73話 第1回ウルツァイト会議
第1回ウルツァイト集会議
この知らせが
届いたのは、約1ヶ月前の事だ。
俺の冒険石に連絡が入った。
このウルツァイト8位 シャラシャル、
ウルツァイトになってから
7年くらい経つが、
こんな事は初めてだ。
いや、第1回だから全員初めてか…。
そして、俺は今現在、
指定された時間に冒険者ギルドの奥の
会議室に向かっている。
この部屋に入るのも初めてだ。
部屋の中に入ったら
ウルツァイト冒険者達の
視線が俺に向けられた。
ほぼ全員初めて見る顔だ。
ウルツァイト冒険者は
基本単独行動しか取らないからな。
とりあえず俺は黙って自分の順位が
書いてある席に座った。
………………………
数分経っても誰も喋らない…
いや、喋らないではなく
喋れない空気になっている。
ほぼ全員初めて見る顔同士だろうし、
半分くらいが気難しそうな
男達だから、喋りにくい…。
まだ、2席空席がある…
1位の席と3位の席…
3位は絶滅屋のルヴィネだな。
友人のジアータの昔の仲間の娘だったな
まぁ、他人と言えば他人か。
ガチャッ
「こんちはー!」
突然ドアが開き、
凝り固まった空気の中に
愉快な口調の挨拶が鳴り響く。
「こらこら♡
ルヴィネちゃん、その体で
あんまり動いちゃダメよ♡」
2人の金髪の女が入ってきた。
2人ともそっくりだが、姉妹か?
ルヴィネと呼ばれたポニーテールの方は
お腹がぷっくり膨れ上がっている。
肥満という訳ではなく、妊娠してるようだ。
「ちょっと歩いただけじゃん
大丈夫だって。」
「まぁ、いざとなったら
私が10秒以内に医者を連れてくるから
確かに大丈夫ね♡」
と、いう事はもう片方の金髪の女が
ウルツァイト1位アミネラ?
俺より歳上のはずなんだが、
とてもそうは見えない。
見た目は22歳くらいだ…。
「かなり、大きいですわね
もうすぐ、生まれるんですか?」
ウルツァイト9位
ヒーリングの女神、
メディックが口を開いた。
年齢は20代半ばくらいの
優しそうな美女で
髪は黒いツインテール。
薄ピンク色のナース服を着ている。
彼女は、ウルツァイトの中で
唯一、ヒール系魔法を使える冒険者で
様々な地域を回り、病人や怪我人を
治しているらしいが魔法以外にも
未知の医療技術も使えるらしい。
その医療技術とヒール魔法を使っても
あの大賢者ルナディナ程ではないらしいが
ウルツァイトなら戦闘の
腕もかなり立つんだろう。
「ああ、もうすぐ生まれるぜ
2人目は男の子がいいなー。」
2人目か…確かに3年前も出産した
噂があったな…。
確かジアータの話によると
年齢は21歳…その若さで
3位まで登りつめ、
もうすぐで二児の母とは…。
「あら、2人目ですか?
私よりお若いのに羨ましいですわ。」
「えーと、確かメディックさんだっけ?
メディックさん美人だから
すぐに結婚出来そうじゃない?」
「確かに♡メディックちゃん
とても可愛らしいわ♡
きっといい人が見つかるわよ♡」
「ありがとうございますですわー。
あなた達のような綺麗な姉妹に
褒められるなんて、光栄ですわ。」
「あ、私ら親子ね。」
「え!?どうやったら
そんな若さを保てるんですか?」
「愛と魔法の力よ♡」
「羨ましいですわー!
私も早くいい人探さなきゃですわ!」
いや、あれは
愛0.5 %魔法99.5%くらいの
割合だと俺は思うが…。
と言うか、
第1回ウルツァイト会議の場が
ガールズトークの場になってしまってる…。
(1人おばさんだけど)
女子勢が喋ってしまってるから、
男達が余計に喋りにくくなった。
「普段活動する時は
お子さんの面倒は旦那さんが
見てるんですか?」
「ああ、基本祖母と夫が
面倒見てくれてるかな。」
「いい夫さんですわね〜。
私もそんな感じの優しそうな男性を
探さないと。」
それにしてももうすぐ会議が
始まる時間なんだが、
肝心の冒険者ギルドを仕切っている、
お偉いさん方が全く姿を現さない。
「お子さんの面倒を見てくれるって事は
お婆さんも、お元気なんですね〜。」
「元気どころか
私らより強いけどね〜。」
「またまた、ご冗談を……」
ガチャッ!
「おお!何とか間に合ったのじゃ!」
「良かったね!ひいお婆しゃん!」
勢いよくドアが開き、
12歳くらいの銀髪の少女が入って来た。
その頭の上にはツノの生えた
金髪の小さな女の子が
べったりくっついてる。
「き、君たち…ここには入って
来たらダメよ。」
メディックが子供達に注意をする。
「あ、ルナディナお婆ちゃんやっほー!
ほら、注意されたんだから
勝手に入ったらマズいぜ!」
ルヴィネが少女をお婆ちゃんと呼ぶ。
ど、どういう事だ?
いや、それよりもルナディナってまさか!?
「あ、お母しゃん!
ミローナね!レベル200まで倒せたよ!」
ツノの生えた女の子が
ルヴィネの頭に飛びつく。
「おお!すごいなミローナ!
もう、キャメッションと
互角に戦えるんじゃないか?」
「そうじゃな、あのデカい娘と
互角には戦えるの。」
「ルナディナお婆ちゃん、
ミローナの修行の成果を伝えに
来てくれたのは嬉しいけど、
ちょっとそろそろ出て行かないと
ヤバいって!追い出されるぜ!」
「いや、ウルツァイトに
召集かけたの妾じゃよ?」
「え?」
ルヴィネだけでなく
周りのウルツァイト達も全員
唖然とした顔のままフリーズした。
唯一1位のアミネラだけは
知ってました的な顔をしている。
「ちなみに、
冒険者ギルド作ったのも妾じゃよ。
何年かほっといたがの。」
「え!?」
またまたすごい事を
カミングアウトされた。
「ちょっと待って!
ルナディナお婆ちゃんって事は……」
ルヴィネが話してる途中で
お腹を押さえてうずくまる…。
「痛たたたたたぁ!!
う、産まれる!!?」
「大変!お医者さんを
呼ばなくちゃ!♡」
「ちょうど良かったですわ!
私が診ます!今まで何度か
出産を手伝った事はありましたわ!」
「じゃあ、お願いするわ!♡
メディックちゃん!♡」
「皆さん!今からルヴィネさんを
運ぶのを手伝ってくださいですわ!」
まさか、ウルツァイト会議に来て
妊婦を運ぶはめになるとは…。




