24話 ワンコ狩り
ナーバムルさん達と
「はじめてのいらい」に行くぞー!
普通の山だなー!
わー!魔物がいっぱい出てきたぞー!
なんか幻っぽいやつに攻撃されて
崖からすってんころりん!
わー!大変!
というわけで今私は崖から落下中でーす!
死ぬ死ぬ死ぬ!これ死ぬって!
まぁ、出来る限り最後まで
死なないように、努力するけど…。
私は崖に剣を突き刺し
減速しながら落下した。
ガリガリガリガリガリガリガリ
ガリガリガリガリッ!!!
剣刃こぼれしそうだなー
やっと地面が見えてきた。
私は、崖に突き立ててる剣を
引き抜き、足から地面に接触して
衝撃を逃すように、転がった。
体勢を立て直したら、すぐさま
ジャンプする。
ワンテンポ置いて、
私のいた地面にワンコが攻撃をした。
わー!ワンコがいっぱいいるー!
これだけ聞いたら、
みんなはチワワのような可愛らしい
ワンコをイメージするだろう?
しかし、私の目の前にいるワンコは
1匹1匹、2m以上…。
上にいたワンコ達は
もう一回り小さかったんだが…
さらに、数は数万匹…
森の中なのに灰色のもふもふしか
視界に映らない。
しかも顔がイカツイ……。
その内の50匹くらいが、
同時攻撃してきた。
みんなアグレッシブだな…。
スパパパパパパッ!
必殺!剣撃ラッシュ!
「剣を振り回すだけ」
襲ってきたワンコ達がミンチになった。
あれ?こいつらそんな強くないな?
ピンチかと思ったら
普通に剣振り回してたら、大丈夫そう。
このまま、襲ってくるワンコを
倒しながら、ナーバムルさん達を
探して合流するかー
飯はワンコ食えばいいし。
「ナーバムルさーん!
フォマムー!
アゴスマートー!
ニートー!」
一応パーティー仲間全員の名前を
叫んでみるが、返事がない……。
聞こえるのはワンコ達の断末魔と、
剣を振り回す音だけ……。
真っ暗になってきたら
さらにワンコの数が増えた。
もうそろそろ1万匹は、斬ったかな?
それでも、ワンコ達の攻撃は
止まらない。
いつもは、そろそろ寝てる時間
なんだけど寝たら…
ワンコに食い殺されるな…。
雪山でよくある
「寝るな!寝たら死ぬぞ!」
みたいな感じ?
多分…このくらいなら10日くらい
斬り続けても大丈夫だとは思うけど
純心な乙女を夜更かしさせるなんて
なかなかのワンコ達だぜ。
もっとも食われているのは
ワンコ達の方だが「物理的に」もぐもぐ。
やっぱり焼いた方が美味しいけど
さすがに焼く隙はないな…。
そのまま一晩中山を散策しながら
ワンコ達の相手をしていたら朝になった。
朝になっちゃった…ナーバムルさん達
私の事置いて、町に帰ったりしてないよね?
一晩中迷子とか犬のおまわりさんも
困ってしまって、わんわんわわん…。
あれ?そういえば、ワンコ達が
襲って来ないな?
辺りを見回してみると…
昨日まで山の景色1面灰色のもふもふ
だったのに、
1面真っ赤に染まってる…。
あれ?もう、紅葉の時期だっけ?
いやいや、マジか…。
何も考えずに襲ってきたワンコ達を
斬りまくっていたら、
ワンコ達全滅してた…。
しばらく山を歩いていも、
ワンコの死体しか無かった…
他の魔物も居るみたいだけど
私を見たらすぐに、逃げてしまう…。
もしかして、私?
ワンコ絶滅させちゃった?
…いや、だってこの前まで
駆け出し冒険者だったんだよ?
加減とかわからないよな?
「ワオォォォォォォォン!!!」
お?ワンコまだいる!
よかった!
もともとワンコ狩りに来たんだから、
鳴き声がした方向に行ったら
ナーバムルさん達と合流出来るかも!
急いで鳴き声がした方向に走った。
「ちくしょう!ちくしょう!
ごんなどごろでぇ!!
じねるがぁ!じんでたまるがぁぁ!」
ヤバ!?
ナーバムルさんがデカいワンコに
噛まれてる!?あれ死ぬって!
スパッ!
…ボトッ……。
私は全速力でデカいワンコに
突っ込みながら
剣でアゴを斬り落とす。
「………な…なんだぁ…?
がはぁっ!」
ナーバムルさんが地面に落ちて
血を吐きながら言った。
早く回復ポーション飲ませないと
死にそうだ。
「今、助けるからな!」
私は急いで、ナーバムルさんに駆け寄る。
フォマム達は、無傷のようだ。
多分ナーバムルさんが、
3人を守って、やられたんだろう…。
私は自分の回復ポーションを
腰から取り出しナーバムルさんに飲ませる。
ナーバムルさんのポーションは
デカいワンコに噛まれて
粉々になって飲めない…。
ナーバムルさんにポーションを
飲ませていたら
デカいワンコが襲いかかってきた。
さっきは、不意打ちで
アゴを斬り落とせたけど…
ナーバムルさんをこんな姿にした奴だ…
戦って勝てる気がしない…。
だが、やるしかない!
避けたらナーバムルさんが
やられてしまう!
ナーバムルさんを抱えて回避も
出来なくないけど、
今の状態のナーバムルさんを
動かしたら死にそうだ!
このデカいワンコと真っ向勝負
するしかない!
「ルヴィネちゃん!そんな奴置いて
逃げろ!」
フォマムが叫ぶ。
デカいワンコが前足で
踏み潰し攻撃をして来た!
大丈夫!ちゃんと見える!
私は体を反時計回りに回転させながら
横向きに、剣で斬りつける。
シュッ!!
ブシャァ!
デカいワンコの両前足を綺麗に斬り落とす。
そのまま回転の勢いを殺さず
左足で後ろ回し蹴りを
デカいワンコの横っ腹にぶち込む!
デカいワンコはそのまま
20m程ぶっ飛んで、
ぶっ飛んだ先にあった
巨大な岩にぶつかり止まる。
フォマム達3人が私を見て
口を開けたまま、フリーズしている。
偶然上手く行ったが
私が来る前に、ナーバムルさんとの
戦いでかなり弱っていたんだろう…。
「オノレェェ!!
ワガコタチノカタキィィ!!
ウタズシテ…クタバレナイィ!!」
デカいワンコが喋った。
アゴも両前脚も失い
肋骨の骨もへし折れているだろう…
全身から血を流しながら
私を怒りの目で睨みつけている。
「この山にいたワンコ達は、全部
お前の仲間だよな…。
私がもし、お前の立場なら
今のお前と
同じ目をするだろうな …。」
「キサマァヲ!コロス!」
「ああ、そうだ死んでも
そう言って仇を取るだろな…
最後の最後まで全力でな…
だから……。」
デカいワンコが最後の力を振り絞って
残った後ろ足の力だけで
突っ込んで来た。
「私もお前がくたばるまで!
全力でお前をぶった斬る!」
私は剣を上段に構え
向かってきた、デカいワンコを
頭から真っ二つにぶった斬った…。
ズブシャァァァッ!
ドンッ……。
真っ二つになったデカいワンコは
血を大量に噴き出しながら
ゆっくりと地面に倒れた…。
……………しばらく静寂が続く…。
デカいワンコに敬意を払う為に言ったが
かなり厨二なセリフで
ちょっと恥ずかしくなって来た…。
「す、凄いちん!!
ルヴィネちん!」
「あ、ああ…驚いたぜ…。
しかし、なんであんなデカいのが
出たんだ?」
デブーチ君とフォマムが言った…。
「原因は、この男だ。」
ニートルさんがナーバムルさんを
指差しながら言った
ニートルさんの声、初めて聞いた…。
「アグレッシブウルフは
蟻や蜂のように女王が居いる
この山は、アグレッシブウルフの
巣のような物だ。
他の魔物も居るが
ほぼアグレッシブウルフの
縄張りだからな。
その巨大なアグレッシブウルフは
女王で山の奥に篭って
毎日子供を産んでいたんだ。
女王は数百年生きれるから、
人間の言葉を喋れても不思議じゃない。」
ほうほう、それであんなに
いっぱいワンコがいたのか…。
「何でナーバムルさんが
原因なんだ?」
私はニートルさんに質問した。
「この男は、ルヴィネ…お前を殺そうと
して、崖から落とした…。
そして、お前はアグレッシブウルフの
縄張りのど真ん中に放り出され
お前はアグレッシブウルフを
ほぼ全滅させた。
それで女王が異常を感じ駆けつけた。」
「ちょっと待った!ナーバムルさんが
私を殺そうとしてた?
ニートルさん、そんな冗談言ったら…
座布団没収されるぜ?」
「大丈夫だ、座布団の予備は
いくらでもある。
俺は痔なんだ
しかもかなり重度の…。」
ドーナツ型の奴を何個か携帯してるようだ。
軽いジョークを天然ボケで返された…。
「話を戻そう。
昨日の魔物が多いゾーンで
後ろからお前を攻撃したのは
この男の分身だ。
この男は、お前に順位を抜かされ、
称号が無くなるまでに
お前を殺そうとした結果、
このザマだ、自業自得って奴だな。」
「この野郎!
だからあの時、ルヴィネちゃんを
置いて行ったんだな!」
フォマムがナーバムルさんに
殴りかかろうとしたが、
ニートルさんが止めた。
「こいつをどうするかは
ルヴィネ、お前が決める事だ。」
「え?あー…別に私は、
特に何をする気もないんだけど…
とりあえず、大怪我してんだから
早く町に戻ろうぜ…。」
「ルヴィネちゃん!
本当にいいのかよ!
そいつは、ルヴィネちゃんを殺そうと
したんだぜ!」
フォマムが怒鳴った。
よっぽどナーバムルさんに
腹が立っていたんだろう。
「別に生きてるからいいよ。」
「え?」
フォマムが唖然とした。
「ほら、私は無傷だぜ!
返り血まみれだけど。」
私は両手を広げて、フォマムに言った
フォマムは、呆れたような顔をした。
「ところで女王ワンコが死んだら
ワンコ達はどうなるんだ?」
「山の奥で女王を守っていた数匹と
ここに数匹だけ生き残った奴の中で
1番強い奴が、新しい女王になる。」
「じゃあ、絶滅したりはしないんだな?」
「絶滅はしないが
おそらく、絶滅危惧種には
なっただろう。」
「……………。」
やっちまったな……。
そのあと、依頼達成の印として
アグレッシブウルフの
右犬歯を100本回収して、
町の冒険者ギルドに帰った。
アグレッシブウルフは数が多くなりすぎると
山から下りて人を襲ったりするから
数を調節する為に、討伐依頼があったわけで
私が絶滅危惧種にしちゃったから
アグレッシブウルフ討伐の依頼は
ギルドの依頼項目からなくなった…。
ナーバムルさんは一命を取り留めたが
回復ポーションの治癒力では
無くなった左手と複雑な脊髄の
神経までは治せない…。
下半身が動かない為
冒険者活動は、出来なくなり
冒険者を引退した。
ナーバムルさんは、ただただ泣いていた…。
その日の夜に、宿の部屋で
ぬいぐるみのたんを抱きしめながら
ぼーっとしてたら
コンッコンッ
ノックが聞こえた。
「どうぞ」
私はぬいぐるみのたんを
手放してドアの方を見た。
ガチャッ…
ニートルさんが部屋の中に入って来た。
「ルヴィネ…俺はお前を気に入った。」
「え?ああ…ごめんなさい…
私彼氏いるから。」
「ち、違う…リアルなフリ方するな!
そういう意味じゃない…。
てか、ぬいぐるみとイチャイチャ
してるヤバい奴のくせに、
彼氏いるのか?
ぬいぐるみが彼氏とか言うなよ。」
「ちゃ、ちゃんと故郷の村に
彼氏置いてきたからな!?」
「お前パートナーの魔法使いは
まだ居ないんだよな?」
ああ…ナーバムルさんが引退したから、
代わりの人を探してるのかー。
「どの系統の人選んだらいいか
わからないから
募集してなかったけど
確かにニートルさんの魔法は
強そうだから大歓迎だぜ!」
「違う、俺の妹と組んでほしい。」
「……………へ?」




