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Twice System  作者: 成崎夢叶
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協奏曲と重音

「全ての龍を操る者?

笑わせてくれるじゃないか。」


桜子は自らの黒き羽を大きく広げ、バーチャル空間を滑空する。


「美妃さん!野狐姐!こいつは俺が請け負います!


だから、他の奴を!」


その言葉と共に現れたのはアドガメント陣営と思われる生徒の姿。


ヴァイオリンを持ち、ワープゲートから現れた。

5人ほどの生徒を連れて、ヴァーチャル空間に入り込む。


「あらあら、桜子の支援に来てみれば、思ったより荒々しいのね。

あぁ、そこにいるのは、゛元 ゛名家出身の美妃さんじゃありませんか。

名家の血を引きつつも、姉妹揃って支援系の響力。

勝つことも出来ず可哀想に。」


かなで、あんたとは本気で、戦わなきゃいけなさそうね。

もう今更猫被ってる必要性もないわ。堂々と戦いましょう。

行くわよ、野狐。」


野狐が久々に見る美妃の本気……口調の変化。

アドガメント学園の生徒会に所属する奏。

彼女の響力は攻撃系、『協奏曲』

楽譜の音符を具体化させ、空間を操る彼女の響力には分が悪い。


「重、あんた戦える?」


「人使いが荒いんだよなぁ、龍希さんと一緒で。

いいですよ、あなたに魅惑されましょう。」


響力『魅惑』。

この能力は、支援系と呼ばれてきた響力だ。

しかし、美妃は違った。

『魅惑』は人の心を惑わせる。

【DELTA】の、NO.3の持つ響力に比べれば威力は弱いものの

痛覚を消すことは可能だ。

そこに、野狐の『幻影』を合わせる。

『幻影』で、重自身が響力に侵されながら響力を使うという光景を

カモフラージュしつつ、自らは接近戦に持ち込む。


現時点で、『協奏曲』に勝てるのは重の響力『重音』しかない。



そうと決まればやるまでだ。


3VS6


決して惑わされては行けない。


[響力『協奏曲』、Heaven Drum]


鼓膜が破れそうな程に大きなドラムの音が響き渡る。

間違いなくこれは、龍の牽制にも繋がっている行為だ。

やろうと思えばこちらの手伝いもできるほどの龍希の響力は、

恐れられていると考える。


[響力『重音』、Twice rhyme BEAT]


ドラムの音をかき消すかのよう、ラップが流れる。


刹那、なにかが壊れる音がした。

違和感に気づいた野狐がその手を持とうとしたときには既に遅かった。

見余っていた。


「あらあら、やっぱり美妃さんは役立たずのようね。

うちの、転送系の響力にやられてしまったんだものね。」


転送……つまりはバーチャル空間から強制的に抜けたということ。

イリヤバーデンのルールとして、バーチャル空間から抜けてしばらくは

再びその空間に入ることは出来やしない。


2VS6


戦況は悪化したと思われた。


「あ〜、よかったっす。

美妃さん、空気読んで脱退あざした。」


そしてインカムに流れる美妃の声。


「ええ、今が代わり時だと思ったの。

存分に暴れていいわよ、操也。」


その途端に察した。

美妃は彼の登場をいち早く察知し、わざとバーチャル空間から抜けたのだと。

野狐は再確認した。

やはり彼女の洞察力は学園一だ。エンデルアの指揮官と呼ばれるのも納得だ。


「あーあー、初めまして。アドガメントの皆さん……

あ、間違えた。政府の番犬さん。」


その操也の言葉に奏の連れてきた生徒のひとりが反抗した。


「政府の番犬だと!?巫山戯るな!

我らアドガメントは政府の広告塔である!決して奴らに利用などされていないし、忠誠を誓ったことなどない!」


(あーあ、反応しちゃったよ……)


野狐が、そう思ったと同時に、操也の口角が上がる。


「チェックメイトですね、名も知らぬ番犬さん!」


その生徒が次に口を開くまでに自害した。

自らの響力で自らを脱落させたのだ。


「1年の新星は重だけじゃないっすよ〜。

この俺、鏡見操也かがみそうやのことも覚えておいて欲しいっす!」


「敵に媚び売ってどうする?

お前は本当に生徒会か?」


操也のフットワークの軽さを疑う重。

しかし、次の瞬間操也の顔つきが変わる。


「重、野狐の姐さん。行きますかっ!」


[響力 『操作』、マインドクロスコントロール]


マインドコントロールをしつつ、味方の意志を合わせる。

さりげなくこの時操也は、龍希とのマインドクロスコントロールも

行っていた。


「さぁて、君はこちらの人間だからね。

利用させてもらうよ。召介くん。」


野狐が解いた霧の中には召介がいた。

これにはアドガメント陣営も困惑する。

アドガメント学園の生徒手帳を床に投げ捨て、足で踏み潰すと

ブチリと大きな音が起こった。


「知ったんだよ。アドガメント学園から離れて。

俺の生徒手帳に独特な磁力波を起こす機械がついていて

それで俺を洗脳してたってことをな!!」


思いもよらぬ、召介の告白に、アドガメント陣営は座喚く。


「あと俺は元からここの学校の生徒だ!

アドガメント学園にスパイとして入ってただけ!

これからはお前らの味方ではない!敵だ!」


「別に勝手にすれば?お前は役たたずなんだから。」


上空で龍希と交戦しながら桜子の声が降ってくる。


「うわぁ〜うちの学校の生徒だったの〜。

野狐の姐さんの手を煩わせたと思ってさっき殴ってごめんね〜!」


「ったく!ホントだよ!!」


謝る操也に、それに抗議する召介。


「野狐姐は、知っていたの?

召介がスパイだってこと。」


「当たり前でしょ。じゃなかったら、あの時剣でみじん切りにしてたわ。」


「え、怖。まってねぇ、野狐さんそんなこと考えてたの!?ねぇ!?」



あ、男子が基本的に野狐にさんづけしてるのは、野狐が怖いからです。

(みじん切りのやつみたいなこと結構言うから。)


美心は、親しみを込めて呼びすてなんです。

それが出来ないのが男子勢なんです。


あ、召介は一応【SIGMA】NO.3でした。みんなに知られてないけど(知ってたのは野狐とNo.2だけ。)

ちなみに、召介は苦労人体質です。

彼は、NO.3だったのに、同い年の女子にスパイ中にその席を奪われたのでした。


ドンマイ!召介!


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