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螺旋状
「葉月。母様から連絡が。」
王宮の地下にある隠れ部屋に葉月と夜乃は隠れていた。
バーチャル空間が普及し始めたこの世界で、葉月と夜乃は世界を変えかねない。
「父さんと……わかった。」
葉月は隠れ部屋の本棚からひとつの本を取り出す。
本を開き、葉月はメガネをかける。
「夜乃、俺は今から直接エンデルアに通信を取る。
その間に湊兄ちゃんが来たら、事態を説明してくれ。」
「わかった。」
葉月は夜乃に体を託す。
暫くして、不意に扉が開く。
「(湊……じゃない!じゃあ、一体……誰?)」
夜乃が思考を巡らす。
ここを知っている人は今、湊と母様しかいない。
でも、この気配は違う。両者じゃない。
「こんにちはぁ。わが女王様。
だからさぁ……言ってるじゃないか。
ひれ伏さないとダメだって……
だからさぁ、早く葉月を渡してよ。
早く、死ねって言ってんだよ!!!!」