出席簿:閑崎光雅
閑崎野狐、改め本田野狐は生まれてまもなく奥利家に拾われた。
その家の者の話によれば、この世のどこかにいるであろう自分の母から託された。
そう聞かされていた。
しかしそこでの生活も快適とはいえず、奥利家に子供が産まれてからは
自分に見向きもしなくなった。
出来ることなら、少しでも早くこの『奥利』姓から離れたかった。
家から嫌われていた。たった一人を除いて。
奥利 光雅。
奥利家に生まれた子供であり、いわば野狐の血の繋がらない妹だ。
彼女自身、奥利家を嫌っていた。
光雅が生まれた頃からだろうか。両親が離婚、子供を引き取った母は暴力を奮うようになった。
響力で難を逃れつつも限界があった。
そんな生活が過ぎて行く中、1人の男性が野狐を尋ねてきた。
『閑崎野狐さんですね。
とあるお話があるのですが、よろしいでしょうか。
光雅さんも、是非こちらへ。』
彼は怒り狂う義母を止め、黙らせた。
ようやく嫌なあの家を離れられるそう思っていた。
彼は、稲葉泰輔と名乗った。
「俺の彼女はふたりと同じ境遇で育っていてな。
そんな子達を救いたいって願いを俺と一緒に今やっている。
だから、もう奥利家のことなんて忘れてもいい。
ふたりは今日から『閑崎』だ。」
そう説明してくれた。
稲葉家についてまもなく、彼の彼女である、閑崎 希に出会った。優しく接してくれて、初めて愛情を受けた。
稲葉家での生活にも慣れてきた頃、泰輔は2人の人物を野狐と光雅に紹介した。
彼の妹である、美妃と美心だ。
これ以来、野狐と美妃、美心、光雅の関係は紡がれていったのだ。