」
「生き延びるため?」
「そうだ。確かに覇王樹に近づけば近づくほど個体の力は
強いものが増える、だがむやみに力を振るうものは減る
ここらは竜王ジルバトリスの領域に近いこともあり下手に
騒がなければ干渉されることはないし、比較的温厚な種が多い
まぁこちらから手を出せば例外ではないがな」
「(なるほど、ヤ○ザの下っ端はすぐに喧嘩売るけど
上の幹部になればなるほどどっしり構えて余裕を見せるみたいなやつか・・
それよりもめちゃくちゃ気になるのが・・・)竜王ジルバトリス」
「この覇王樹ジルセコイヤ に近い、中心エリア ”センテレ”に生息する
生物の頂点に君臨する個体には名にジルを冠する覇王と呼ばれる個体が
存在する。竜王ジルバトリスはその一体だ。」
「一体?つまりほかにも覇王個体はいるのですか?」
「いると思われる、詳しくはわからんが、竜王ジルバトリス関しては
仲間の鑑定スキル持ちが飛翔中のジルバトリスを見かけた際に
名前だけ見れたことから判明している
ほかの情報については遺跡の調査によってわかっている
つまりヒロキ
この森から出ることはほとんど不可能に近い」
「ならなおさら修行をつけてください!!
話を聞く限り、この森を出るためには力が必要です。
今の状態では足がかりを見つけることもできない事は
この数週間で痛いほどわかっております。
お願いします!!どうか修行をつけてください!!」
俺は渾身の気持ちを込めて頭を下げた
ここでミンキー族に師事できなければ
せっかく新しくスタートした人生が、強さを極めたいという
夢が遠のいてしまう、、、、どうか
「ははは!ヒロキは珍しいヒューマンだな
私の知るヒューマンのほとんどは”しゃべる猿”を気味悪がったり
面白がって見世物にしようとしたりするものだったが
こんな真摯に頭を下げるとは
分かった。
息子の遊び相手をしてもらう代わりに
時間の許す限り指導をしよう、息子にもライバルができて
良いことだしな。」
「本当ですか?
ありがとうございます!!」
こうして俺はミンキー族若頭アオジのもとに
師事することになった。