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腹の中でエイリアンが踊ってる

作者: 私だ


「えーただいま速報が入ってきました。突然ですが、映像が切り替わります。これから流れるのは、アメリカのNASAの調査チームの会見、だそうです。重大発表があるとこのことです。」


朝のニュースを、舞茸の味噌汁を飲みながら聞いていた。現代今日にしては硬派な情報番組であるそれは、NASAの発表する重大発表とやらを伝えるために映像を会見に移し替えた。画面の右上には、気をひくよくなゴシック体のテロップがもう用意されていた。私は、しめじの入った炊き込みご飯を一口食べた。


「えーみなさん。私たちの言うことをよく、聞いてください。えー、私たちはついにエイリアン、宇宙人の正体を突き止めました。何を言っているんだと思われるかもしれないがこれは各国共同で行われた調査及び実験に裏付けられている。」


私は、その突飛なニュースに驚きながら、コト、と音を立ててたっぷりの生姜と市販の醤油のかかっていた冷奴の小鉢を置いた。


「えーさっそくだが発表しよう。エイリアンの正体は、ズバリ菌だ。今発酵物を食べている人、飲んでいる人へ、今君たちが食べているのはエイリアンだ。」


私は、厚みのあるたくわんをぽりぽりと噛んで、嚥下していた。


「……え!?」


スススーッと目が動き、私の朝食のプレートを見やる。

 舞茸と小松菜の味噌汁。麹味噌を使っている。

 しめじの炊き込みごはん。もち米も入っているからもちもち。

 厚めに切ったたくわん

 醤油とたっぷりの生姜の乗った冷奴。


「えー、特にですがきのこ類はエイリアンの中で、とても強力です。害はない、むしろ摂取すれば私たちにとって有益となるものたちです。そこは保証したい。エイリアンたちにも利益がある。それは、彼らには言語がある。私たちには全て理解し得ない、それこそ52単語の解明しかできてないが会話が可能であったため、グランドマザーと呼ばれる個体と対話し、承知を得た。彼らは私らよりあまりに高度な思考形態を有しており、全てを理解することは現時点ではできなかったが、危機はない、ということだけお伝えしたい。以上だ。ありがとう」  


会見は終わり、困惑した様子のキャスターが、日常に戻らせようとニュースを読み上げる。株価の急展開、スポーツ選手の活躍、将棋、AI、事故、事件。読み上げられるが、どこか浮つくように耳に入っては抜けていく。


「え、、。えぇ…あなたたち、喋れるのね?」


返事はなかった。


私は、もち米を使ったしめじの炊き込みご飯を食べ、味噌汁を口に含み同時に嚥下した。厚めに切ったたくわんをぽりぽりと食べ、またご飯を食べる。口直しに生姜のたっぷり乗った、醤油のかかった冷奴を食べた。

明日は、納豆にしよう。


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