出席簿: 稲葉美心
美心ちゃんのお話です。
おしとやかって難しいっすね
階段を駆け上がる。
姉様のために走らねばならない。
私はいつも姉様を中心として生きている。
姉様は私の誇りだから。
私の姉様の生まれた稲葉家は名家と呼ばれ、相応の努力をして良い成績を収めなければ、家族としても扱われない。
そんな家に生まれた、私と姉様は昔から厳しい教育を受けてきた。
「お前達は稲葉の姓に恥ぬ、良き人になるのだ。」
それは祖父の口癖だ。私たちの父親は婿入りしたために、私たちの教育は祖父がしてくれた。
あれはいつだったか。
琴の練習をしていた時だったか。
「美心、お前は姉に較べて劣っているのにも気づいておらぬのか。」
本家であるうちに来た分家の叔母様にそう言われたのだ。
確かに自分は努力不足、姉様には到底叶わない。
そんか事はわかり切っていた。
なのに、姉様は
「お言葉ですが、叔母様。
美心は劣っていなどいません。確かに琴は私の方が長くやっているのもあるかもしれませんが、美心のその響力は当家で異例なほど強力です。」
そう私を庇ってくれたあのときから、私は姉様を慕っている。
Twice System 科のある棟につき、野狐の教室に着く。
「野狐、姉様からの使命よ。
他校の輩を倒すのに手伝って欲しいと。」
「あのさぁ……そっちはまだいいかもしれないけど、こっちはもう授業始まっているのよ?はぁ、美妃に言っても無駄だっけ。
成哉、ちょっと抜けるね。隠蔽よろしく。」
「隠蔽ね……公欠ってことにしておくから。」
そういって野狐はこちらの方へ来てくれた。
「美妃は、相変わらずというかなんというか……」
「そこが、姉様らしいですからね。
最近他校の挑戦者が多くてちょっと問題が起きそうなのもあるのでしょう。」
階段を降りながら声を少し小さくして話す。
「そうね。近々、そう攻撃を受けてもおかしくない。
そういうこともあって私を呼んだんでしょ。」
もうすぐ【イリヤバーデン】に着く。
さぁ、決闘の始まり。
裏話→野狐、美妃、愛姫は同い年。
美心、後で出てくる【GANMA】のNO.1が野狐たちの一個下。
美心が1個上にもかかわらず、野狐のことを呼び捨てにしているのは、野狐が「さんづけは擽ったいから呼び捨てでいいよ」って美心に言ったのがきっかけです。