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2話はじめてのぼうけん

私は金髪を後ろにまとめた

ポニーテールをなびかせながら

身長150㎝の小柄な体で

小鹿のように森の中を

スキップしていた。


名前は「ルヴィネ」


私は小さな村で育った。

母は専業主婦。

父は冒険者。

強くもなく、弱くもなく

才能もないが

努力でそこそこの冒険者になり

家族を支えている…

そんな父に憧れて、私は冒険者となった。



父は14歳の誕生日に

鎧と片手剣をプレゼントしてくれた。


片手剣は14歳の少女でも

振り回せる軽さで、

見た目の割に斬れ味は抜群。


鎧は胸と腰、左肩、脛が鋼鉄の

プロテクターで出来ていて、

他の頭以外の部分は、

肌が透けて見える鎖帷子。



……なんだか…ちょっとエロい……?

これは父の趣味だろうか?


……いや、憧れの父のイメージを

ぶち壊してしまうから、

これ以上想像しないでおこう…

着てみた感じ、かなり動きやすいから

これを選んでくれたんだろう!

決して変な下心があるわけでは無いと

私は信じる!!


父からもらった装備を着て

町に行って冒険者ギルドで

冒険者登録をして、

私は14歳の誕生日に

冒険者となった。

早速「駆け出しの森」に

ハンティングをしに来た!


駆け出し冒険者は、

この「駆け出しの森」で

1週間ほど生活して、狩りを覚えながら

修行するのが一般的。

魔物は弱く、子供でも倒せるし

食料は簡単に手に入る。

私は、はじめてのおつかい…

じゃなくて

はじめてのぼうけんに心躍らせながら

森の中をスキップしている。

実際この森は安全安心な狩りができるから

ちびっ子のはじめてのおつかいと

対して危険度は変わらない。


30分ほど森の中をスキップしていたら

草むらから物音が聞こえた…

早速、獲物を見つけたと思い

ワクワクしながら草をかき分けて

物音がした方向に進んだ!



「現れたな!

私の剣の錆第一号!」



……………………???


そこに居たのは、巨大な影…





「ミノタウロス…」




私は地面に膝を着き

体は恐怖で動かない…


冒険を始めて約30分で

命の危機に直面している…


おかしいぞ…?ここは駆け出しの森…

つまり子供でも倒せるような

魔物しか現れないはずだ…


こんな魔物を本当に

子供が倒せるのだろうか…?

もし、本当に子供が倒せるなら

基準になった子供が

かなりの筋肉マッチョなんだろう…



やぁ、僕はムッキー・マッチョ!

6歳だけど、趣味は筋トレ!

好きな食べ物は、鶏の卵一気飲み!

3m以上の魔物もワンパンさ!


………………………


多分こんな子供はいないだろう…


私も村に居る間は、冒険者になる為に

出来る限りトレーニングをしたが

所詮はただの田舎娘だ…

鎧を着てなければ

ただの可愛い村娘…

いや、自分で可愛いって

言うのもアレだけど…

よく村の男達にナンパされていたから

少しは可愛いほうだと思う…

全員振ったけどね!!ドヤッ!!


………とりあえず、今の私に

目の前にいるミノタウロスを

倒す事は、不可能だろう…。





……しかし、よく見ると

このミノタウロス……

かなりいい体してる…。

顔も牛の中では結構イケメンかも?

おっと、まずいまずい…。

自分の新たな性癖を

開花するところだった!


頭の中ではこんな事を考えているが

体は恐怖で震え、動かない……

今の私に出来る事は、死んだふりくらいだ。

こう見えて演技は得意方なんだ…!

まず、死んだふりの演技をする前に

重要なのは設定を作り込む事…!


……ある日、心臓が弱い女戦士が

森の中でミノタウロスに遭遇!

ミノタウロスの素敵な筋肉に

キュンキュンしてしまい

その場でキュン死。

完璧すぎるシナリオだ!

人間、死の恐怖を味わうと

何かの才能が開花する時も

あるんだな!


………?

ちょっと待て!女戦士!

あんた心臓が悪いのに

何で冒険なんか出てんだよ!

何か事情あるんでしょ?

ほら、怒らないから言ってみ?

お姉さん聞いてあげるから…

14歳だけど…


妄想の中の女戦士に話しかけていたら

現実では、とうとうミノタウロスが

こちらに近づいて来た。


マジか…私……冒険者人生

30分で終わりました………


私は、死を覚悟した…………。





……………………………?


ミノタウロスから攻撃が来ない。


代わりに私に何かを見せて

指差している。


「本…?」


私は自分の目を疑った。


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