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8話 素敵な胸板

朝日が昇る。


私はみのたん師匠の分厚い

胸板の上にうつ伏せで、

ほっぺたをくっつけた状態で

目が覚めた。

よだれが垂れて素敵な胸板が、

ベタベタだ。

変な事をしていたわけでは無く、

ただ単に私の寝相が悪くて

みのたん師匠の上に乗って

しまっただけだ。


昨日あれから

みのたん師匠に戦い方を

教えてもらっていた。

修行内容は簡単。

模擬戦、みのたんはもちろん

剣術や格闘技なんか知らない。

今まで適当に殴る蹴るして

戦って来たらしい。

なら、やる事は模擬戦しかない。


私は父からもらった剣と同じくらいの

重さの木の枝を使い。

みのたんは素手。

棒なんか使ったら間違えて殴り

殺されそう…素手でも軽く

突かれただけで瀕死になりそうだけど…。

私がもし、みのたんを

思いっきり木の枝で殴っても

みのたんのダメージは0だろう。


というわけで模擬戦の内容は

私がみのたんに攻撃を当てるまで

木の枝で殴りかかる。

みのたんは私の攻撃を全てかわし

隙があれば、あとで指摘する。

それで模擬戦やってみたら……、

みのたん…見た目に反して

めちゃくちゃ早い…

目で追う事すら困難。

もし実践なら、私は数千回死んでいる。

私はただ、ひたすらみのたんに

打ち込み続けた……。

汗だくになりながらも

何時間もただひたすら…

結局夜になるまで1発も

当てられなかった…。


そこから記憶はない。

多分寝てしまったのだろう…

汗だくで…よだれ垂らしながら……

汚ねぇ……。

みのたんが目を覚ました。

みのたんが私を見ると

焦ってわたわたし始めた。

そらそうだよな。

朝起きたら胸板の上で汗だくの奴が

大量のよだれ垂らしてたらそら

焦るよな…。


でも逆に汗だくの、みのたんが

私の胸の上でよだれ垂らしながら

寝てたらちょっと可愛いかも…

いや、潰れて死ぬよな!

ちょっと本格的に自分の性癖が

心配になって来た…。


みのたんが私を見つめたまま動かない。

あ、降りろって事だな。

私はそっと立ち上がった。


「おはよう…

あー、朝からすまん

寝相が悪くてな」


私はとりあえず謝った。


「イイヨ、ルヴィネ」


みのたんが答えた。


「あのー、今日も

稽古つけてくれるか?」


朝からいきなり言うのもアレだが

コレしか思い浮かばなかった。


「ルヴィネ…ヤリタイナラ

ナンドデモヤル」


みのたんが神様に見えるくらい

ありがたかった…


「ありがとう!みのたん!」


みのたんは私の顔を数秒見たあと

立ち上がり、横に置いてある

大量の食料を私に渡した。


「キノウ…ルヴィネ…ネタアト

トッテキタ…」


ありがとう!みの神!

でも私を甘やかさないでくれ〜!

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