出席簿:音波重
「〜〜〜〜!!!」
聞こえない。
怒号が。歓声が。妬み声に執着心。
何もかもが聞こえなくなった。
8歳の頃、俺は聴覚を失った。
絶望と恐怖に襲われ、自分をおいつめた。
学校にいても、邪魔者扱いする。
原因は母親からの暴行・暴言からシャットアウトしたいと心のどこかで思っていたからだそうだ。エンデルア学園に入ってからも苦労は続いた。
高等部へ上がる時,龍希さんから呼び出された。
「(お前、音が聞こえないんだろ?これ、やるから。)」
手話でそう教えてくれて、渡されたのは赤いヘッドフォン。
「(お前の診断結果、見させてもらった。微かに聴力は残っているみたいだな。
これは、耳に支障のないように周りの音を反映させるヘッドフォン型スピーカー。とある先生の響力を応用して作ってもらったんだ。)」
「(そんな、龍希さん。どうしてここまで。)」
「だって、チームだろ?」
久々に聞いた人の言葉、暖かい声。
昔聞いていたものとは違う。この人について行こう。
赤きヘッドフォンはそれ以来、俺の相棒だ。
連さんには、龍希さんが話を通していたらしく、差別や軽蔑など全くなかった。
むしろ、俺の事を軽蔑した奴らを龍希さんと共にボコボコにする始末だった。
「重、お前はお前のままでいい。過去のことは干渉しない。
家の事情はここではタブーな。それがGANMAだ。」
だからこそ、後始末は俺らの仕事。
「連さん、いきましょう!
GANMAに恥じぬ戦いを!
龍希さんは復活する!俺らのリーダーはタフが取り柄だ!」
龍希さんを戦闘不能にさせたこと。
一生後悔させてやるから。