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87話 思いっきり殴る!


ひゅーっ


入学式が終わってから10日目の朝…

朝日が昇り始め

風が吹いて落ち葉が舞う。


ここは魔法学校の広大な敷地の1つ

魔法の果実や不思議な

植物が生い茂る林。


その不思議な魔法の木から

大量の葉が風に

あおられ落ちてくる。

ちょうど僕の周り半径1mには

47枚の葉が舞っている………。




スパパパパパパパパッ!!!



僕は父から貰った

ルヴィネ姉さんと同じ銘柄の剣で

斬撃のラッシュを放ち、

47枚の葉全てが

真っ二つになって落ちる。


朝日が昇る1時間前に毎朝ここに来て

朝日が昇るまでの約1時間、一歩も

動かずに自分の半径1m以内に落ちる

葉を斬り続けるというのを

ここ10日間続けている。


この行動に意味が

あるのかはわからない…。


少なくともルナディナお婆ちゃんが

聞いたら呆れた顔をするくらい

簡単な作業だ。

ただ何もしないよりはマシだと

思ってしているだけ。


僕は、あの入学式の日から

魔法学校の男子寮で暮らしている。

キャメお姉ちゃんから離れるのは

辛いが、離れなければ僕は

成長出来ないと思ったからだ。


ただ、魔法学校に居ても

授業の内容は大した事ないから

今の所僕はまだ成長出来てない…。

ルナディナお婆ちゃんが考えた

授業内容だから

厳しいのかと思いきや

最初は一般人に合わせてあるから

全くキツくない。

まぁ、僕はマジシャンコースで

あまり興味のない魔法を中心的に

教わっているから成績は

そんなに良くはないが……。


それに周りの生徒達は徐々に

仲良くなって行ってるみたいだが

僕にはまだ友達と言える人は居ない…。

男子寮のみんなは、

何だか僕を避けてるみたいだ…

僕の事を見た瞬間、

全員頰を赤らめて逃げて行く。

何故だかわからないが

それで友達が1人も出来ない…。


男子どころか女子も学校で

僕を見れば頰を赤らめたり

もぞもぞしたりして僕を避けて行く。


ただ1人を除いては……



「エクルムー!朝から何してんの?」


うわっ来た……。


「ケ、ケルミロアちゃん、

おはよう……。」


「朝から何してんのって

聞いてんのよ?」


「えーと、それはね………」


困ったな…なんて答えよう。


「朝日を見に来たんだよ!」


「毎朝?こんな視界の悪い場所で?」


うん……さすがに無理があったか…。


「女子寮の子達が言ってたわよ

毎日朝日が昇る前からエクルムが

ここに来て何かしてるって。」



ズドォォンッ!!!



近くの大木が真っ二つになり、倒れた。


「え!?何!?」


ヤバい……やってしまった……

ケルミロアちゃんに急に

話しかけられて驚いた拍子に

うっかり大木を斬ってしまった…。


しかもケルミロアちゃんに

見られてしまった…。


「ちょっとエクルム!?

何あれ!?断面が綺麗に斬れてる?

まさか鋭利な爪や牙の魔物が

魔法学校の敷地内に入り込んだ!?」


ケルミロアちゃんは

僕がやったと気がついて無いようだ…

まぁ、確かに普段はおとなしめの

僕が大木を片手剣で斬り倒すなんて

悪さをするとは思わないだろう…。

ケルミロアちゃん以外にも

見られ無いうちに

ルナディナお婆ちゃんに頼んで

治してもらお………


………………………………

いや、ダメだ!!

ルナディナお婆ちゃんとは

他人のフリをしようと決めていたんだ。


普段他人のフリをしてて

自分が困った時だけ頼るなんて、

甘ったれにもほどがある!

自分の力で解決するんだ!


「きゃーーーー!!

出たーーーー!!

エクルム!ヤバいのが出たわ!!」


ケルミロアちゃんが突然叫んだ。

女の子の叫ぶ声は

耳障りで嫌いだなぁ…。


「ケルミロアちゃん何が出たの?」


僕がケルミロアちゃんの方向に

振り向くと……。



「ガルルルルル!!!!

バウバウ!!!!」


「え?」


ケルミロアちゃんが指を指して

叫んだ方向には白い毛の塊がいた…。



「ア…アグレッシブウルフ!!?」



体長2m以上のアグレッシブウルフ…

ルヴィネ姉さんから昔聞いた話では

普通のサイズらしい。


いや、サイズは問題ではない。

問題は何故魔法学校の敷地内に

アグレッシブウルフがいるのか?


そしてそのアグレッシブウルフが

たった今、ケルミロアちゃんに

襲いかかろうと

飛びかかっている瞬間だという事だ。


ケルミロアちゃんと僕の距離は約2m。

アグレッシブウルフの牙が

ケルミロアちゃんに届くまで

1秒もかからないだろう…。

僕なら今手に持っている

剣でアグレッシブウルフを

真っ二つに出来るが…


そこでさらに問題がもう一つある…

このアグレッシブウルフは

ケルミロアちゃんを

怖がって攻撃している。

野生動物が何故、人を見た瞬間に

襲ってくるのか?


それは人が怖いからだ。


このアグレッシブウルフは

何らかの手違いで魔法学校の敷地内に

入り込み、僕達と遭遇し、

未知の人間に恐怖を抱き、

攻撃される前に殺しに来た。


野生ならそれが正しい。

そうしないと自分が殺されるかも

しれないからだ…

それは仕方がない事。

もし、ここが野生の森なら僕は

迷わずこのアグレッシブウルフを

殺している…。


しかし、ここは野生ではない…

魔法学校は魔法で外敵から学園を

守る自動追撃機能があり基本的には

ルナディナお婆ちゃんとかの

例外は除いて関係者以外侵入する事は

不可能。


つまり、誰かが

このアグレッシブウルフを

学園内に意図的に入れたという事…

何の目的かは知らないが

アグレッシブウルフが学園で

見つかれば処分されるのは確実。

しかも、今この瞬間何の罪もない

女の子が危険にさらされてる。


少し腹が立って来たぞ…

アグレッシブウルフを中に入れた奴は

後で見つけて思いっきり殴るとして


僕がこの瞬間にやるべき事は…


1人と1匹の被害者を無傷で助ける事だ!




ビュンッ!!!




がしっ!!!



地面を思いっきり蹴り、

ケルミロアちゃんと

アグレッシブウルフの間に飛び入る。

右手に持った剣を離し、

アグレッシブウルフの上顎と下顎を

両手で鷲掴みする。




ぐぐぐぐっ………

ばたばたっ!!!




アグレッシブウルフは

そのまま勢いを無くし

空中で手足をジタバタさせる。


「ひゃー!助けて!!

エクルムの秘密をみんなに

言いふらした私が悪かったからー!」


ケルミロアちゃんは、

何か気になる事を言いながら

両目をつぶり、縮こまっている。

相当怖かったみたいだ。


アグレッシブウルフをなるべく

怪我をしなさそうな場所に投げる。



スタッ!



アグレッシブウルフは綺麗に着地して

僕を睨む。


僕はアグレッシブウルフを睨み返す…



「クーン……」


アグレッシブウルフは全身の力が

抜けて縮こまる。

僕との力の差を理解したみたいだ。



「あれ?食べられてない?」



ケルミロアちゃんが目を開ける。


「ケルミロアちゃん大丈夫?」


「ええ……私は大丈…………!??

ちょっとエクルム!?

あなた手が血だらけじゃない!??」


僕の両手にはアグレッシブウルフの牙で

所々穴が開いてしまった。


「大丈夫、神経はやられてないから。」


「あの狼は私に襲いかかろうと

したんじゃなくてエクルムに

襲いかかったのね……

つまり、私よりエクルムの方が

美味しいと思ったって事!?

なんかムカつくわ!!」


変な怒り方だな……。


「クーン、クーン。」


アグレッシブウルフが僕に向って鳴く。

懐かれたのかな?

自分より強い奴に懐く習性みたいだ。


「わぁっ!!狼まだ居たの!?」


「もう大丈夫だよ

僕達が怖かっただけみたいだし。

ところで僕の秘密って言ってたけど

何の事?」


「え!?あ、それは……」



「おい!ポチ!

こんなところに居たのか!?」



長髪で細身の先生が走って来た。


「ナ、ナーバムル先生!?

あなたの飼い犬だったの!?」


ケルミロアちゃんが叫ぶ。


「ああ…すまない。

自宅からの通勤中について来た

みたいなんだ……。」


「すまないじゃないわよ!

魔法の木は切り倒すし!

エクルムの手を齧っちゃったし!」


「な!?その手をポチがやったのか!?

それに魔法の木まで!?」


ナーバムル先生が

僕の手を見て膝をつく…。


「いや、僕の手は大丈夫なんで……」



「ポチがした事は、

飼い主の俺がした事も同然…

もう…俺に

教師である資格はないな…。」


「ええ!?」


アグレッシブウルフを

学園内に入れた人を

殴るとか思ってたけど

それどころじゃなくなってきた!?


これはもう僕だけの問題じゃないから

ルナディナお婆ちゃんを呼ぶか……。


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