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96話 疾風の毛


「凄かったよ!

アミネラちゃんが殴ったらさ!!

どんなに大きな魔物でも

吹っ飛んじゃってさ!」


冒険者の少女が俺に向かって笑顔で話す。

名前は確か…ラニカ


「正直驚いたげ。

武器も持ち歩かないで戦えるのかげ?って

思っていたげが…

とんでもない強さだげぇ。」


続いてガタイの大きなおっさんの冒険者が

どこのなまりか分からない言葉で話す…

名前は確か………忘れた。

ハゲてるからとりあえず、

自分の中ではハゲと呼ぼう。



あれから冒険者登録を済ませて

すぐにギルド内でパーティーの

誘いの声をかけられた。

俺を合わせて男女3人のメンバー達と共に

初依頼を終わらせ

(雑魚魔物を何匹か狩っただけだが)

帰りに町の酒場で飲みながら

メンバー達と雑談をしていた。




「アミネラさんは

誰からあんな体術を教わったんですか?」



パーティーのリーダーで

真面目で堅物そうな少年が質問してきた。

確か名前はジアータ。



「もう仲間なんだから

お互い堅苦しい

呼び方は無しにしましょ?♡

誰に教わったかは、ひ、み、つ♡」



流石に自分で言っててキモいと思うが

勢いでこのキャラにしてしまったから

ぷりてぃーな喋り方を続けている。


あと誰に教わったかは

自分の親とは言いたくなかった。

特に理由は無いが、あのババアは嫌いだ。



「それもそうだな。

俺たちはもう仲間で全員同い年で

同じ誕生日なんだもんな。」



「え?」


同い年?何でだ?

そもそもハゲおやじは

こいつらと同い年には見えない

老け具合なんだが…。


「冒険者になりたい子達は

14歳になったらすぐに

ギルドに駆け込むもんね!

このパーティーも今日

偶然同じタイミングで

登録した人を集めた感じだし

そう考えたらみんな同い年だね!」



「おでも14歳になってすぐに

冒険者ギルドに駆け込んだげ!」



おいおい…マジかよ……

このハゲマジで可愛げのない少年だな…。


この流れ的に俺も

14歳って言った方がいいのか?

実際1万歳を超えているんだが…

見た目的には10代には見えなくも無いし

このハゲの老け具合を見たら

普通に14歳で通るのか?


「そ、そうね〜♡

私も14歳になってすぐに

冒険者ギルドに来たの〜♡」


………………

一瞬空気が固まる。


「同い年なのにアミネラちゃんが

1番大人っぽい感じで

セクシー?だよね!」


「そうだな…俺も

最初は歳上かと思っていたが

やっぱり同い年だったか。」


「確かに!お姉げさんみたいな

雰囲気が漂ってるげ!!」


何で誰もハゲおやじ少年の老け具合に

気がつかないんだ……。






「あ!毛根な時間だげ!!」



…………………毛根…?

賑やかな酒場の空気が一瞬で凍りつき、

ハゲの毛根に周囲の視線が集まる。



「あ、もうこんな時間だげ!!」



ハゲは慌てて言い直す。


「じゃ!おでは先に失礼するげ!!」



ハゲおやじはそう言って

走って店を出て行った。



………………

「さっきの冒険者はラニカか

アミネラの知り合いか?」



「え!?ジアータの

知り合いじゃ無いの!?」



「………………。」


え?………な、何だったんだ!?

あのハゲおやじは……。







「4327位レニウム冒険者のモーコン。

奴は若者の中に入れば自分も若返って

毛根が再生すると信じて

新人冒険者に絡みに行く困ったやつだ。

ついでに割り勘の支払いをせずに

髪の毛だけ残して風のように去ることから

『疾風の毛』とも呼ばれている。」



後ろの席から声がした…

聞いた事のある嫌な声だ。



「あ、あなたは先輩の冒険者の方ですか?」



「いかにも!最強の冒険者となる男!

マロニム!!覚えておきたまえ。」


後ろの席に足を置いて座りながら

ジアータの質問にドヤ顔の自己紹介で

答えた少年は昼間に

俺にナンパしてきた奴だ…。



「ジ、ジアータ君♡

ちょっと席を外していいかしら?♡」



ガチッ!!



「ぐげっ!!」



他人から見えないように

ダークネス・アンノウンでバカな少年を

拘束して店の端まで連行する。



「てめぇ…昼間に酒屋の店主から

俺の伝言を聞いたんじゃねぇのか?」


ジアータ達に聞こえないように

バカ少年にガン飛ばす。


「ハハハ!聞いたよ!

店主の滑舌が悪すぎて

よく聞き取れなかったが愛の告白だろ?」


……………

「シンプルに苦痛を与えて殺すぞ?」



「もう〜、アミネラたんは

照れ屋ちゃんでちゅねー!」


よし、こいつ殺そう…




ダンッ!!


「おい!荷物運びのマロニムは居るか!」



昼間の鼻を広げてやった

大男の冒険者がドアを雑に

蹴り飛ばしながら店に入って来た!?

あー最悪だ…。




………

「ここに居るぜ!

だが僕はもう荷物運びじゃ無いぜ!

鼻デカ野郎!!」


少年がデカデカと叫び

客達が一斉に笑い転げる。



………

「今何つった!?マロニムお前!?」



大男は怒り心頭で顔が真っ赤だ。



「おい…少年……お前じゃ明らかに

あの大男に勝てると思わないんだが…」


さすがに少年が可哀想に

思えてしまった…。



「君は見ただろ?僕の才能を!!」



「は?」






「まさか僕が酔拳の達人だったなんて!

昼間に酒樽に入って気がついたら

あいつら逃げてたんだぜ!!」






…………可哀想に…。



「店主!!アルコール度数の1番高い酒を!」



…………………

「ガキが酒を飲むな。」


店主の正論。



「何でだよ!?この国では未成年が

酒を飲んだらダメな法律はないだろ!

ってヤバい!?あいつが近づいて来た!

僕は酔わないと戦えないんだ!!」



俺はジアータ達が居る席に戻った…。


「アミネラちゃん知り合い?」



「ううん♡知らない子だったわ〜♡」



「そうか、ならそろそろ帰るか」



俺達は店を出た…。




「ごめんなさい!僕はただの荷物運びで!

ぐはぁ!!!

ちょっと!!!誰か!?

助けてぇ!!誰か!!??」



建物の防音性が低いのか

少年の叫び声がバカデカいのか


店を出てしばらく歩いても

少年の悲鳴は聞こえていた…。


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