89話 毛を刈られた羊
珍しい事もあるもんなんじゃな…
まさか、エクルムが妾に
頼み事をするなんての。
今まで妾を避けていた
気がしてたんじゃが
まぁ、何故今まで避けられていたかは
妾もわかっておる…
妾がぷりてぃー過ぎて
目を合わせると見惚れてしまうからの…
自分の祖母に見惚れてしまうのは
さぞかし恥ずかしいじゃろうな…
エクルムもとうとう妾のぷりてぃーさを
克服してやっと
話しかけてくれたんじゃな。
まぁ、それはともかく
エクルムが妾にした頼み事を直訳すると
あの弱っちい教師がヘマして
教師やめそうじゃから
記憶を消してくれとは…
エクルムも考える事が
まだまだ甘いの〜
まぁ、せっかくエクルムが
妾のぷりてぃーを克服したんじゃから
協力してやるかの!
あの弱っちい教師も
クズじゃったが最近は
マシになったんじゃから
妾なりのやり方で…治療してやるのじゃ
「ワンッワンッワワン!!」
学園に着くとアグレッシブウルフが
エクルムに飛びついた。
「ポチ!?」
ぺろぺろぺろぺろっ
アグレッシブウルフが
エクルムの頬っぺたを舐め回す…
な、何故じゃ…エクルムも
ぷりてぃーじゃが
妾の方がぷりてぃーなのに
何故妾をぺろぺろしないんじゃ!
じゅるりっ!
ミローナがご馳走を見る目で
アグレッシブウルフを眺めながら
ヨダレを垂らす。
そういえば、ルヴィネと
アグレッシブウルフ狩りに
行ってアグレッシブウルフの
味にやみつきになったって
言ってたの…。
確かにアグレッシブウルフは美味いが
こやつは弱っちい教師の
ぺっとかの?
なんでこんなぷりてぃーじゃない
犬をぺっとにするんじゃろな?
妾の方が数千倍ぷりてぃーじゃないかの?
「エクルム!どこ行ってたのよ!」
小娘が犬を追いかけながら
走って来た。
「ケルミロアちゃん!?」
確かエクルムが女の子という
情報を広めてたやつじゃな…
肩にデカい飾りをつけているが
妾ああいうふぁっしょんは
嫌いなんじゃよ
ぷりてぃーさと言うものが
分かっとらんのじゃ
「大変よ!エクルム!
ナーバムル先生が辞表を書いて
学長室に向かってるわ!」
「ええ!?そんなにすぐに!?」
エクルムは驚きを隠せないようじゃ…
「しかも…先生かなり達筆なのよ…」
「ええ!?なんでわかるの!?
書いてるところ
止めずに見てたの!?」
エクルムはさらに驚きを
隠せないようじゃ…
「あまりの筆さばきに私も
圧倒されて止められなかったわ…」
それじゃあ仕方がないの…。
「で、あの弱っちい教師は
アマルドのところに
向かってるんじゃな?」
「は?何あんた?何で学長の事を
呼び捨てしてんのよ?」
めんどくさいから小娘は無視じゃ。
「ミローナも行く!」
ミローナが妾の手を両手で握る。
「すまんの…ミローナはお留守番じゃ」
「はーい」
ミローナは少ししょんぼりしながら
返事をした。
まぁ、今回ばかりは
1人の方が動きやすいからの。
「じゃあ、行ってくるのじゃ!」
「行ってらっしゃーい!」
「ちょっと!無視しないでよ!」
「頼んだよお婆ちゃん…」
妾は子供達に背を向けて
両脚に力を込める……
ドバッギャンッ!!!
地面を蹴って学園の真ん中にある
120mの塔の最上階に向かって
一気に跳躍する。
バリーンッ!!
最上階にある学園室の窓を
叩き壊し、中に浸入する。
「おはようなのじゃ。」
ちょうど中にいたアマルドに
声をかける。
「………………」
アマルドは唖然として妾を眺める…
机の上にはガラスの破片で
ズタズタになった
書類が散らばっている。
「……………おはよう…」
アマルドは唖然とした表情のまま
妾に挨拶を返す。
まるで毛を刈られた
羊のような表情じゃ。
コンコンッ
ちょうどその時ドアがノックされる
「失礼します。ナーバ…っぐはぁ!!」
バコンッ!!
妾はすかさずドアごと
弱っちい教師を殴り飛ばす。
「ぐっ!ごぼぉっ!!」
あ、ちょっとやりすぎたかの?
まぁ死んでないからいいじゃろ。
妾はそのまま弱教師を担いで
アマルドにぴーすをしてから
塔から飛び降りる。
アマルドは黙って表情1つ変えずに
妾を見送った。
ドスンッ!
妾は魔法の木が
植えてある林に着地する。
弱教師を地面に放って
タイム・ア・ルーラで
全身の時間を戻し怪我を治す。
次は頭に手を突っ込んで
ピンポイントで脳の海馬の時間を
進ませ記憶を元に戻し、
気絶した状態にする。
エクルムは甘いんじゃよ…
人は間違えを忘れてしまえば
同じ間違えを繰り返すんじゃ…
ついでにエクルムが切り倒した
魔法の木も治しておく。
さぁ、ここからが問題じゃ
記憶を戻した弱教師が
仕事をやめないようにするのに
1番いい方法はこれじゃ!
ダッ!!!
妾は走って学園の敷地から出る。
途中バリアがあったが
拳で穴を開けて通った。
妾のタイム・ア・ルーラは
魔法で生成された物だけは
時間操作できないんじゃ。
やはり、ちと不便じゃの〜
妾じゃから
あんまり問題ないんじゃがの!
そしてそのまま真っ直ぐ走り、
とある街に着く。
そしてその街にある一軒家に向かう。
コンコンッ
妾はドアをノックする
「はーい!今行きまーす!」
ガチャッ
ドアを開けて若い女が出て来た。




