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Twice System  作者: 成崎夢叶
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とある悲劇の賭博師

物心着いた時、家族なんていなかった。

自分一人で生きていくしか道は無い。

貧富の差が激しい時代だ。親に捨てられたのだろう。


雇い主の命を聞き、耐えて捨てられないようにすることだけを恐れていた。


3度目の雇い主のとき、鉄架は18歳。年頃の女性だった。

その雇い主は、遊郭の店の主であった。

そこで賭博師として生きていくことになった。


彼女はそこで才能が開花した。

遅くなりながらも手に入れた、響力『賽子』

丁か半かで決着がつく、あまりにも簡単なその遊びに彼女は心を奪われた。


賭博師として、生活するのが好きになった。

働くのが好きになった。

司会進行役の中盆まで成長した彼女には悲劇が待っていたのだった。


一時期盛り上がりを見せていた賽子賭博も廃りが見え始めていた頃

彼女は店を追い出され、人生に迷った。


自分には何が出来る?

そんな時話しかけてきたのが、あの雨の日ずぶ濡れの私に傘を差し出したのはルオンだった。


ルオンは自分を大事にしてくれた。

捨てるなんてことをしなかった。

体の不自由が効かなくなっても、直ぐに治してくれた。

まるで人形を治す、人形師の如く……


待て、わっちは誰だ?何に操られた?

昔の記憶も曖昧だ。

忘れては行けないものが何かあったはずだ。

何を忘れた?わっちに必要なものはなんだ?


わっちは、なんのために生きていた……いや、生かされていたんだ?



背筋が凍る。あの時、ルオンが私を救ってくれたと思っていたのに。

それはただ、彼がわっちを、わっち達を利用するためだったのなら。

なら、何故すぐに気づかなかった?


わっちは……夢を見ていたのか……。











暴風も、防御体制もピタリと止まった。

操也の『操作』により、一時的な動きの停止に成功したのだ。

ぶらりと落ちた意思のない動きをしたその腕から、2個の賽子が落ちる。

そして水無月は、彼女の元まで龍希の龍に乗り、1歩前まで向かった。



「もう眠っていい。こんなこと敵に言われるのは屈辱的かもしれんが。」


そういって、木人形にしつこくへばりついていた魂は消滅した。

魂の消滅とともに、木人形も砂のように崩れ去る。


そのとき、成哉からの拡声が届く。

アドガメントとエンデルアの和平についてだ。




1度エンデルアに戻り、野狐は白夜を連れてイリヤバーデンに向かおうとしていたが、呼び止められる。


「ちょっとこっちに来てくれんかのぅ。」


2人を呼び止めたのは、本田光秀だった。


まだ2人は彼の口から飛び出る秘密なんて、知りもしなかった。

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