救援
「全くもう……嶽も鉄架も使い物にならないんだから……。
あぁ、自己紹介が遅れたね?僕は、蘇芳。
我が兄、ルオンの名にて、君の命と葉月の能力を貰いに来たよ。」
「やめて……やめて……」
「馬鹿だなぁ、やめてっていってやめるわけないじゃん。」
ゆっくりと、蘇芳は夜乃に近づいていき、弓を構える。
夜乃の脳天を貫けるように狙いを定める。
「やめて……来ないでよ!!!」
蘇芳が放った弓は何かに弾き返された。
正確には、吸い込まれた。
一人の少女の手の内に。
「なんだって……僕の弓が!」
「残念だったわね、兄に縋り付く醜い御坊っちゃま?
夜乃様、この美妃が、安全な場所へと案内させていただきます。」
そういって、美妃は葉月の体を持ち上げ、窓から飛び降りる。
夜乃が怖気付き、降りれないでいると、その体を持ち上げ連が飛び降りた。
猫の着地力で安全に降り、連は再び部屋に戻る。
「私の『誘惑』は物を引き寄せる力も持っているから、あなたには不利ね?」
「そんな訳ない!僕だって僕だって!」
[響力『毒針』殺人鰒の毒矢]
美心と連は間一髪で避ける。
矢が刺さった石造りの壁に深く刺さり、矢は溶けた。
この弓矢は当たれば毒死、耐え続けられたとしても、気化した毒成分にやられてしまう。早めの決着をつけなければいけなかった。
美心はある作戦を思いついた。
確実に彼を仕留められる方法が。