57話 治療完了
「30話 未来」の続きです。
走って洞窟まで向かう。
洞窟に先に着いた。
あのミノタウロスは
まだ来てないみたいじゃ。
もし感づかれて、
抵抗された時に備えてトラップを作る。
洞窟の入り口付近の地面を手で触り
タイム・ア・ルーラを自動設定しておく。
「この地面を150kg以上の
物が2回踏んだら
地面の時間を1万5千年進めろ。」
洞窟の中なら第三者に
見つかる可能性は極めて少ない。
もし、洞窟から出ても
このトラップで動けなくする。
あとはミノタウロスが来るまで
洞窟の中で待っているだけじゃ。
………………………
ドシンッ…ドシンッ…
やっと来た。
「そなたが、みのたんとやらか?」
「あ、うん、僕はみのたんだけど
どうして僕の名前を知ってるんだい?」
…………………
「まぁ、そんなことはどうでも良い
すぐに終わるからの。
ほんの少し痛いだけじゃ。」
ミノタウロスにゆっくり近づく…。
「そ、それ以上近づくな!!」
もう、感づいたか…。
「ほぅ、警戒心が強いの
その点はあやつより上か。
しかし困ったな…
大人しくしてもらいたいんじゃが…。
仕方がないの…。」
洞窟の壁に手をつけて
時間を500年前に巻き戻す。
この辺は500年前、
一時的に氷河期になった。
洞窟内の温度が下がり、
氷柱が洞窟内を埋め尽くして
ミノタウロスの動きを封じる為じゃ。
幾ら氷柱が生えても妾は自由に動ける。
氷柱に体が触れた瞬間、
時間を暖かい時期に戻して
一瞬にして溶かせるからの。
ミノタウロスは走って洞窟の外に出た。
妾の予想通りに動いてくれるの…
ガッカリじゃ……。
ゴゴゴゴゴッ!!!
ミノタウロスが足をつけた地面が
膨れ上がり30mくらいの高さになる。
1万5千年後の地層じゃ。
「な、何だこれ!? あの少女は
水属性の魔法使いじゃないのか!?」
このミノタウロス、勘違いしておるの。
「誰が水属性だと言った?」
ヒュゥゥゥンッ!!!
膨れ上がった地面を元に戻した。
ミノタウロスは30mの高さから
真っ逆さまに落ちる。
グチャッ!!
落下の衝撃で
ミノタウロスの全身の骨が砕ける。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
思ってたより弱いの…
まぁ、どんなに強くても
妾のタイム・ア・ルーラに勝てる者は
バリア内には居ないじゃろうがの…。
人が来る前にささっとこやつを治そう。
まずはミノタウロスの体に触れて
全身を3年前に戻す。
そして頭に腕を差し込み……
「おーい!みのたーん!」
マズい!誰か来た!??
一旦近くにあった木の陰に隠れる。
……………。
「おい!みのたん!
起きろ!みのたん!」
何だあの長髪のイカした少年は!?
そやつを起こすでない!!
「みのたん!起きろ!」
ドカッ!
イカした長髪の少年は
ミノタウロスを蹴った。
「だ、誰?」
チッ!起きてしまったではないか…。
「お前!何寝ぼけてんだよ!
このハーハゲ様の事忘れたのか?」
ハーハゲと言うのか…
腹が立つから後で
嫌がらせでもしてやるかの…。
「マロニムさんがカンカンに
怒ってたぜ!早く村に戻れ!」
あの臭い玉なし男の事か…。
「あ!そうだ!
山賊は!山賊はどこ!?」
「まだ寝ぼけてやがるのか?」
「僕は、夢を見ていたのか……?」
「ああ、そうみたいだな!早く村に戻れ!」
ミノタウロスとハーハゲと言う
少年は村に向かった。マズいのじゃ…
ミノタウロスの記憶は3年前に戻ってる…。
村に戻られては人目が多くてやりにくい…。
今ここでハーハゲと言う少年を
潰してから後で治してもいいが
もしかしたら他にも
ガキが居るかも知れぬ……。
迂闊じゃった…
ここ数100年失敗していなかったから
うっかり油断してしまっていたのじゃ…
もっと慎重に確実に治さなくては…。
とりあえず、村に先回りしなくては…
確か村の中にあったデカい家が
孫とあのミノタウロスの家じゃったな…
3年分の記憶がないんじゃ
2歳くらいの子供に化けて近づくのが
1番成功率が高いかの… 。
なるべく自分の年齢は
変えたくないんじゃが…
記憶を維持するために自分で自分の
頭の中に手を突っ込まなくては
いけないんじゃから…。
村に先回りして、
誰にも見られないように
孫の家の裏から壁をぶち壊し
中に入り、壁を治す。
家の中は天井が高いのと
ミノタウロス用の巨大なイスが
ある事以外は、
一般的な家庭の内装じゃ。
あ、孫にお土産があるんじゃった。
ドラゴン・ヘルから持って来た。
ドラゴンの卵を食べると
精力がつくんじゃ。
適当に机の上にでも置いておくかの。
ガチャッ……。
もう帰ってきたみたいじゃ
もちろん外見も2歳くらいの
ちょーぷりてぃーにしたから準備万端じゃ。
「びぇぇぇぇ!びぇぇぇぇ!」
し、しまったのじゃ!
ひ孫のミローナの
存在を忘れていたのじゃ!
例え、赤子でも万が一がある!
赤子が見てないところで治療しなくては!
………………
あのミノタウロスは赤子のあやし方が
わからなくてあたふたしているの…。
ああ、見てられんの!!
妾が寝かしつけてやる!!
「お父さん…ミローナが、
お腹減ってるよ」
妾は出来る限りぷりてぃーな幼女を
演じながらミノタウロスに近づくが
なかなか上手く行かんの…
クールなミステリアス幼女に
なってしまうのじゃ…
ミノタウロスも妾のクールさに
困惑してるようじゃ…。
「お父さん、ミローナの面倒は
私が見るから休んどいて。」
まさか、こんな年下の魔物を
お父さんと呼ぶ日が来るなんての…。
「いや、大丈夫だよ!
ミローナの面倒は僕が見るから!」
「でも、お父さんやり方
わからないでしょ?」
「……お願いします…」
妾が余りにもクール幼女すぎて
敬語を使われたではないか……。
しかし、コレで妾の子守りてくにっくを
使いミローナを眠らせれば
こやつの治療が安全に出来るのじゃ。
「ミローナ…ねんね。」
ミローナは、あっさり寝た
将来は素直な性格になりそうじゃ。
素直になりすぎたら戦闘に
支障が出て困るがの…。
「す、すごいね…
子守慣れてるんだね…」
1万年以上の経験値の賜物じゃ。
「うん…これで邪魔が居なくなった。
お父さん、甘えていい?」
ミノタウロスが少しデレっとした顔で
抱っこ受け入れ体勢に入る。
このミノタウロスめ、
ぷりてぃーな妾にめろめろじゃな。
これならすぐに治療出来るの…
それでも念のために足に抱きついとく。
バンッ!
「みのたん!さっき寝ぼけてて、
心配だから手伝いに来たぜ!」
さ、さっきのハーハゲとか言う少年か!
2度も邪魔しよって!!許さん!
「ん?その子誰だ?」
ビュンッ!バキャッ!!
どうじゃ!
これが妾の怒りの跳び蹴りじゃ!
2歳児の体で威力は激減してるが
ハーハゲと言う少年の
顔面の皮が飛び散り、目玉が飛び出る。
「ハ、ハーハゲ!?」
少年を家の中に引きずり込み、
ドアを閉める。
「あ、足が動かない!?
それに死体が
腐ったような匂いがする!?」
グジュうぅ!!
ミノタウロスの足はさっき妾の
タイム・ア・ルーラで腐らせておいた。
「なんだこれ!?
僕の足が原型をとどめてないくらい
グチャグチャに腐ってる!?」
今頃気がついたか…。
もう遅いがの、
ゆっくり治療の続きをしてやるのじゃ。
すたっ…すたっ……
ミノタウロスに
近づいて右手を左目に刺す。
グサッ!
「う、うぁぁぁぁ!!!」
はぁ…歯医者で騒ぐガキのように
うるさい奴じゃな…。




