表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/99

95話 ぷりてぃーな喋り方


27年前………



ガブッ!!ガリガリッ!!!


「あー…こいつら不味ぃ!!

喧嘩売って来た上に

肩慣らしにすらならない弱さ!!

その上、味も悪いなんざ

いいとこ無しだな!」




見晴らしのいい荒野のど真ん中で

数分前に無謀にも俺に襲いかかって来た

数匹の熊型魔物に食らいつく。

本当に味が悪くて食えたもんじゃねぇが

昼寝をこの熊どもに邪魔されたのが

腹が立って仕方がないから

食ってやってる…


腹も減ってなくは無かったからな。



ここは本当に岩と雑草とたまに魔物以外

ほとんど何も無い荒野で退屈だ。

何かあるっつたら

少し離れた場所に町があるくらいだ。



そしてその町の方向から

銀髪の女が歩いてくる…。






「今回は随分仕事が遅かったな。

これ、余ってるけど食うか?」



俺は銀髪の女に熊の肉を向ける。




「まぁ、今回は患者が多かったからの…。

それにしてもそなた…

よくそんな不味い物食べるの…

妾は遠慮しとくのじゃ。」



「さすが大賢者ルナディナ様は

食にもこだわんだな!!

俺は腹が減れば不味くても食う!!」



ルナディナは顔を少し歪ませ

俺を眺める…。



………………………

「1万年以上一緒に居て

ずっと思ってたんじゃが……」



「あ?何だ?」



「アミネラ……そなたもうちっと

ぷりてぃーな喋り方したらどうじゃ?

一応女子なんじゃから…。」



…………………………………



「は〜!!??

プリティーな喋り方って何だよ!?

語尾に♡でも付けろってか!?

気持ち悪りぃ!!」



「まぁ、そなたの好きにすればよい…

ところで、1つ提案があるんじゃが…」



「プリティーな喋り方教室に通えとかは

お断りだぜ?」



「ぷりてぃー教室はまだ構想段階じゃから

開いてないのじゃ。

そうじゃなくての…そなた

冒険者にならぬかの?」




「は?何で?確か数年前に

作った団体だよな?

俺が入る事に何の意味があるんだよ?」



「あのギルドはいざと言う時に

強い人間を集めるために作ったんじゃ…

じゃが、今のランキング1位の

アマルドとか言う奴は妾達のデコピンで

即死しそうな程弱そうなんじゃ…。」



「…………で?」




「そなたが圧倒的な実力で1位になれば

全体の意識がもっと向上すると

思うんじゃよ!

あんな弱っちい奴を1位の座に

座らせ続けるわけにはいかんのじゃ!!」



ルナディナは俺を見つめつつも

一瞬だけ目をそらした。




「はぁぁ……嘘つくんじゃねぇよ………」



「わ、妾は嘘なんて

ついた事ないんじゃよ!?」


いや、それは確実に嘘……。



「こんなに一緒に居て

気がつかねぇ訳ねぇだろ…

何か他に理由があんだろ?」



……………

「バレバレと言う訳じゃな…

仕方がない…本当の事を言うとじゃな…」



ルナディナは俺の目を真っ直ぐ見つめる…



「……そなたの『こみゅ力』を

上げる為じゃ!!!」



…………

「は!??」



「街を歩いてての!そなたみたいな

荒々しい喋りの女子なんて

見た事ないんじゃよ!!!

妾の娘ならもっとぷりてぃーにじゃな!」


…………

何この親…ウザっ!!

まぁ、こいつと離れられるなら

別に悪くない選択肢ではあるな…。



「ああ!わかったよ!!

俺も毎日ぷりぷり言う奴の顔も見飽きたよ!

行ってやるよ!冒険者ギルド!」








数日後……


冒険者ギルドの受付がある

町に俺は足を運んだ。


何故か町の前までルナディナが

付いてきたが、途中で別れた。


「ちゃんとぷりてぃーに

受付済ませて来るんじゃよー!

ぷりてぃーに

仲間もいっぱい作るのじゃ!」



見送るルナディナを無視して町を歩く。



町の中は店や民家が並んでいて

人々の活気で溢れている

そんでもって通りがかる奴は

どいつもこいつもヘラヘラ笑ってやがる。

たまに目が合ったりするが

目が合った奴は大半、俺から目をそらす。

目つきが悪いとよくルナディナに

言われていたが

それが原因なのかもな…


気にする必要も無い。

目つきが悪かろうが何だろうが

とっとと冒険者登録をして

適当な依頼を受けて

適当にやってれば、

すぐトップになれるだろう。


まぁ、冒険者生活は

暇つぶし程度にはなる事を期待している。

ルナディナの仕事を眺めながら

ぶらぶらしてるよりか

多少はマシだろう。




「惚れた……。」



1人の少年が俺を見て呟いた。

冒険者の様な安物の皮の鎧を纏っているが

強そうには見えない…

年は15歳くらいだろうか…




「あ?」



俺はそいつにガン飛ばしたが

そいつは一切俺から目をそらさなかった。



「や、やぁ…はじめまして……」



片手を上げて俺に挨拶をして来やがった。

俺は黙ってそいつを眺める。



………………

「そ、その服…似合ってるね…

ワイルド?というか…ワイルドで!」



少年はややキョロキョロしながら

俺の服を褒めた…

だが、服は動きやすさを重視して

適当に布を巻きつけて

ダークネス・アンノウンで

内側から固定した物で服ではない。

まぁ、どこかの民族衣装に

ありそうな見た目ではあるかもしれない…

だが、どう見ても

ボロ着という事に変わりはない。



「ふーん、それは『テメェには

ボロ着が似合うぜ。』と言いてぇのか?」



「いやいや!違うよ!

個性的ですごく斬新なデザインの

服だなと!思って!」



少年は全身から冷や汗をかきながら

とりあえず服を褒める。



「で?何の用?」



「え?」



「用があるから俺に話しかけたんだろ?」



「あ、えっと…その……よかったら…

お茶とか…ど、どぅぶわっはっ!!」



ガシャンッ!!



少年が吹っ飛んで酒屋の樽に

頭から突っ込む。



さっきまで少年がいた場所に

足を上げたガラの悪そうな大男がいる

この男が少年の尻を蹴り飛ばしたようだ。



「テメェこんなところに居たのか

普段荷物運びくれぇしかやってねぇんだから

俺らのストレス発散くらいは

付き合ってくれるよなぁ?」



大男の後ろでは連れと思われる

数人が蹴り飛ばされて伸びている少年を

見て笑い飛ばしている。


まぁ、俺には関係ない事だ

無視して冒険者ギルドに向かおう。



「おっと、荷物運びとつるんでた

そこの女も俺のストレス発散に付き合え

変な格好だが、中々悪くない顔だ。」




立ち去ろうとする俺の肩に大男が

ガシッと手をかけた。



………………

「ストレス発散?ならストレスが体から

出やすいように穴を広げてやるぜ…。」



俺が大男の手をガシッと掴み返すと

大男は首を傾げる…






………

「頭は悪い女でも多少は楽しめるがっ!!

ゴッ!!ゴガッ!!!」



大男の手を引きつけて

もう片方の手で大男の鼻に指を突っ込み

鼻フックをした。



「言っただろ?ストレスが出やすいように

穴を広げてやるってな。」



ぶちぶちっぶち!!



大男の鼻の穴はみるみる広がっていき

体が宙に浮く。



「や、辞めで!!辞めでぐざい!!

鼻の!!穴だげは!!辞めでっ!!!」



鼻の穴を充分に広げてやり、

地面に放り投げる。



指を離しても大男の鼻の穴は

直径20㎝程に広がっていた。

我ながら中々の力技整形技術だ。



「て、テメェ!!覚えでろよ!!

次会った時はぶっ殺す!!」



男達は全速力で逃げ出した。

逃げ出しながらも大男の手下達は

広がった鼻の穴を

見てなんとか笑いを堪えていた。



まぁ、面白かったから悪い気分では無い

鼻の穴が広がったマヌケな男の顔を

思い出すだけで

しばらく楽しめそうだ。



そして、さっきの少年はまだ伸びて樽に

頭を突っ込んでいた。

その様子を酒屋の店主と思われる

老人がガクブルしながら眺めていた。



俺は少年を片手で樽から引き抜き、

通行の邪魔にならないように

道の端に投げ捨てる。



「店主これ、いくらだ?」



「……は、はい?」


店主は何が?と言う様な顔をして

俺を見る。



「この樽一つでいくら?

って聞いてんだよ。」



「じゅ、15万ゴールドです…。」



俺は懐に入っている袋に入った金貨を

袋ごと20万ゴールド分店主に渡した。



「は!?はへぇ…!!?」



店主は驚く。



「余った5万は伝言代。

そこのバカな少年が目を覚ましたら

こう伝えてくれ…

『俺に2度と関わるな』と」



「は、はいぃ…」



老店主は驚いた顔のまま返事をした。






俺はそのまま冒険者ギルドに向かった。


さっきのマヌケな男の鼻と

樽に突っ込んだマヌケな少年の

姿を思い出すとかなり気分がいい。


少年の慣れないナンパはウザかったが

今日は中々悪くない日かもしれない


そしていい気分のままギルドの受付に行く…



「あら?とても冒険者になろうとしてる

女の子には見えないくらいに

キラキラした笑顔の子ねー!」



受付の女が俺を見て言った。



し、しまった…つい思い出し笑いを

してしまっていた…


キラキラした笑顔って…

俺に全く合わないフレーズだな…



いや、この際、ルナディナに言われた通り

ぷりてぃーな喋り方ってのを

試してもいい気がするぜ…


どうせキャラ作りを失敗したら

冒険者なんか辞めちまえばいいわけだし

試してみるのも悪くないのか…?


しかし……ぷりてぃーな喋り方って

どうすんだ……?




俺は数秒間、頭をフル回転して考えた結果…



「え〜♡そんなに

キラキラしてないですよ〜♡」



この喋り方になってしまった……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ