召喚士と堕天使
〈対戦者はブースにご入場ください。
それでは、閑崎野狐VS挑戦者、アドガメント学園より 五葉 召介。 〉
「全く、授業中に呼び出されるとかどんな日だよ……。」
「さっさとお前倒して、生徒会の一角を落とす!」
_____『響力 召喚葉 炎剣!』
炎の剣を持っていた葉を引き換えに召喚した召介に、
防戦一方になってしまう野狐。
「アドガメント学園と言えば、政府の広告塔だっけか。」
野狐が呟いたその言葉に、召介の動きが止まる。
「貴様っ……!なんのつもりだ!」
声を荒らげ、野狐に問い再び剣を振るう。
「私がこの戦いに勝ったならば、質問にひとつ答えること。
君が勝てば、念願の生徒会と戦えるよ。」
「なら尚更、勝たなくてはなんねぇな!」
その言葉と共に野狐の旨を突き刺す炎の剣。
彼女の体が燃えるように灰になり、消えた。
「あらら、分身がそこまで早くやられるとは。
君には僕は倒せない。今の繰り返しさ。」
「そりゃどうかなぁ?
お前は第1その幻影じゃ武器がないじゃないか。」
「それはどうかな?」
真後ろで声がした、と思い振り向く前に、己の未熟さを痛感した。
自分の胸には剣を模した氷が突き刺っていた。
心臓部にある程度のダメージを加える(なお、肉体に痛覚はない)ことで
勝敗が決まる。
すなわち、自分の負けだ。
「君は私が武器を持っていないと言った。
残念だなぁ。私は霧状の液体を幻に変える『響力』。
霧状の液体を固体へと変えれば、こうなるのさ。
幻を作りあげるという洞察力はすばらしいものだけれど。」
膝をついて問いた。
己の未熟さを噛み締めて。
そこに涙など無かったが。
「アドガメント学園は生徒の広告塔。
なら、問うぞ。
アドガメントはうちに挑戦者を送り込んで、どうするつもりだ。」
野狐の低く恐ろしい声に、身震いする。
音がしたと思えばそこに立っていたのは、ブースに入ってきた美妃だ。
これは学園と学園の問題、生徒会長として聞くべきと思ったのだろう。
「そうよ。うちの学園に来たものは今月で20人を超えている。
一体、そっちの学園長は何を考えているのかしら。」
震えながら彼は答えた。
「俺らは駒だ。学園長じゃない、生徒会長の駒だ。
うちの学園の学園長の孫である生徒会長の手下に過ぎない。
お前達、【GANMA】、【DELTA】、【SIGMA】を抹消するための駒だ。
駒はあまりに愚かな振る舞いをすれば消される。」
「決着が着いたと聞き、飛んできたら負けたのか召介。」
甲高い声がブースに響く。
「桜子様!それは……。」
「お前は用済みだ。散るがいい。」
時が止まる。
「おっとぉ、それは許せないなぁ。
アドガメント学園、No.2 黒田桜子。」
「純先生!?どうしてここに……。」
「愛姫が、恐ろしい予知が見えたって、俺を呼びに来たからだよ。
俺の響力 『時間停止』なら間に合うと思ったんだろうな。」
純の静止により、乱闘とは済まなかったものの、張り詰めた空間は続いた。
「ちっ、教師まで来るとは。」
そういい、桜子は黒い羽根を落として去った。
「黒い羽根??」
「黒田桜子様……No.2にして『堕天使』の響力を持っている人だ。」
召介は怯えながらもその事実を口にした。
「堕天使……か。」
「純、知ってるの?」
「いや、こういうのは本田先生の方が詳しいはずだ。
あとお前、召介な。
しばらくは俺のクラスにいてもらうぞ。」
そういって先に去っていった純に
野狐、美妃、そして当事者である召介の絶叫がブースに響き渡った。
あ、Twice system 科の詳細、各チームのトップ3までは知ってます。
これにすると純と成哉の苗字忘れそうだな……。