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始まり

インフルの息抜きに書きました。

あくまでひとてんの方がメインなのであちらを中心に進めていきます。

こちらを更新して欲しいと言われれば更新すると思いますのでよろしくお願いします。

※更新は不定期

世界とは理不尽である。

当たり前のことかもしれないが、もう一度言う。

世界とは理不尽である。


僕、アインハルト・レイダガーはこのことを(よわい)8歳にして知ることになった。









いつもと同じような朝。でもどこか騒がしい。

いつもと同じような朝ごはん。でもどこか美味しい。

今日、僕は鑑定を受けることになっている。この世界では5歳から10歳の間で受けることになっている。受けるタイミングは人それぞれ。少しでも速く知りたい人もいるし、自分で覚悟を決めてからという人もいる。僕はどちらでもない。両親が2人とも僕が5歳のときに起きた魔物の大進攻で村を護るために死んでしまった。

それがショックで僕は3年間も鑑定してもらいに行くことが出来なかった。

僕は、食器を手際よく洗い、ベッドの横の棚に置いてある小さな箱をあけ、その中の短剣を取り出す。

両親が死んでから僕を支えてくれたのはこの一般的な鉄で出来た刀身に小さな赤い宝石が埋め込まれた短剣なのだ。どこへいくにも既に手放せなくなっている。僕はその短剣をベルトに取り付けた鞘に収めて外に出る。


外にでれば、眩しい日差しが無常にも外出慣れしていない僕の白い肌をグサグサと突き刺していく。


「行ってきます・・・・・父さん、母さん」


囁くように言ってから、僕は丘の急斜面を滑るように・・・・・・いや実際に滑り下っていく。

昨晩雨が降ったこともあり大変滑りやすい。実にいい。

下り終わったところで跳躍をし、強すぎる勢いを空中で殺し、着地と同時に走り出す。

村の外れにある丘の上の僕の家から少し遠い村の中心部まで走っていく。風が最高に気持ちいいがゆえにやめられないんだよなぁ。


「あ! ハルト! こっちだよ!」


中心部に近づくと僕に向かって手を振りながら声をかけたのは幼馴染のエヴァだ。僕の両親が亡くなってから何かと世話を焼いてくれる。ほぼほぼ僕の生活は彼女のおかげで成り立っていると言えるであろう。

僕はエヴァに手を振り返して、エヴァの下に駆け寄っていく


「おはよう、エヴァ。まだ時間あるよね?」

「おはよう、ハルト。うん、ないよ! 走って!」


エヴァは軽く挨拶をするとダッシュで駆け出し、村で1つだけやたらと豪華な神殿に向かっていく。

神殿まではそんな距離はないのだが、よっぽど時間がないのだろう。エヴァも焦っていますと言わんばかりの表情で駆けている。もちろん僕もその後を追う。


「君たちが最後の鑑定してもらう子達か?」

「はい! お願いします!」

「よし、入れ。聖女様が待っておられる」


神殿前までいくと門番のような鎧を着た衛兵さんに声をかけられ、中に案内される。

中は大聖堂のようになっており、初めてこんな場所にきた僕たちは思わず、わぁと声を出してしまった。

衛兵さんはそれをとても嬉しそうに。かつ悲しそうに見ていた。その瞳には何か強い後悔を感じる。

初めての雰囲気にそわそわしながらも衛兵さんについていくと、長い金髪に碧眼、真っ白なドレスを着たこの村じゃまず見かけない美人な女性がゆったりと座っていた。たぶん、この人が聖女様なのだろう。


「ようこそ、若き希望たちよ」


聖女様はゆったりとした動作で柔らかい笑みを浮かべながら美しい動作で一礼をする。その上品な雰囲気につい、身がこわばってしまう。


「気を楽にしてください。では、私も魔力が尽きてしまいそうなので早めにやっちゃいましょう。そちらのお嬢さんから座ってくださいませ」

「は、はい!」


聖女様は先ほどとは違い、年相応の笑顔を浮かべてエヴァにいう。いくつなのかは知らないのだけれど。

エヴァも聖女様の放つ上品オーラに当てられたのか、がちがちに緊張してしまっている。


「では、今からあなたのステータスを確認するため、あなたの私物を一つお借りしたいのですが」

「えっと・・・・・・いろいろ悩んだんですけどこれでお願いします」


ステータスを見るにはその人の思いが詰まった私物をステータスを見れるように魔法を書け、魔道具にするらしい。エヴァが取り出したのはダイヤモンド型のペンダントだ。これは確か、僕が森林に魔物(食料)狩りに入ったときに見つけた金属で作ったものだ。このときに判明した僕のスキルは【金属加工】である。鍛冶師とかが重宝するスキルらしい。

聖女様はペンダントを受け取ると、何か呪文を唱える。聞き取ることが出来ないレベルの小声での詠唱だった。


「はい。これでステータスを確認できます。刻まれているはずなので後で確認してください。では、次のの男の子も座ってください」

「アインハルトです」


僕は座りながらも、男の子と呼ばれ続けるのはむず痒いのでしっかりと名乗った。聖女様もわりと驚きだったようで一瞬だけ驚いた表情を見せた後に、柔らかい笑みを浮かべながら


「失礼、リーナと申します。では、私物をお願いしても?」

「これです」


僕は迷うことなく短剣を取り出し、刃を指で挟んで掴み、柄を差し出す。

聖女様・・・・・・リーナ様もそれを受け取り、さきほどと同じ詠唱をし、短剣を僕と同じ方法で差し出す。


「・・・・・・ステータスは後で確認してください。それと何か困ったら相談に乗りますのでレディアンセルの街の協会に来てくださいね・・・・・・」


その表情は最初の柔らかい笑みとは違い、引き攣っており、おまけに視線はかわいそうなものを見る目だ。この表情から察するに、僕のステータスはよっぽど酷いらしい・・・・・・見るのが怖いな・・・・・・

僕はお礼だけを述べて外に出る。外に出るとエヴァが待っておりペンダントを確認している。


「エヴァ、ステータスどうだった?」

「わっ! もうびっくりさせないでよ!」

「ごめんごめん、で、どうだったの?」

「昔から話を逸らすのだけは上手いよね・・・・・・えっとこんな感じ」


名前:エヴァ・ブレイストーン

性別:女

種族:ヒューマン

レベル:23

体力:246

魔力:89

筋力:143

敏捷:128

精神:145

器用:3

スキル:【片手剣術】【火魔法】【斬破】【武人】【聡明】


「つっよ!?」


この世界のレベル20台の全体的な平均パラメータは50~100前後だ。それを魔力意外はそれを余裕で超えている。容量は・・・・・・見なかったことにしよう


「うん。頭おかしいよね。ハルトはどうなの?」


エヴァは頷きながらも聞いてくる。本当にわかっているのだろうか

僕は短剣を取り出して自分のステータスを見た。


名前:アインハルト・レイダガー

性別:男

種族:ヒューマン

レベル:19

体力:102

魔力:42

筋力:21

敏捷:179

精神:67

器用:298

スキル:【鑑定の心眼】【短剣術】


うわ・・・・・・敏捷と器用はあほみたいに高いくせにそれ以外はクソじゃないか・・・・・・

なんだこれ・・・・・・戦闘に不向きすぎる。戦闘なんかしたら真っ先に逃げろと言わんばかりのステータスじゃないか・・・・・・


「あー・・・・・・えっと・・・・・・き、気にすることないよ! レベルをあげればなんとかなるって!」


悟りを開き始めた僕に対して声をかけてくれるエヴァ。ん? レベルを上げればいいのか!

僕はエヴァの手を握り締めて言う。エヴァは顔が真っ赤になったが今は気にしてられない。


「それだよ! ありがとうエヴァ! ちょっと行ってくる!」

「あ、ちょっと! どこにいくのよ!」


僕は叫ぶエヴァを無視して全速力で森に向かっていく。

昔見つけた僕だけが知る秘密の迷宮、【ウロボロス】に向かって。

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