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公私混同
誰もいない王宮の廊下を歩く。
どこだ。何処にいる。
湊は探していた。双子の皇太子の皇"皇太子でない方"を。
この国には独特な皇室にしか伝わらない文化があった。
それは、10歳になるまでは、皇女は皇太子の振りをしている。
双子の下の方……夜乃は皇女だ。それは、湊が1番わかっていた。
双子の彼らは特殊な響力を持っていた。
二人で一つの珍しい形。響力『バーチャル』
バーチャル空間に侵入可能な彼らの響力は希少中の希少。
「ここで何をしている?佐藤 湊……。」
「夜乃を探している……そんなお前はここで何をしているんだ。圭太。」
「年上に対してその口の利き方はなんだ。」
「俺はあんたを敵とみなしている。」
「ほう……?それはどういう……。」
「ついこの間、傀儡国家の謎が解けたんで。」
圭太が鞘に手を掛ける。
湊はここで華の証言通りと確信した。
ならば、圭太を止めなければならない。
イザーレンの侵略が始まってしまえば、市民にも被害が及ぶ。
それは避けたい。
そうしたら困ってしまうだろう。
「公私混同……それを背負うのはこの戦いが終わってからだ……。」
そういって、湊も角を生やした