35話 キャメッション
あ、あれ?
確か昨日みのたんの馬小屋で
感動の再会をしてから即行
みのたんクッションで
お昼寝したまでは、覚えてる…。
何で私は自分の家で
キャメミールクッション略して
キャメッションに抱きついて寝てたんだ?
しかも朝になってる…。
キャメッションはまだ熟睡している。
ついでにお母さんもキャメッションに
抱きつきながら寝ていて…
エクルム君は夜泣きはしなかったのか
すやすや寝ている。
あ、せっかく村に居るんだから
朝一でみのたんの牛メンな寝顔を
眺めに行こうじゃないか!
というわけで牧場に出発!
ぐちゃっ!!
「ぐふぅっ!!」
立ち上がって数歩、歩いたら
何かを踏んでしまった。
なんか嫌な感触だな…
そ〜っと踏んだ物を確認する。
……………。
なんだ〜お父さんのアレか。
びっくりした〜
ものすごく小さかったから
小動物か何かを
踏み潰したのかと思った。
お父さんは痙攣して、泡を吐いてるけど
まぁ、床で寝てる
お父さんが悪いからね!
猫を去勢したら大人しくなるけど、
お父さんも大人しくなって
みのたんを受け入れて
くれたらいいのになー。
お父さんをそのまま放置して
牧場の馬小屋に向かった。
みのたんの寝顔〜♪
「やぁ、ルヴィネ!おはよう!」
な、何ぃー!?
私より早起きだってぇ!?
しかも達人の様な手つきで
仰向けの体勢で
編み物をしているだってぇ!?
「お、おはよう…みのたん。」
「あれ?元気がないね?
あんまり無理しちゃダメだよ。」
朝から気を使ってくれる…
最高に紳士な野郎だぜ!
「ルヴィネが来ると思って
シチューを作っておいたんだ。
あとセーターとマフラーに
ワンピースとか50着くらい
作っちゃったんだけど
受け取ってくれるかな?
サイズが合うといいけど…。」
間違えた、最高のオカンだぜ…。
「あ、ありがたいけど
みのたんこそ無理するなよ!
さっきレムタスさんから
聞いたけど、山賊と戦った怪我で
3日も寝てたらしいじゃないか!」
「心配かけてごめんね…
ルヴィネが帰ってきて
嬉しくてつい、
いろいろしちゃうんだ。」
な、なんて可愛いやつなんだぁ!!
そしてシチューが美味い!
毎日こんな美味いシチューを
食べてしまったら
みのたん無しでは生きていけない
体になってしまう!
決して変な意味じゃないよ!!
でも、みのたんに
あんまり無理はして欲しくないな。
「安心しろよ、私はしばらく
みのたんから離れないから
怪我が治ったら一緒に
いろんな事しような!」
「ありがとう…ルヴィネ。」
私はそのまま、みのたんに
もたれかかる。
……………。
あ、なんか冒険石に
音声メッセージが届いてる。
冒険石は他の冒険者同士で
メッセージのやり取りは出来ないが、
パートナーとの通信か
ギルドからの個人的なお知らせは、
受け取る事が出来る。
「おはようございます。
ルヴィネ様に個人依頼が
届いています。」
個人依頼!?
確か、依頼主の要望した冒険者に
個人的な依頼をする事だったはず…
何で私なんだ?
ちょっと前まで駆け出しで
一気に順位を上げたけども
個人依頼を頼まれるほど
信頼されるとは思わない…
「内容は、ドラゴン・ヘルに向かった
大賢者ルナディナを
連れて来てほしい。」
大賢者ルナディナ?誰?
「依頼主、冒険者ランキング1位
ウルツァイト
アーネラ。」
わけがわからない…
何でウルツァイトが私に依頼?
しかも1位って…
自分で行ったら確実じゃない?
「依頼主のアーネラさまから
伝言があります。」
……………伝言サービスまであるのか。
「自分の大切な人は
自分で守るのよ♡
……………以上です。」
どっかで聞いた事ある
声のような気が……
まぁ、そこはどうでもいいか。
どういう事だろう?
自分の大切な人…みのたんの事?
何で1位の人が知っているのか?
それとも依頼を
強要する為の適当な、脅しなのか?
ヒントが少なすぎるから
考えても無駄だな…。
今、考えるべき事は0.01%でも
みのたんが危険な目にあう可能性が
低い選択肢を選ぶ事だ…。
今回みのたんが怪我をしているのは
私がすぐ近くに居なかったから…
2人なら山賊なんて無傷で
倒せただろう…。
でも逆にこの依頼を受けなかったら
1位の人に恨まれて、みのたんが
巻き込まれたり
もしかしたら、本当にみのたんの
命がかかっている
依頼の可能性も0%では無い…。
私はどうしたらいいんだろう……。
「ルヴィネ…僕は大丈夫だから、
行ってきなよ。」
………………………。
出来る事なら、しばらく依頼は
受けたくなかった…貯金もあるし、
でも、みのたんは私に気を使って
依頼を受けて来いって言ってる。
私の足を引っ張りたくないからとでも
思ってるんだろう…
全然そんな事は無いのに…。
「ごめんな…言ったそばから
離れる事になって…
なるべく早く帰ってくる…。」
私は、みのたんの頬っぺたに
軽くキスをして、走って馬小屋を出た。
私に個人依頼を出した理由が
しょうもない事だったら
1位だろうが何だろうが、ぶっ倒す!
ガチャッ
「キャメミール!新しい依頼だ!」
家のドアを開けたらまだ、
みんな寝ていた。
私は真っ直ぐキャメミールに近づく
途中でお父さんのアレをまた踏んで
血が吹き出たが、
そんな事どうでもいい…。
「ほら!起きろ!キャメミール!
新しい依頼が来た!」
キャメミールにまだ抱きついていた
お母さんを引っぺがす。
「むにゃむにゃ…アゴは…
アゴだけはご勘弁してくださ〜い。」
寝ぼけているキャメミールの
アゴを掴む。
「え?え?ちょっと!ルヴィネ!
アゴだけはマジでやめて!?
ちょっと!ちょっと!何!?」
「新しい依頼だぜ。」
「えー、しばらく依頼受けないんじゃ
なかったの?」
「私も受けたくなかったから
すぐに終わらせて帰る。」
「は、はぁー。」
「じゃあ、今から
冒険者ギルドに行くぜ
私がおぶるから乗ってくれ。」
「ちょっと待って!
まだ髪も整えてないし
おぶられるのも、ちょっと…。」
「じゃあ、ダッシュな。」
「わ、わかったわよ!
乗ればいいんでしょ。」
キャメミールをおんぶして
そのままダッシュで町に向かう…。
………………………。
「行ってらっしゃい♡
ルヴィネちゃん♡
依頼、頑張るのよ♡」




