丁半
[システムエラー システムエラー 侵入者 侵入者]
イリヤバーデンの警告の数秒後。
見慣れない着物を着た女性が現れる。
誰かもわからないが、ひとつだけ分かってることがあった。
「わっちは鉄架。帝王の命の元、おまいさん方の賽子を
奪いに来たんですの。」
イザーレンの駒であることには間違いない。
「おい!一時休戦だ。まずはこちらを仕留めねば。」
「仕方がない。力を貸してもらおうか。」
龍希の提案は桜子に承認された。
「丁か、半か、」
彼女の手のひらの上から2つの賽子が落ちる。
「シニの丁」
彼女の扇から突風が吹く。
水無月は声を聞く。
「彼女、200年前、下町の賭博師だったんだ。
響力は『賽子』。丁が出れば攻撃、半が出れば防御。
1つ賽子を奪えば、彼女は何もすることが出来ない。」
霊媒で死者の声を聞いた水無月は、マインドクロスコントロールを介してこれを伝えた。
「脱落者がいるようじゃ面白くないのぅ。
弱き者は散りさるべきだろうて。丁か、半か、
イチゾロの丁。」
[響力『雪女』 雪壁]
風を防ぐように雪で壁を作る。
「チッ。」
龍希の従龍の攻撃も上手いように防がれてしまう。
「ここは私の出番で良くってよ。」
奏は響力を使い、彼女の聴覚を奪う。
彼女が生きていた時代とは違う、現代の音楽によって彼女を混乱に陥れる。
奏を止めようと扇を振るえば、雪が舞う。
騒音は重を介して威力は増し、辺りは吹雪。
[響力『操作』 フラッシュバック]
操也は鉄架の弱みに付け入る為、過去を覗いた。