全ての龍を操る者
「おはよう、美妃さん。」
混みあう玄関先を何とか抜けて少し人気のないところへ美妃が移動すれば、後ろから龍希が話かける。
「あら、龍希じゃない。おはよう、留学期間終わったのね。」
「うん、二日前にね。美妃さんはどう?なにも変わらなかった?」
現在時刻は7:20 始業まであと40分。
「龍希。ちょっといいかしら。」
部活の朝練が始まるこの時間帯、応接室の使用はないようだ。
少し待っていれば、野狐が登校してきたので、成哉先生に頼んで応接室の鍵を借りる。
「美妃さん、話は少し聞いたよ。
アドガメントがうちに戦いを挑んできたらしいね。」
「ええ、そうね。そのうち学園同士の戦いになっても可笑しくないわ。
向こうは政府の広告塔、政府の傘下的学園の兵が加勢する可能性だってある。」
「そのためには、わかる?龍希。あんたが必要なのよ。
到底、【SIGUMA】と【DELTA】で圧倒できるとは思っていない。」
野狐と美妃の提案に間をおいて答える。
「二人は俺達、【GANMA】に公に参戦してほしいんだよね?」
イリヤバーデンで表示される各校のチームは実は全てではなく、状況判断により隠されるチームもある。
それが、【GANMA】だ。故に、潜む生徒会として呼ばれている。
公式参戦のタイミングを伺っていた龍希にとって、避けられない問題というのも自負していた。
「参戦は少し待ってほしい・・・今回の戦いの前に、言わなきゃいけないことがあるんだ。
成哉先生、いるんでしょう?」
扉の方に視線を向ければ、ギィという音ともに、扉が開かれた。
成哉は例の資料を手に持ち、応接室の机の上に置いた。
「美妃と野狐に黙っていたのは申し訳ないと思ってる。
辛いかもしんねぇけど、これに目を通してくれ。」
恐る恐る手に取った資料に愕然とする。
「あと、俺の留学していた学園も政府に買収され、当学園との共和を切った。
もう、これはアドガメントとかどうとかの問題じゃないんだ。
政府に、裏を操るやつがいる。その手口を聞き出すためにアドガメントと接近するんだ。」
バタバタと迫る足音に危機感を覚えないうちに応接室に美心がやってくる。
「姉様!野狐!龍希!アドガメントのNO.2がっ、イリヤバーデンに!」
「またなの!?成哉先生、出欠、お願いします。」
「わかってる、至急連絡を。
__________響力、『拡声』」
[全校生徒、及び先生方に連絡します。
イリヤバーデンに、アドガメントの勢力が一名。
至急、各自配置についてください!]
イリヤバーデンのバーチャル空間にテレポートすれば、桜子は既に交戦していた。
「ったく、遅いんですよ!龍希さんは!」
交戦していたのは、音波 重≪おとは かさね≫
【GANMA】のNO.3に名を連ねている男だ。
彼は一年ながら、チームのトップに近いところに君臨している。
「すまん!重、お前は下がっていろ!」
「私は、あの役立たずとは違うんだ。
伊達にNO.2の席に座ってないからな。」
意気揚々と話す桜子に敵意むき出しのまま臨戦態勢に入る龍希。
「俺の名を覚えておけよ・・・アドガメントのNO.2さんよ。
俺の名前は、竜頭 龍希≪りんどう たつき≫!
全ての龍を操るものだ!」
龍希!よかったね!!(若干)重より先に登場出来て!
下手したら君、名前は出てたけど、一年の新星の方が先に出るところだったもんね!!