20話 ぬいぐるみのたん
ナーバムルさんが仲間に
なりたそうな目をして、
こちらを見ている。
仲間にしますか?
▷はい。
▷いいえ。
「どうする?リーダー?」
私はフォマムの方に視線を向ける。
「いや、リーダーは俺じゃなくて、
デブーチなんだが…」
マジか…。
「ぼくちんは、賛成だちん!
ダイヤモンドが2人もいるなんて
心強いちん!」
「じゃあ、ナーバムルさんに
入ってもらうかー」
「ぼくちん、人見知りちんから
ルヴィネちんが、
返事してくれないかちん?」
このヘタレヤロー……。
「ナーバムルさん、
リーダーがOKだってさ
ところで何で私らのパーティーに
入りたいんだ?」
「お、お前は筋がいいから
俺が戦い方を教えてやる為にだ」
……………………。
うーん私には、みのたん師匠が
居るんだが……。
まぁ、首の鍛え方とか教えて
もらえるならいいかー。
人体の弱点の一部を克服できるし
どんな鍛え方なのか、興味がある。
ナーバムルさんをパーティーに入れてから
フォマムとデブーチ達と
昼飯を食いに行く事になった。
パーティーの信頼関係を築く為にだとさ。
ナーバムルさんは、試験官の
依頼がまだ、続いているから
そのままギルド内に残った。
また、明日の朝にギルド内に
集まって依頼を探す予定だ。
私的には、今すぐ依頼を受けて、
稼ぎたいが、パーティー仲間との
付き合いは必要な事だ。
それに、町で外食した事は、
無いから、少し楽しみでもある。
金は、親から1ヶ月分の宿代と
食費をちょっと多めに貰っている。
多少遊んでも大丈夫だろう。
しばらく3人で町の中を歩いていると
少し気になる店があったから
一瞬立ち止まりそうになったが
あとで見よう。
2人のオススメのレストランに付いた。
2人の見た目に合わず、
かなり可愛いレストランだ。
私に気を使ったのか
それとも2人の趣味か
おそらく前者だろう。
「ルヴィネちゃん俺達が
奢ってあげるよ」
フォマムが言った。
「いや、いいって私結構食うからさ」
「大丈夫、大丈夫奢ってあげるよ」
村でも町でも男は、カッコつけたがる
もんなんだな…。
店に入り
席に着いてから
メニュー表を見てみる
うん…メニューもめっちゃ可愛い。
よくわからない名前の
メニューばっかりだ…。
「ご注文は、お決まりでしょうか?」
可愛いらしい服を着た
店員のお姉さんが聞いてきた。
あまりにも可愛いからつい、
あなたをお持ち帰りで!
と言いたくなったが、グッとこらえた。
「俺は、いちごパフェで」
「ぼくちんは、
キャラメルホットケーキで」
え?こいつら、なんてオシャレな
もん注文してんだ……。
いや、2人に流れるな…
私はガッツリ昼飯を食いたいんだ!
スイーツを食べに来たわけじゃ無い!
「えーっと、
ミラクルスパゲティ大盛りと
サンダードラゴンの丸焼きと
バトルフィシュの唐揚げ大盛りと
アグレッシブウルフの丸焼きと
ミラクルサラダ大盛りで」
多分普段、この店で頼まれる事は
ほとんどない、メニュー表の端にある
ガッツリ系メニューをやや少なめに頼んだ。
「い、以上の注文で
よ、よろしいでしょうか?」
店員のお姉さんがドン引きの
顔をしながら言った。
ギルドの受付お姉さんを
見習いやがれぃ!
フォマムとデブーチ君も
同じ表情で私を見ていた。
「お待たせしました〜
いちごパフェと
キャラメルホットケーキで
ございます!」
2人の料理が来たので
2人が先に食べ始めた。
フォマムのいちごパフェは
まぁ、少食の人なら
あれくらいかな?って感じはする…。
デブーチ君……
ホットケーキ小さすぎだろ!
君もっと食べるだろ!
その脂肪は何から生産されてるんだ⁉︎
「やっぱりここの料理は最高ちん〜」
「そうだな!それに今日は
2人だけじゃなくて
ルヴィネちゃんも居るし
いつもより美味く感じるな!」
え?この2人で、こんな可愛い店に
入ってるの?
てか飯じゃなくて、スイーツだし…。
「お待たせしました〜
ミラクルスパゲティ大盛りと
サンダードラゴンの丸焼きと
バトルフィシュの唐揚げ大盛りと
アグレッシブウルフの丸焼きと
ミラクルサラダ大盛りで
ございます!」
私の料理が来た。
いただきまーす。
私が料理を食べ始めたら
周りの客が、ありえない物を
見ているかのような目で見てきた
もちろんフォマムとデブーチ君も。
森にいた頃は、ウサギとカメを
1日辺り100匹くらい食ってたから
このくらい軽い食事なんだが…。
私が食べ終わってからも
2人は、まだ食べ終わってなかった。
遅⁉︎…どんだけ味わってんだよ!
会計をする時には、さすがに
フォマムは、奢ろうか?とは
言わなかった。
たったこれだけで、かなりの
金額だったから
食事に誘われた時以外は
町の外で適当な魔物を狩って食おう。
店を出たら、私はすぐに
2人と別れた。
適当な宿屋を探し、部屋を確保
その部屋で一休みして……
なんて事はしない。
すぐに部屋を出て町中に戻る
飯を食いに行く途中で
見た店が気になって仕方がない。
私は、町のぬいぐるみ屋に
入って行った。
ぬいぐるみ屋に入って
店の中を見渡す。
…………………………。
あった!
そこには、牛をモチーフにした
可愛らしい巨大なぬいぐるみがあった。
私と同じくらいか
それ以上のサイズだ。
さっき町中を歩いている時に、
視界の端に映って、気になって
仕方がなかった。
値段は、結構するが迷わず買った。
まぁ、宿屋代はちゃんとあるし
大丈夫だろう!
心を癒す為の必要経費だぜ?
問題は、このバカデカいぬいぐるみを
持って目立たずに宿屋に帰れるか
どうかだ…。
さすがにこんなデカいぬいぐるみを
持って歩くのは、恥ずかしい。
しかし、ここで慌てて走ってしまっては
目立ってしまう…。
自分を空気と思い込みながら
何も考えずに、帰る。
私は空気、私は空気、私は空気、私は空気、私は空気……………。
みんなめっちゃ見てる!
恥ずかし!
みんな私を見て、
ふふふwwwって笑ってる!
恥ずかしい思いをしながら
宿屋に戻り、ゴリゴリ筋肉マッチョの
モヒカン店主まで、私を見て
笑ってしまった……。
いや、これは仕方がない事だ…。
心を癒す為の代償だと思ったら
我慢出来る…。
部屋に入る時、ドアにつっかえたが
なんとか部屋に押し込んだ。
ドアを閉め…………準備完了!
「わーい!みのたん♡みのたん♡
うへへへへ……」
私はベットの上で転がりながら
牛のぬいぐるみに、しがみつく。
今からダッシュで村に戻ったら
みのたんに数10分で会えるが、
私も頑張るから、みのたんも頑張れ、
とか言って私から我慢できずに、
初日からみのたんの元に帰る事は、
頑張ろうとしている、みのたんを
裏切る行為になる。
だから、このぬいぐるみを
みのたんだと思って我慢する。
ぬいぐるみなら何故か
大胆に甘えられる。
今日から君の名前は、
「ぬいぐるみのたん」だ!
「むぎゅ〜♡幸せだよ〜♡
ぬいぐるみのたん〜♡♡」
すると後ろから気配がした。
「あ、ルヴィネちん!
ルヴィネちんも、この宿に
泊まるちん?」
デ、デブーチ君……。
何故デブーチ君がここに?
てかなんでドアが開いてるんだ?
「隣の部屋のドアが開いてて
覗いてみたら、ルヴィネちんが
変なぬいぐるみを抱いていたちん」
マジかー!!
ドアの取っ手の金具が緩んでいたのか?
まさか勝手に開くとは!
しかも、部屋の前を通った人が
デブーチ君以外にもいるみたいで、
何人かが私の事を見ながら
クスクス笑っている。
かなりショック……てか何故
鍵をかけ忘れた……?
「フォマム〜!
隣の部屋にルヴィネちんが
泊まるらしいちんよ〜!」
デブーチ君が隣の部屋に向かって、言った。
これ以上被害を拡大させる訳には、
行かない……。
私は全速力で、デブーチ君に近づいて
デブーチ君の口を塞いだ。
「デ、デブーチ君……。
女の子のお部屋を覗くのは、ダメだよ?
あと、今の事をフォマムに
言ってもダメだよ…?」
ゴキッゴキッゴキッ!
力を入れすぎて、
デブーチ君の顔が変形した。
「わ、わかったちん……
ちょ…ちょっと、離して
ほじぃ…ち…ん……。」
デブーチ君の顔から、手を離した。
デブーチ君は、アゴだけスマートに
なっていた。
その日の夜…私は、ちゃんと
鍵をかけて寝た。
ぬいぐるみのたんを抱きながら……。
翌朝…。
早めに起きて町の外で
適当に魔物を狩って、飯を済ます。
宿からフォマム&デブーチ君と
一緒に冒険者ギルドに行って、
約束の時間にナーバムルさんも
やって来た。
ナーバムルさんは、
パートナーの魔法使いを連れてきてる。
30歳くらいの男でヒゲが生えてる。
見た目のイメージで言ったら
働き盛りなのに家でダラけてる
ニートのような感じだ。
きっとお母さんも泣いているだろう…。
もし、ちゃんとした格好をしたら
イケメン?になるかも?
「紹介しよう。
俺のパートナーのニートルだ」
………………私はツッコまんぞ…!
「今回受けたいと思っている
依頼はダイヤモンド以上が
2人以上同行条件の依頼だ。
依頼内容は、アグレッシブウルフを
100匹狩ってくる事
俺とニートルだけでも問題なく
クリア出来る依頼だ、心配ない。」
なんかナーバムルさんが
リーダーのデブーチ君を差し置いて
勝手に仕切っている。
アグレッシブウルフって
昨日レストランで私が食った奴だよな?
まぁ、ナーバムルさん達に
ついて行ったら死ぬ事は
なさそうだから、私は別にいいが。
「せっかくの機会だ
その依頼にしよう」
フォマム!あんた勇気あるな!
「ぼくちんもその依頼を
受けたいちん〜!」
「よし、決まりだな、
すぐに依頼を受けよう、
俺が受付に行ってくる。」
え?私の意見聞かないの?
喋るタイミングを逃した私も悪いけど…
まぁ、いっか…。
そんな事より気になる事が
1つある……………。
デブーチ君のアゴがスマートに
なっている事に、何故
誰もツッコまないんだ!??




