7話 ミノタウロスという魔物では無く
ルヴィネと生活し始めてから1週間、
僕は人間の言葉を
一応会話出来るくらいに覚えた。
まだルヴィネ以外の人間と
会話した事ないけど…。
本当にルヴィネには感謝しても
しきれないくらい感謝している。
ルヴィネに会わなければ
前のまま退屈な
日々が続いていた事だろう…
せめてものお礼として
食料を取ってきたり、
身の回りの世話をしたりした 。
何故かルヴィネが川の水で
身体を洗うのを手伝おうとした時だけは、
断固拒否された。
人間は自分の身体を他人に
見せるのに抵抗があるようだ。
だが、それはルヴィネが
僕の事を
ミノタウロスという魔物では無く、
他の人間と同じ様に見てくれてると
思うと、ものすごく嬉しい。
それに名前まで付けてくれた。
「みのたん」
なんだか間抜けな気がするが
ルヴィネに付けてもらった
大切な名前なんだから
気に入らないはずがない。
「みのたん!焚き火の
枝持ってきてくれ!」
ルヴィネが言った。
「ワカッタ」
僕はそう答え
急いで焚き火の枝を
集めに行った。
急ぐ理由は、
少しでもルヴィネと離れたくないから。
出来ればルヴィネと
ずっと一緒に居たい。
だが、ルヴィネの役に立てるなら
何だってしたい。
いや、しなくちゃ僕の気が収まらない。
僕は夢中でちょうどいいサイズの枝を
ちょうどいい本数集めて
急いでルヴィネの元に戻る。
その時ふと思った…
ルヴィネは何でこんな森に
1週間も僕と一緒にいるんだ?
人間は集団で行動する生き物。
仲間からはぐれて迷っているのか?
それなら必死で仲間を探すはず…。
ずっとこの森で1人で暮してたとは
考えにくい。
ルヴィネが身につけている
鎧はまるで新品の様だし
明らかに人間が作った物。
素材もこの森で手に入るとは
考えにくい。
なら何でルヴィネは
仲間の元に帰らずにこんな森に
いるのだろうか?
そんな事を考えながら
ルヴィネの元に戻った…。
「みのたん!みのたん!
みのたんってかなり強いよな!」
突然、ルヴィネが目をキラキラさせながら
僕に質問して来た。
強いとは何を基準にして
強いのだろうか?
ルヴィネよりも?この森の魔物よりも?
確かに戦って負けた事はない。
だが、僕より強い魔物なんか
世界中探したらいっぱい居るだろう。
この世には僕の知らない事が
いっぱいある。
人間の事に、ルヴィネの事…。
とりあえず僕が今確実に
知っている範囲で答えた。
「コノ、モリ…マモノヨリハ…」
「じゃあ、私に戦い方教えてくれ!」
ルヴィネは僕の手を小さな手で
元気よく掴みながらそう言った。
「ワカッタ…」
僕はそう答えるので精一杯だった。
頭の中には1つの単語しかなかった。
可愛い……




