72話 見た目は老人、中身は…
ドンッ!ドンッ!……バキッ!
「ひいお婆しゃん!
今、レベル200行ってるよー!」
村の近くの林で
ひ孫のミローナをアミネラの
ダークネス・アンノウンドールで
修行させている。
「ほー、3歳でレベル200は
そこそこすごいの〜。」
孫夫婦の家でかれこれ
3年間世話になってやってるのじゃ。
義孫は相変わらず気がきくし、
ミローナもすくすく成長して
(主に戦闘力が、)
何もかも順調なのじゃ。
「もうすぐで4歳だょ!」
「あ、じゃあ普通じゃな。」
バキッ! ドッゴンッ!!
「ふげぇっ!」
ミローナがよそ見をして
ダークネス・アンノウンドールに
ぶん殴られて、数m吹っ飛び
木に頭から突っ込んで刺さった。
丈夫じゃから大丈夫じゃろう。
「むぐぐ!む!むぐ!!」
ミローナの頭が木にめり込んでいるから
呼吸が出来ぬらしい…。
「何やっとるんじゃ、ミローナ
木を殴り倒せばよかろう。」
「むぐぐ!むぐぐぐ!!」
………………………
「仕方がないの〜。」
すぽんっ!
ミローナの足を
持って、引き抜いてやる。
「何故、木を殴り倒さなかった?」
妾はミローナの頭についた木の破片を
取りながら質問した。
「だって、殴ったら木が痛いょ!」
「木が傷つくのを気にしておったのか?
そんなの妾が治してやるじゃろ?」
「後で治してもらえても
痛いのは一緒だょ!」
「それでおぬしが窒息してどうする?」
「ひいお婆しゃん、ちっそくって何?」
「いや、もういい…。」
まぁ、言葉を知らないのは
まだ、幼子じゃから仕方がないのじゃ。
ガサッガサッガサッ
村とは反対側から足音が聞こえる。
「おい、この村に居る
ルヴィネって奴を知らないか?」
肌黒い男が話しかけて来たのじゃ…
見たところ魔法使いじゃが小物じゃな…
あのキャメミールとか言う
デカい娘の強さが100としたら、
こやつは0.4くらいじゃ。
「お母さんに何か用でちゅか?」
ミローナが男の問いに答える。
「ほぅ…貴様ら、あの女の娘か…
それなら都合がいい!
貴様らを人質にすれば
あの女を楽にブッ殺せる!」
ああ、こやつはルヴィネの事を
憎んでおるのか?
まぁ、わからんでもないかの…
あやつ…空気が読めんしの…
妾でさえ、会うたびに
ウザったらしいと感じるのじゃ…。
ガシッ!
男がミローナに掴みかかり、
持ち上げようとする。
ググググ……
ミローナは男が持ち上げようとしても
ビクともしない。
「何だこのガキ!?
何て重さなんだ!?」
ミローナが重いわけではない…
ミローナが足の指で地面の木の根っこを
掴んでいるから動かないんじゃ。
「ミローナ、そいつ
殴り倒しても良いぞ。」
「やだ!殴ったらこの人が
痛くなるもん!」
「な、何言ってやがる!
俺を倒すだと!?
出来るもんならやってみ…」
バキャンッ!
ミローナの代わりに妾が
ぶん殴ってやり、男は顔面を
骨折して気絶する。
それにしても、ミローナは人や植物でさえ
傷つけるのをためらうの…
いくら成長速度が早くても、
そこは減点じゃ。
「わぁ…ひいおばあしゃん…
今の、ものすごく痛そうだったよ!」
「安心しろ、すぐに治してやる。
ミローナは、ちょっと
あっちを見ておれ。」
「はーい。」
ミローナが、目をそらせたら
男の頭に手を突っ込み、
タイム・ア・ルーラを発動する。
すぐに治療完了じゃ。
ただし、今回は時間を
戻したわけではないがの。
「ふがっ…くっ………ふっが。」
時間を進めて怪我を治したのじゃ。
60年くらい進めたから爺さんに
なってしまったがの。
頭の中は現在のままに調整した。
見た目は老人、中身はアラサーって
やつじゃ。
余生を無駄に使うでないぞ?
特に妾達に手を出そうとするなぞ、
論外じゃ。
男はプルプル震えながら
老体で逃げて行った。
老人になるとすぐに物忘れを
するのじゃ…ルヴィネへの恨みも
すぐ忘れるじゃろう…。
……………物忘れ?
あっ!確か、今日、町のギルドに
用事があったんじゃ!
すっかり忘れておった!
「すまぬミローナ!
妾は町に用事があるから
今日の修行はここまでじゃ!」
「ひいおばあしゃん町に行くの?
ミローナも町に行ってみたい!」
うーん…まぁいいかの。
「じゃあ、今から走って行くからの!
遅れるでないぞ!ミローナ!」
「はーい!」




